インフルエンザ患者数が過去最多を記録!25年ぶりの大流行で医療現場がパンク寸前

2025年1月9日、厚生労働省から衝撃的な発表がありました。2024年12月23日~29日の週に、全国のインフルエンザ患者数が1医療機関あたり64.39人という、現行の調査方式が始まった1999年以来の最多記録を更新したのです。これは、過去のどの大流行の年をも上回る、まさに「過去最多」の数字です。

この記録的な数値は、単なる統計上の数字ではありません。全国の医療現場では、連日インフルエンザ患者が押し寄せ、待合室は満員、医師や看護師は休む暇もない状況が続いています。特に小児科では、高熱で苦しむ子どもたちと心配する保護者で溢れかえり、診察まで数時間待ちという事態も珍しくありません。

25年間で最悪の流行 過去の記録を大幅更新

今回の64.39人という数値がいかに異常かは、過去のデータと比較すれば一目瞭然です。これまでの最高記録は2019年1月21日~27日の週の57.18人でした。つまり、今回はそれを7人以上も上回る、まさに桁違いの流行となっているのです。

期間 患者数(1医療機関あたり) 全国患者報告数
2024年12月23日~29日 64.39人 317,812人
2024年12月16日~22日 42.66人 211,049人
2024年12月9日~15日 19.06人 94,259人
2024年12月2日~8日 9.03人 44,673人

わずか1ヶ月足らずの間に、患者数が7倍以上に急増していることが分かります。12月初旬には1医療機関あたり9人程度だった患者数が、年末にかけて爆発的に増加し、ついに過去最多を記録したのです。

都道府県別では大分県が突出 100人超えの異常事態

都道府県別のデータを見ると、さらに深刻な地域があることが分かります。最も多かったのは大分県の104.84人で、1つの医療機関に100人以上のインフルエンザ患者が殺到している計算になります。続いて鹿児島県(96.4人)、佐賀県(94.36人)と、九州地方で特に流行が激しいことが明らかになりました。

  • 大分県:104.84人
  • 鹿児島県:96.4人
  • 佐賀県:94.36人
  • 熊本県:89.72人
  • 長崎県:87.51人

警報レベルとされる「30人」を超えている都道府県はほぼ全てで、日本全国がインフルエンザの大流行に見舞われている状況です。東京都でも12月26日に流行警報を発令し、都民に注意を呼びかけています。

なぜ今年はこれほど流行しているのか?専門家が指摘する3つの要因

1. コロナ禍での免疫力低下

最も大きな要因として指摘されているのが、新型コロナウイルス感染症の流行期間中、インフルエンザがほとんど流行しなかったことです。2020年から2022年にかけて、マスク着用や手洗い、ソーシャルディスタンスなどの感染対策により、インフルエンザはほぼ姿を消していました。

その結果、多くの人がインフルエンザウイルスに暴露される機会が減り、免疫力が低下。特に、この3年間に生まれた子どもたちは、インフルエンザに対する免疫をほとんど持っていない状態です。

2. 行動制限の完全解除

2023年5月に新型コロナが5類感染症に移行し、マスク着用が個人の判断に委ねられるようになりました。2024年になってからは、ほぼコロナ前の生活に戻っており、人々の接触機会が大幅に増加しています。

忘年会、新年会、帰省など、年末年始の人の移動と集まりが、ウイルスの急速な拡散を招いたと考えられています。

3. ウイルスの変異と同時流行

今シーズンは、A型(H1N1)pdm09とA型(H3N2)、さらにB型まで、複数の型が同時に流行しているのが特徴です。異なる型のウイルスが混在することで、一度インフルエンザにかかった人でも、別の型に再感染する可能性があります。

さらに懸念されるのは、新型コロナウイルスとの同時流行です。同じ期間の新型コロナ患者数も1医療機関あたり7.01人と増加傾向にあり、医療機関への負担がさらに増大しています。

働く親の悲鳴 病児保育不足で仕事も子育ても限界

今回の大流行で特に深刻な影響を受けているのが、働く親たちです。子どもがインフルエンザにかかっても、病児保育施設は満員で預けられず、仕事を休まざるを得ない状況が続いています。

東京都内で働く会社員の母親(35歳)は、涙ながらに語ります。

「3歳の息子が先週インフルエンザにかかり、病児保育を探しましたが、どこも満員。結局1週間仕事を休みました。有給休暇も残り少なく、この先どうすればいいのか…」

厚生労働省の調査によると、全国の病児保育施設の利用率は過去最高を記録。多くの施設で、朝の受付開始から数分で定員に達する状況が続いています。

テレワーク減少も追い打ち

コロナ禍で普及したテレワークも、多くの企業で縮小傾向にあります。子どもの看病をしながら在宅勤務ができなくなり、仕事と育児の両立がさらに困難になっています。

ある IT企業に勤める父親(40歳)は、「コロナの時は在宅で仕事ができたが、今は出社必須。子どもが熱を出すたびに、夫婦でどちらが休むか揉めている」と苦しい胸の内を明かしました。

医療現場からの悲鳴 「もう限界」の声が相次ぐ

東京都内の総合病院に勤務する内科医(45歳)は、現在の状況をこう語ります。

「12月に入ってから、発熱外来は朝から晩までフル稼働です。インフルエンザの患者さんが次から次へと来院され、待合室は常に満員。スタッフも疲弊しきっており、この状況がいつまで続くのか不安です」

特に深刻なのが小児科の状況です。埼玉県の小児科クリニック院長(52歳)は、涙ながらに訴えます。

「高熱で苦しむ子どもたちを前に、すぐに診察してあげたいのに、物理的に無理な状況が続いています。予約が取れず、他の病院を探し回る保護者の方も多く、本当に心が痛みます」

看護師不足も深刻で、多くの医療機関で人手が足りない状況が続いています。ある看護師(38歳)は「休憩時間もまともに取れず、食事もろくにできない日が続いている」と、過酷な勤務状況を明かしました。

入院患者も急増 重症化リスクの高い高齢者に警戒を

厚生労働省の発表によると、2024年9月から12月末までの累積入院患者数は11,800人に達しています。特に65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ人では、肺炎などの合併症を起こしやすく、重症化のリスクが高いことが知られています。

国立感染症研究所の専門家は、「高齢者施設でのクラスター発生も相次いでおり、施設内での感染対策の徹底が急務」と警鐘を鳴らしています。実際、各地の高齢者施設で集団感染が報告されており、入所者の命に関わる事態も発生しています。

今からでも遅くない!個人でできる5つの対策

この記録的な大流行の中、私たち一人一人ができることは何でしょうか。専門家が推奨する対策をまとめました。

1. ワクチン接種

「今からでも遅くない」と専門家は口を揃えます。インフルエンザワクチンは、接種してから効果が現れるまで約2週間かかりますが、流行のピークはまだ先の可能性があります。特に高齢者や基礎疾患のある人、妊婦、乳幼児は積極的な接種が推奨されています。

多くの自治体では、子どもや高齢者向けの接種費用助成を行っています。お住まいの自治体のホームページで確認してみましょう。

2. マスクの着用

人混みや医療機関、高齢者施設などでは、マスクの着用が有効です。特に咳やくしゃみなどの症状がある場合は、他人への感染を防ぐためにも必ずマスクを着用しましょう。

3. 手洗い・手指消毒の徹底

インフルエンザウイルスは、飛沫感染だけでなく接触感染でも広がります。外出から帰った時、食事の前、トイレの後など、こまめな手洗いを心がけましょう。アルコール消毒も効果的です。

4. 換気と加湿

閉め切った空間ではウイルスが滞留しやすくなります。定期的な換気を心がけ、室内の湿度を50~60%に保つことで、ウイルスの活動を抑制できます。

5. 体調管理と早めの受診

十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動で免疫力を高めることが大切です。また、発熱や咳などの症状が現れたら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

学校再開で更なる拡大の懸念 子どもたちを守るために

年末年始の休暇が明け、1月から学校が再開されることで、さらなる感染拡大が懸念されています。学校は子どもたちが密集する場所であり、ウイルスが急速に広がりやすい環境です。

文部科学省は各学校に対し、以下の対策を呼びかけています:

  • 教室の定期的な換気(1時間に2回以上)
  • 手洗い場の石鹸・消毒液の確保
  • 体調不良の児童・生徒の早期発見と対応
  • 学級閉鎖の基準の明確化

保護者に対しても、「少しでも体調が悪い場合は無理に登校させない」「家族内での感染予防対策の徹底」などの協力を求めています。

抗インフルエンザ薬の供給は大丈夫?薬局からの報告

これだけの大流行となると、心配になるのが治療薬の供給状況です。全国の薬局・薬剤師会への取材によると、現時点では「タミフル」「リレンザ」「イナビル」「ゾフルーザ」などの主要な抗インフルエンザ薬の供給は安定しているとのことです。

ただし、地域によっては一時的な品薄状態が発生している薬局もあり、「早めの受診・早めの処方」が推奨されています。特に小児用の薬剤については、需要が集中しやすいため、注意が必要です。

経済への影響も深刻 労働力不足で企業活動に支障

インフルエンザの大流行は、医療現場だけでなく経済活動にも大きな影響を与えています。多くの企業で従業員の欠勤が相次ぎ、業務に支障が出ているのです。

ある製造業の人事担当者は、「12月下旬から欠勤者が急増し、生産ラインの維持が困難になっている」と語ります。サービス業でも同様の状況で、飲食店やスーパーマーケットでは人手不足により営業時間の短縮を余儀なくされている店舗も出ています。

経済アナリストは、「インフルエンザによる労働損失は、年間で数千億円規模に達する可能性がある」と分析しています。

海外との比較 日本の流行は世界的に見ても異常

世界保健機関(WHO)のデータによると、北半球の多くの国でインフルエンザの流行が報告されていますが、日本の64.39人という数値は際立って高いものです。

例えば、アメリカでは同時期のインフルエンザ様疾患の受診率は3.1%、カナダでは2.8%にとどまっています。日本の異常な流行状況は、国際的にも注目を集めており、WHOも日本の状況を注視しているとのことです。

今後の見通し ピークはまだ先か

過去のデータを見ると、インフルエンザの流行ピークは例年1月下旬から2月上旬にかけてとなることが多いです。つまり、現在の記録的な患者数も、まだピークではない可能性があるのです。

国立感染症研究所の予測モデルによると、このままのペースで増加が続けば、ピーク時には1医療機関あたり80人を超える可能性もあるとのこと。もしそうなれば、医療体制の崩壊も現実味を帯びてきます。

一人一人の行動が未来を変える

25年ぶりの記録更新となった今回のインフルエンザ大流行。私たちにできることは、基本的な感染対策を徹底し、医療機関の負担を少しでも軽減することです。

「自分は大丈夫」という過信は禁物です。インフルエンザは誰もがかかる可能性のある病気であり、重症化すれば命に関わることもあります。特に、家族に高齢者や乳幼児がいる場合は、より一層の注意が必要です。

この記録的な大流行を乗り越えるためには、社会全体での協力が不可欠です。一人一人が感染対策を実践し、体調が悪い時は無理をせず休む。そんな当たり前のことを、今こそ徹底する時なのです。

医療現場で奮闘する医療従事者の方々への感謝を忘れず、私たちにできることを確実に実行していきましょう。この危機を乗り越えた先に、より強靭な社会が待っているはずです。

投稿者 hana

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