衝撃の千秋楽!豊昇龍が見せた横綱の風格
2025年1月26日、両国国技館で行われた大相撲初場所千秋楽で、歴史に残る劇的な展開が繰り広げられました。大関・豊昇龍(25歳・立浪部屋)が、平幕の王鵬(大嶽部屋)、金峰山(木瀬部屋)との3力士による優勝決定巴戦を制し、自身2度目となる優勝を飾りました。この勝利により、豊昇龍は場所後の横綱昇進をほぼ確実なものとしました。
3力士が12勝3敗で並ぶ大混戦
千秋楽を迎えた時点で、単独トップに立っていたのは2敗の金峰山でした。しかし、1差で追っていた王鵬が本割の直接対決で金峰山を破り、さらに豊昇龍も大関・琴桜を退けて3敗を守ったことで、3人が12勝3敗で並ぶという展開になりました。
巴戦は2022年九州場所以来、約2年2カ月ぶりの開催となり、史上8回目という珍しい出来事でした。観客席は異様な熱気に包まれ、誰が優勝するのか固唾を飲んで見守る状況となりました。
巴戦での圧倒的な強さ
優勝決定巴戦では、まず金峰山と王鵬が対戦。この一番は王鵬が勝利し、続いて豊昇龍と王鵬の対戦となりました。豊昇龍は落ち着いた立ち合いから、得意の左四つに組み止め、王鵬を寄り切りで破りました。
最後は豊昇龍と金峰山の対戦。金峰山は前頭十四枚目ながら、今場所は絶好調で番狂わせを演じてきた力士でした。しかし、豊昇龍は全く動じることなく、立ち合いから圧力をかけ続け、最後は押し出しで勝利。見事に2連勝で優勝を決めました。
大関昇進後初の賜杯
豊昇龍にとって、この優勝は大関昇進後初めての賜杯となりました。2023年3月場所で初優勝を果たして以来、約2年ぶりの優勝でもあります。優勝インタビューでは「本当に嬉しい。支えてくれた皆さんに感謝したい」と涙ながらに語り、会場は大きな拍手に包まれました。
横綱昇進への道のり
豊昇龍の横綱昇進は、ほぼ確実視されています。日本相撲協会の審判部は、場所後の横綱審議委員会に豊昇龍の横綱昇進を諮問する見込みです。承認されれば、第74代横綱の誕生となります。
モンゴル出身5人目の横綱へ
豊昇龍はモンゴル・ウランバートル出身。叔父は第68代横綱・朝青龍という相撲一家の出身です。モンゴル出身の横綱は、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜に続いて5人目となります。
2018年に来日し、2020年の初場所で新入幕。その後、着実に力をつけ、2023年3月場所後に大関に昇進しました。大関在位は10場所で、この間に2度の優勝を果たしています。
今場所の豊昇龍の相撲内容
今場所の豊昇龍は、序盤から安定した相撲を見せていました。初日から5連勝でスタートし、6日目に平幕の若元春に敗れたものの、すぐに立て直しました。
日目 | 対戦相手 | 結果 | 決まり手 |
---|---|---|---|
初日 | 宝富士 | ○ | 寄り切り |
2日目 | 大栄翔 | ○ | 押し出し |
3日目 | 阿武咲 | ○ | 上手投げ |
4日目 | 北勝富士 | ○ | 寄り切り |
5日目 | 高安 | ○ | 押し出し |
6日目 | 若元春 | ● | 突き落とし |
7日目 | 平戸海 | ○ | 寄り切り |
8日目 | 竜電 | ○ | 上手投げ |
9日目 | 御嶽海 | ● | 押し出し |
10日目 | 朝乃山 | ○ | 寄り切り |
11日目 | 錦木 | ○ | 押し出し |
12日目 | 正代 | ● | 突き落とし |
13日目 | 隆の勝 | ○ | 上手投げ |
14日目 | 琴ノ若 | ○ | 寄り切り |
千秋楽 | 琴桜 | ○ | 押し出し |
技の多彩さが光る
今場所の豊昇龍の相撲で特筆すべきは、技の多彩さです。得意の左四つからの寄りだけでなく、上手投げや押し相撲も効果的に使い分けていました。特に13日目の隆の勝戦で見せた上手投げは、会場を沸かせる見事な技でした。
ライバルたちの奮闘
今場所は豊昇龍以外にも、多くの力士が好成績を残しました。優勝を争った王鵬と金峰山の活躍は特に目を引きました。
王鵬の躍進
前頭三枚目の王鵬は、元横綱・大鵬の孫として注目を集める若手力士です。今場所は上位陣を次々と破り、千秋楽まで優勝争いに加わりました。巴戦では惜しくも豊昇龍に敗れましたが、12勝3敗の好成績で技能賞を受賞しました。
金峰山の大健闘
前頭十四枚目の金峰山は、今場所最大のサプライズでした。番付下位ながら、上位陣を次々と破り、14日目を終えて単独トップに立つという快進撃を見せました。千秋楽では優勝を逃しましたが、敢闘賞と技能賞のダブル受賞という栄誉を手にしました。
角界の新時代到来
豊昇龍の横綱昇進により、角界は新たな時代を迎えることになります。現在、横綱は不在の状態が続いており、ファンからは「横綱のいる本場所が見たい」という声が上がっていました。
若手力士の台頭
今場所は豊昇龍の優勝だけでなく、王鵬や金峰山といった若手力士の活躍も目立ちました。さらに、新入幕の力士たちも健闘を見せており、世代交代の波が確実に押し寄せていることを感じさせました。
- 王鵬(23歳)- 12勝3敗で技能賞
- 金峰山(25歳)- 12勝3敗で敢闘賞・技能賞
- 大の里(23歳)- 11勝4敗で敢闘賞
- 尊富士(24歳)- 10勝5敗
横綱としての期待と責任
豊昇龍が横綱に昇進すれば、大きな期待と責任を背負うことになります。横綱は単に強いだけでなく、品格も求められる地位です。
稽古への取り組み
豊昇龍は日頃から稽古熱心なことで知られています。朝稽古では誰よりも早く土俵に上がり、最後まで稽古を続ける姿勢は、後輩力士たちの手本となっています。師匠の立浪親方も「稽古の虫」と評価しており、その努力が今回の優勝につながったと言えるでしょう。
ファンサービスも充実
豊昇龍は相撲ファンへのサービスも欠かしません。場所後の打ち上げパーティーでは、ファンとの記念撮影に快く応じ、サインも丁寧に書いています。SNSでの発信も積極的で、若い世代のファン獲得にも貢献しています。
今後の展望
横綱昇進が決まれば、3月の春場所が横綱としてのデビュー場所となります。新横綱の場所は特別な注目を集めるため、プレッシャーも大きくなりますが、豊昇龍ならきっと期待に応えてくれるでしょう。
ライバルたちとの競争
今後は大関陣との競争も激化することが予想されます。琴桜、琴ノ若といった大関陣も虎視眈々と横綱の座を狙っており、豊昇龍も油断はできません。また、王鵬や金峰山といった若手の成長も著しく、今後の本場所がますます面白くなることは間違いありません。
相撲界への影響
豊昇龍の横綱昇進は、相撲界全体に大きな影響を与えることになります。
観客動員の増加
横綱不在が続いていた相撲界にとって、新横綱の誕生は観客動員の起爆剤となります。特に地方巡業では、横綱の存在が大きな集客力となるため、相撲協会としても期待が高まっています。
国際化の推進
モンゴル出身の豊昇龍が横綱になることで、相撲の国際化がさらに進むことが期待されます。すでに多くの外国人力士が活躍していますが、横綱という最高位に就くことで、世界中から注目を集めることになるでしょう。
まとめ:新時代の幕開け
2025年初場所千秋楽は、豊昇龍の劇的な優勝で幕を閉じました。巴戦という歴史的な展開の中で見せた強さは、まさに横綱の風格そのものでした。25歳という若さでの横綱昇進は、今後の長期政権も期待させます。
相撲ファンにとって、久しぶりの横綱誕生は何よりの朗報です。豊昇龍の活躍により、相撲人気がさらに高まることは間違いありません。3月の春場所での新横綱・豊昇龍の土俵入りが、今から待ち遠しくなります。
令和の新横綱として、豊昇龍がどのような活躍を見せてくれるのか。日本の国技である相撲の新たな歴史が、今まさに始まろうとしています。