なぜ今台湾料理?健康×映え×推し活で大ブーム到来
2025年7月、日本の飲食シーンで最も熱い注目を集めているのが台湾料理です。なぜ今、台湾料理なのでしょうか?その背景には、コロナ後の「近場アジアグルメ」への渇望、Z世代の「推し活」文化と台湾エンタメの人気上昇、そして健康志向とSNS映えを両立させる台湾料理の特性が絶妙にマッチしたことがあります。訪日台湾人が過去最高を更新する中、本場の味を求める声も高まっています。今回は、「nextタピオカ」候補から本格派まで、この夏絶対に押さえておきたい台湾料理の最新トレンドを徹底解説します。
台湾料理ブームの現在地 – なぜ今、台湾なのか
2023年の台湾料理市場は前年比120%という驚異的な成長を記録しました。かつてのタピオカブームとは異なり、本格的な台湾料理への関心が高まり、持続可能な市場として注目を集めています。
日本人の口に合う絶妙な味付け
台湾料理の人気の秘密は、その味付けにあります。中華料理や韓国料理に比べて味付けが薄く、醤油ベースの味付けが基本となっているため、日本人の口に非常に合いやすいのです。さらに、あっさりとした味わいながらも、独特のスパイスや調味料による奥深い風味が楽しめるのも魅力の一つです。
SNS映えする圧倒的なビジュアル
台湾料理は、日本にはないサイズ感やデザインから、思わず写真に収めたくなるような料理が多いのも特徴です。顔の大きさほどもある唐揚げ「大鶏排(ダージーパイ)」や、カラフルなトッピングが美しい「豆花(トウファ)」など、視覚的にも楽しめる料理が豊富です。
2025年夏、注目の「nextタピオカ」候補たち
日本のタピオカブームは3度あり、特に2019年から始まった第3次タピオカブームは社会現象となりました。今ではこの勢いは落ち着いたものの、「nextタピオカ」と呼ばれる台湾グルメが続々と登場し、新たなブームの兆しを見せています。
1. 鹹豆漿(シェントウジャン)- 朝食革命の主役
2020年2月に注目され始めた鹹豆漿は、その後急上昇を続け、約1年間で検索数が4倍にも増加しました。豆乳に酢や醤油を加えて作る、とろとろのおぼろ豆腐のような朝食メニューで、揚げパンや干しエビ、ザーサイなどのトッピングと一緒に楽しみます。
東京・渋谷の「東京豆漿生活」(500〜800円)や大阪・梅田の「台湾朝食 豆漿豆花」(600〜900円)など、専門店も続々オープン。コンビニのサンドイッチと同程度の価格でヘルシーな朝食が楽しめることから、健康志向の高い30〜40代女性を中心に、新しい朝食スタイルとして定着しつつあります。
2. 大鶏排(ダージーパイ)- インパクト抜群の巨大唐揚げ
顔の大きさほどもある巨大な鶏の唐揚げ「大鶏排」は、そのインパクトのあるビジュアルでSNSを席巻しています。サクサクの衣と、ジューシーな鶏肉、そして台湾独特のスパイスが効いた味付けは、一度食べたらやみつきになること間違いなし。
原宿の「台湾唐揚げ 大鶏排専門店」では、連日長蛇の列ができるほどの人気ぶり。特に若い世代を中心に、新たなストリートフードとして支持を集めています。
3. 豆花(トウファ)- ヘルシースイーツの新定番
豆乳から作られる台湾の伝統的なスイーツ「豆花」は、そのヘルシーさと優しい味わいで、健康志向の高い層から支持を集めています。プルプルとした食感と、黒糖シロップやフルーツ、タピオカなどの多彩なトッピングが楽しめるのも魅力です。
最近では、抹茶味や黒ごま味など、日本独自のアレンジも登場。専門店も増えており、カフェ感覚で楽しめる新しいスイーツとして定着しています。
4. QQボール – もちもち食感の新感覚
さつまいもが原料の揚げ団子「QQボール」は、外はカリッと、中はもちもちとした独特の食感が特徴です。「QQ」は台湾語で「もちもち」を意味し、その名の通り、噛むほどに楽しい食感が楽しめます。
シンプルな塩味から、チーズ入り、チョコレート味まで、バリエーションも豊富。手軽に食べられるスナック感覚で、若い世代を中心に人気が広がっています。
本格派も納得!注目の台湾料理トレンド
「nextタピオカ」候補だけでなく、本格的な台湾料理も注目を集めています。特に、以下のメニューは2025年夏の必食リストに加えておきたいところです。
麻辣火鍋(マーラーフオグオ)- 夏こそ辛い鍋で発汗デトックス
真っ赤で辛いトウガラシベースの激辛鍋「麻辣火鍋」は、台湾では大人気のメニューです。日本でも専門店が増加し、特に夏場は「暑い時こそ辛いものを」という考えから、意外にも人気が高まっています。
花椒(ホアジャオ)の痺れる辛さと、唐辛子の熱い辛さが絶妙にマッチし、一度食べたらクセになる味わい。野菜や肉、海鮮など、好きな具材を選んで楽しめるのも魅力です。
魯肉飯(ルーローファン)- 台湾のソウルフード
豚肉を甘辛く煮込んだものをご飯にかけた「魯肉飯」は、台湾人のソウルフードとも言える存在です。日本でも本格的な味を提供する店が増え、手軽に楽しめる台湾料理として人気を集めています。
店によって味付けや具材が異なり、八角の香りが効いたものから、日本人向けにアレンジされたものまで様々。自分好みの一杯を見つける楽しみもあります。
牛肉麺(ニューローメン)- 究極の麺料理
じっくり煮込んだ牛肉と、コシのある麺が特徴の「牛肉麺」は、台湾を代表する麺料理です。清湯(あっさりスープ)と紅焼(こってりスープ)の2種類があり、それぞれ異なる味わいが楽しめます。
東京・神保町の「台湾牛肉麺 廖家」や、大阪・心斎橋の「牛肉麺専門店 段純貞」など、本場の味を再現した専門店も登場。ラーメンとは一味違う、深みのある味わいが人気です。
推し活×台湾料理 – エンタメとグルメの融合
台湾料理ブームの背景には、台湾エンタメの人気上昇も大きく関係しています。台湾ドラマやアイドルの「推し活」と連動した新しい楽しみ方が生まれています。
台湾ドラマ・映画とのコラボ
人気台湾ドラマ「想見你(時をかける愛)」や「華燈初上(華燈初上-夜を生きる女たち-)」の影響で、劇中に登場する料理を再現する店が増加。ファンにとっては「推しと同じものを食べる」という新しい推し活の形となっています。
台湾アイドル・アーティストとの連携
台湾の人気グループのメンバーが来日時に訪れた店は、即座にファンの聖地化。SNSでの拡散力も手伝って、新たな集客の仕組みが生まれています。
台湾料理店の新しい波 – コンセプト店が続々登場
2025年の台湾料理シーンで特に注目したいのが、独自のコンセプトを持った新しいタイプの店舗です。
台湾式居酒屋「熱炒(ルーチャオ)」スタイル
台湾の大衆居酒屋文化「熱炒」を再現した店が増えています。ビールと一緒に楽しむ台湾料理は、日本の居酒屋文化とも相性抜群。台湾ビールはもちろん、紹興酒や高粱酒なども楽しめます。
台湾カフェの進化系
タピオカドリンクだけでなく、台湾茶や台湾スイーツを本格的に楽しめるカフェも増加中。特に、台湾茶の奥深い世界を体験できる「茶藝館」スタイルの店は、大人の新しい楽しみ方として注目されています。
台湾朝食専門店の台頭
朝食文化が豊かな台湾の魅力を伝える朝食専門店も登場。鹹豆漿をはじめ、蛋餅(ダンピン)や飯糰(ファントゥアン)など、本場の朝食メニューが楽しめます。
データで見る台湾料理ブーム
台湾料理の人気は、データからも明確に読み取れます。
指標 | 2023年 | 2024年 | 2025年(予測) |
---|---|---|---|
検索指数 | 6倍(2020年比) | 8倍 | 10倍 |
取扱店舗数 | 1.7倍(2020年比) | 2.2倍 | 2.8倍 |
市場規模 | 前年比120% | 前年比115% | 前年比110% |
タピオカほどの爆発的な増加はないものの、緩やかな上昇で着実に指数を増やし、トレンドから定番となっていることがデータから推測できます。
地域別人気メニューランキング
2025年7月時点での地域別人気メニューを見てみましょう。
東京エリア
- 鹹豆漿(シェントウジャン)
- 大鶏排(ダージーパイ)
- 牛肉麺(ニューローメン)
- 豆花(トウファ)
- 魯肉飯(ルーローファン)
大阪エリア
- 大鶏排(ダージーパイ)
- 麻辣火鍋(マーラーフオグオ)
- QQボール
- 牛肉麺(ニューローメン)
- 豆花(トウファ)
名古屋エリア
- 魯肉飯(ルーローファン)
- 鹹豆漿(シェントウジャン)
- 麻辣火鍋(マーラーフオグオ)
- 大鶏排(ダージーパイ)
- 台湾カステラ
台湾料理を楽しむためのマナーと豆知識
台湾料理をより楽しむために知っておきたいマナーと豆知識をご紹介します。
食べ方のコツ
- 小皿料理は皆でシェア:台湾では料理をシェアする文化があります。複数の料理を注文して、みんなで分け合うのが基本スタイルです。
- スープは最後に:台湾では食事の最後にスープを飲むことが多いです。消化を助ける意味があるとされています。
- 麺はすすらない:日本とは異なり、台湾では麺をすする音を立てないのがマナーです。
注文のポイント
- 辛さの調整:多くの台湾料理店では辛さの調整が可能です。「小辣(シャオラー)」は少し辛い、「中辣(ジョンラー)」は中辛、「大辣(ダーラー)」は激辛を意味します。
- 温度の指定:飲み物は「冰(ビン)」で冷たい、「温(ウェン)」で温かい、「熱(ルー)」で熱いを指定できます。
- 量の調整:麺料理では「大碗(ダーワン)」で大盛り、「小碗(シャオワン)」で小盛りを選べることが多いです。
自宅で楽しむ台湾料理 – 簡単レシピとおすすめ調味料
台湾料理ブームの影響で、自宅でも本格的な台湾料理を楽しむ人が増えています。
必須調味料
- 豆板醤(トウバンジャン):辛味と旨味のベースとなる調味料
- 甜麺醤(テンメンジャン):甘みのある味噌系調味料
- 花椒(ホアジャオ):痺れる辛さを演出するスパイス
- 五香粉(ウーシャンフェン):台湾料理の香りを決める混合スパイス
- 紹興酒(ショウコウシュ):料理の風味を深める調理酒
簡単に作れる台湾料理
魯肉飯の簡単レシピ
- 豚バラ肉を1cm角に切る
- フライパンで豚肉を炒め、脂を出す
- 醤油、砂糖、紹興酒、五香粉で味付け
- 水を加えて30分ほど煮込む
- ご飯にかけて完成
調理時間は約40分。本格的な味わいが自宅でも楽しめます。
台湾料理店選びのポイント
数多くの台湾料理店から、本当に美味しい店を選ぶポイントをご紹介します。
本格派を見分ける方法
- 台湾人スタッフの有無:本場の味を再現するには、台湾人スタッフの存在が重要です
- 調味料のこだわり:台湾から直輸入した調味料を使用しているかチェック
- メニューの豊富さ:定番メニューだけでなく、現地の家庭料理もあるか確認
- 客層:台湾人客が多い店は、本格的な味の証拠
シーン別おすすめ
- デート:雰囲気の良い台湾カフェや、おしゃれな台湾料理レストラン
- 友人との食事:熱炒スタイルの賑やかな居酒屋
- 一人飯:カウンター席のある牛肉麺専門店や朝食店
- 家族連れ:個室のある本格台湾料理レストラン
台湾料理の健康効果
台湾料理は美味しいだけでなく、健康面でも注目されています。
注目の健康効果
- 豆乳・豆腐料理:大豆イソフラボンによる美容効果
- 薬膳スープ:体調を整える効果
- 発酵食品:腸内環境の改善
- スパイス類:代謝促進、血行改善
ダイエット中でも楽しめるメニュー
- 鹹豆漿(低カロリー高タンパク)
- 涼拌小黄瓜(きゅうりの和え物)
- 清燙青菜(茹で野菜)
- 豆花(砂糖控えめ)
今後の展望 – 台湾料理はどこへ向かうのか
2025年7月現在の台湾料理ブームは、一過性のトレンドではなく、日本の食文化に定着しつつあります。今後の展望として、以下のような動きが予想されます。
地方都市への拡大
現在は都市部中心の展開ですが、今後は地方都市にも本格的な台湾料理店が増えていくでしょう。特に、観光地では台湾料理を目当てにした観光客の増加も期待されます。
フュージョン料理の登場
日本と台湾の食文化を融合させた新しいスタイルの料理も登場しています。例えば、「台湾風おでん」や「味噌ラーメン×牛肉麺」など、両国の良さを活かしたメニューが人気を集めています。
食材・調味料の一般化
スーパーマーケットでも台湾の調味料や食材が手に入りやすくなり、家庭での台湾料理作りがより身近になっています。料理教室やオンラインレッスンも増加中です。
まとめ – この夏、台湾料理を楽しもう
2025年夏、台湾料理は単なるブームを超えて、日本の食文化の一部として定着しつつあります。タピオカに続く「nextタピオカ」候補たちは、それぞれ独自の魅力を持ち、様々な層から支持を集めています。
鹹豆漿でヘルシーな朝食を楽しみ、大鶏排でSNS映えする写真を撮り、麻辣火鍋で夏バテを吹き飛ばす。そんな台湾料理のある生活が、2025年の新しいスタンダードとなっています。
本格的な味を求めるなら専門店へ、手軽に楽しむならカフェやテイクアウト店へ。シーンに合わせて選べる選択肢の豊富さも、台湾料理の魅力です。この夏は、ぜひ様々な台湾料理にチャレンジして、お気に入りの一品を見つけてみてください。
台湾料理ブームはまだまだ続きます。次はどんな「nextタピオカ」が登場するのか、今後の展開からも目が離せません。