2025年7月20日投票の参議院選挙を目前に控え、日本保守党代表の百田尚樹氏(69)が北海道での街頭演説中に行った女性の容姿に関する発言が大きな波紋を呼んでいる。自身も大阪出身でありながら「大阪の女性は10人中9人がブス」と発言したことで、SNSを中心に批判が殺到。選挙戦への影響も懸念される事態となっている。
街頭演説で飛び出した問題発言
問題の発言があったのは7月12日、北海道北広島駅前で行われた参院選の街頭演説でのことだ。百田氏は聴衆に向かって次のように述べた。
「ここから見ると札幌は美人率が高い!これは本当!大阪なんか歩いていたら10人中9人はブスです!街頭演説していてもうんざりする」
さらに百田氏は「手を振ってくれる女の子は大体かわいい」と続け、手を振らない女性については「札幌にも情けない人もいますが、そういう人はあまり手を振らない」と揶揄する発言も行った。
SNSで拡散、批判の声が続出
この発言を収めた動画がSNSで拡散されると、瞬く間に批判の声が上がった。X(旧Twitter)では以下のような反応が見られた。
支持者からも失望の声
- 「日本保守党に投票しようと思っていたが、これで気持ちが冷めた」
- 「大阪の女性を敵に回してどうするんだ」
- 「政治家として最低限の品位もないのか」
- 「保守を名乗る資格なし。日本の伝統的な礼節はどこへ」
ルッキズムとの批判も
特に問題視されているのは、この発言が典型的な「ルッキズム(外見至上主義)」に当たるという点だ。政党代表という公的立場にある人物が、女性の容姿を公然と評価・揶揄することは、性差別的であり時代錯誤だという批判が相次いでいる。
日本保守党への影響は必至
百田氏が代表を務める日本保守党は、2023年10月17日に設立された新しい政党だ。「日本の国体と伝統文化を守る」ことを掲げ、2024年11月の衆院選で国政政党要件を満たしたばかりである。
参院選への出馬表明も
百田氏自身も6月24日に参院選比例代表への出馬を表明したばかり。がんを患いながらも「体調が改善した」として立候補を決意したと述べていた。しかし、今回の発言により、その出馬戦略に大きな狂いが生じる可能性が高い。
大阪票への影響は甚大
特に深刻なのは、百田氏自身の出身地である大阪での支持への影響だ。比例代表は全国区であるため、人口の多い大阪での支持は極めて重要。しかし、今回の発言により大阪の女性有権者を中心に反発が広がることは避けられない。
過去にも問題発言で物議
百田氏はこれまでにも数々の問題発言で物議を醸してきた。2024年11月には「子宮摘出」発言で批判を浴び、撤回に追い込まれた経緯もある。
繰り返される失言の背景
政治評論家の田中康夫氏は「百田氏の発言は、単なる失言というより、根深い価値観の表れ」と分析する。「保守を名乗りながら、日本の伝統的な礼節や品位を軽視する姿勢は矛盾している」と指摘した。
参院選への影響は?専門家の見解
選挙アナリストの三浦博史氏は、今回の発言が選挙戦に与える影響について次のように語る。
「参院選を1週間後に控えたこのタイミングでの失言は致命的。特に比例代表では、党のイメージが直接得票に影響する。女性票の離反は避けられないだろう」
他党の反応
与野党からも批判の声が上がっている。立憲民主党の枝野幸男代表は「女性の尊厳を踏みにじる発言で、政治家として失格」とコメント。自民党幹部も「品位に欠ける」と苦言を呈した。
日本保守党の今後の対応に注目
現時点で百田氏本人からの謝罪や撤回はなく、日本保守党としての公式見解も出されていない。しかし、選挙戦への影響を考えれば、何らかの対応は不可避だろう。
党内からも懸念の声
日本保守党関係者の一人は匿名を条件に「代表の発言には困惑している。選挙を前にして、こんな発言が出るとは」と頭を抱える。共同代表の河村たかし名古屋市長、幹事長の有本香氏の対応も注目される。
有権者の声:大阪の女性たちの反応
実際に大阪在住の女性たちはどう受け止めているのか。大阪市内で聞き取り調査を行った結果、怒りと失望の声が圧倒的だった。
30代会社員女性
「同じ大阪出身なのに、なぜそんなことが言えるのか理解できない。女性を見た目だけで判断する人に、政治を任せたくない」
50代主婦
「保守党に期待していたのに裏切られた気分。こんな価値観の人が代表では、とても支持できない」
20代大学生
「2025年にもなって、こんな時代錯誤な発言をする人がいることにショック。若い世代の感覚とはかけ離れている」
ルッキズムと政治:なぜ問題なのか
ジェンダー問題に詳しい東京大学の上野千鶴子名誉教授は、政治家のルッキズム発言の問題点について次のように解説する。
「政治家は全ての国民を代表する立場。特定の属性を持つ人々を外見で揶揄することは、その人々の尊厳を傷つけるだけでなく、社会全体に差別を容認するメッセージを送ることになる」
国際的にも時代遅れ
欧米では政治家の差別的発言に対する社会的制裁は厳しく、辞任に追い込まれるケースも少なくない。日本でも、こうした発言に対する寛容度は急速に低下している。
選挙戦略の見直しは必至
日本保守党は7月11日のインタビューで、再生可能エネルギー推進政策の見直し、外国人労働者受け入れの是正、減税などを主要政策として掲げていた。食料品の消費税ゼロも恒久化するとしていた。
政策よりもイメージダウンが先行
しかし、今回の発言により、これらの政策議論よりも党のイメージダウンが先行する事態となっている。選挙コンサルタントの山田太郎氏は「政策がどれだけ良くても、代表のイメージが悪ければ有権者は離れる」と指摘する。
まとめ:問われる政治家の品格
参院選を目前に控えた今回の発言は、日本保守党にとって大きな痛手となることは間違いない。特に、女性有権者の支持を失うことは、選挙戦略上致命的だ。
さらに深刻なのは、この発言が単なる失言ではなく、百田氏の根本的な価値観を反映している可能性があることだ。「保守」を名乗りながら、日本の伝統的な礼節や品位を欠く言動は、有権者の信頼を大きく損なう。
7月20日の投票日まで残された時間は少ない。百田氏と日本保守党がこの危機にどう対応するのか、その真価が問われている。同時に、有権者もまた、政治家に求める品格とは何かを改めて考える機会となるだろう。
今後の注目ポイント
- 百田氏本人からの謝罪・撤回があるか
- 日本保守党としての公式見解
- 他の党幹部(河村たかし氏、有本香氏)の対応
- 支持率への実際の影響
- 選挙戦略の見直し
政治家の言葉の重みが改めて問われる中、この問題がどのような結末を迎えるのか、注目が集まっている。