30kg減で別人!X-GUN西尾が見せた覚悟の大変身
「もう別人!」「痩せすぎて誰だか分からない」--7月23日、一枚の写真がSNS上で大きな話題となった。かつて「リズミカルデブ」のギャグで爆笑を誘った人気芸人が、スリムなスーツ姿で当選証書を手にする姿。お笑いコンビ・X-GUN(バツグン)の西尾秀貴(にしお・ひでたか)氏(55)が埼玉県三郷市議会議員に初当選し、約30キロの減量に成功した激変ぶりが注目を集めている。月収200万円から2万9000円への転落、どん底からの這い上がり、そして政治家への転身--西尾氏の波乱万丈な人生が、今新たな章を迎えた。
「キャー!リズミカルデブ」から激やせ政治家へ
西尾氏といえば、ボキャブラ天国時代には相方のさがね・まさひろと共に「アジアのスーパーエクスプレス」として活躍。番組内では「バツグン!」のポーズの後に「キャー!リズミカルデブ!」と叫ぶギャグで爆笑を誘い、キング戦で11回優勝、ワンナイト大会でも1回優勝という輝かしい成績を残した。
しかし、7月23日に西尾氏がインスタグラムに投稿した当選証書授与式の写真を見たファンからは、驚きの声が上がった。スーツ姿でネクタイを締めた西尾氏は、顔も体も大幅にほっそりとしており、かつての「リズミカルデブ」の面影はほとんどない。
「え?これ本当に西尾さん?」「痩せたなぁ…言われてもわからない」「ずいぶんな変わりっぷり笑」「別人すぎる」といったコメントが殺到。一方で「痩せても変わらずパワフルな笑顔」「健康的になってよかった」と好意的な反応も見られた。
月収200万円から2万9000円へ…どん底からの再起
1970年2月20日東京都生まれ、京都府育ちの西尾氏は、小学生時代に漫才ブームを見て芸人を志した。大阪写真専門学校(現・大阪ビジュアルアーツ専門学校)音響芸術科で相方のさがねと出会い、1990年にX-GUNを結成。1996年からボキャブラ天国に出演し、瞬く間に人気芸人の仲間入りを果たした。
しかし1999年の番組終了後、仕事は激減。最盛期には月収200万円だったのが、わずか2万9000円にまで落ち込んだ。実に70分の1という衝撃的な収入減だった。
時期 | 月収 | 主な仕事 |
---|---|---|
最盛期(1997-1999年) | 200万円 | テレビ出演多数 |
どん底期(2000年代前半) | 2万9000円 | スーパーの営業など |
現在(2025年) | 市議会議員報酬 | 三郷市議会議員 |
「お客さんが誰もいないスーパーで営業をやらされた」「後輩の成功に寄生するコバンザメと言われた」--かつての人気芸人への仕打ちとは思えない屈辱的な経験の数々。相方のさがねは涙を流しながら「もう芸人を辞めようか」と悩んだ。しかし、クリームシチューの有田哲平は「お前は社会で他に何もできないだろ」と厳しくも温かい言葉をかけ、アンタッチャブルの山崎弘也も「芸人しかできないんだから、這いつくばってでも続けろ」と背中を押した。仲間の支えが、どん底の二人を救った。
三郷市への移住と新たな人生
2016年には漫才協会に入会し、浅草の舞台でも活動を開始。テレビ、ラジオ、舞台と地道に活動を続けながら、2020年から埼玉県三郷市に移住した。
三郷市では芸能活動と並行して、放課後等デイサービスでパート指導員として勤務。障害を持つ子どもたちの支援に携わりながら、地域コミュニティとの関わりを深めていった。この経験が、西尾氏の政治への関心を高めるきっかけとなった。
「子どもたちと接する中で、この街にはまだまだ改善できることがたくさんあると感じた」と西尾氏は語る。2024年には「もっと!三郷市の会」の政策委員長に就任し、本格的に政治活動をスタートさせた。
「ばつぐんな三郷市をつくろう!」スローガンで初当選
7月20日の三郷市議会議員選挙では、「ばつぐんな三郷市をつくろう!」というキャッチフレーズを掲げて出馬。芸人時代の知名度だけでなく、地域に根ざした活動が評価され、3154票を獲得して見事初当選を果たした。
西尾氏の主な公約は以下の通りだ:
- 子育て支援の充実(放課後デイサービスの拡充)
- 高齢者の見守りネットワーク構築
- 地域コミュニティの活性化
- 防災対策の強化
- 若者の定住促進策
「3154票は『最高よ!』と読めるんです。本当に最高な気持ちです」と、お笑い芸人らしい語呂合わせで喜びを表現した西尾氏。7月23日にはインスタグラムで「初めての当選証書授与式、めちゃくちゃ楽しかった」と率直な感想を投稿した。
芸人から政治家への転身、成功事例が続々
近年、お笑い芸人から政治家に転身する例が増えている。東京都知事の小池百合子氏の下でアドバイザーを務めた東国原英夫氏(元宮崎県知事)、大阪府知事・市長を歴任した橋下徹氏、参議院議員の東海由紀子氏(元エレキコミック)など、成功例は枚挙にいとまがない。
芸人出身の政治家が評価される理由として、以下の点が挙げられる:
- コミュニケーション能力 – 難しい政策も分かりやすく説明できる
- 親しみやすさ – 市民との距離が近い
- 発信力 – SNSなどを効果的に活用できる
- タフさ – 批判に強く、逆境を乗り越える力がある
激やせの理由は「健康管理」と「覚悟」
西尾氏の激変した姿について、関係者は「政治家を目指すにあたって、健康管理を徹底したようだ」と語る。かつて「リズミカルデブ」をネタにしていた西尾氏だが、55歳という年齢を考慮し、市議会議員として長く活動するために体重管理に取り組んだという。
「芸人時代は体型もネタの一部だったが、政治家として市民の皆さんに信頼していただくためには、まず自分の健康管理ができていることが大切だと考えた」と西尾氏は説明する。食事制限と運動を組み合わせ、約30キロの減量に成功したという。
相方・さがねも応援「西尾なら絶対できる」
X-GUNの相方であるさがね・まさひろも、西尾氏の当選を心から祝福した。「西尾は昔から人を笑わせることと同じくらい、人の役に立ちたいという思いが強かった。政治家になっても、その思いは変わらないはず」とコメント。
さがねは現在も芸能活動を続けており、2016年からは漫才協会の一員として浅草の舞台に立っている。「いつかまた西尾と漫才ができる日が来ればいいなと思っているけど、今は彼の新しい挑戦を応援したい」と話す。
三郷市民の反応は?期待と不安が交錯
西尾氏の当選に対する三郷市民の反応は様々だ。放課後デイサービスで西尾氏と一緒に働いていた職員は「子どもたちへの接し方がとても優しくて、信頼できる人だった。議員になっても変わらずに頑張ってほしい」と期待を寄せる。
一方で、「タレント議員は話題性だけで実績が伴わないことが多い」と懸念する声もある。西尾氏はこうした声に対し、「確かにタレント出身という色眼鏡で見られることもあるでしょう。でも、私は三郷市民として5年間この街で暮らし、働いてきました。その経験を活かして、市民の皆さんの期待に応えたい」と決意を語る。
ボキャブラ世代が政治の中核へ
1996年から1999年にかけて放送された「ボキャブラ天国」は、多くの若手芸人を輩出した伝説的な番組だ。爆笑問題、ネプチューン、くりぃむしちゅー(当時は海砂利水魚)など、現在もテレビで活躍する芸人たちを数多く生み出した。
そんなボキャブラ世代が、今や40代後半から50代となり、社会の中核を担う年齢になった。西尾氏の政界進出は、この世代が新たなステージで活躍し始めた象徴的な出来事といえるだろう。
ボキャブラ天国出身芸人の現在
- 爆笑問題 – 太田光が情報番組でコメンテーター、田中裕二はMC業で活躍
- ネプチューン – 名倉潤、原田泰造、堀内健がそれぞれ俳優・MC業で成功
- くりぃむしちゅー – 上田晋也、有田哲平が冠番組多数
- つぶやきシロー – 現在も芸人として活動、独特の世界観で根強い人気
- アンジャッシュ – 児嶋一哉がピンで活躍中
「笑い」から「政治」へ、西尾氏の新たな挑戦
西尾氏は市議会議員としての抱負を次のように語る。「お笑いも政治も、根本は同じだと思うんです。人を幸せにしたい、笑顔にしたいという思い。ただ、その手段が違うだけ。芸人時代は笑いで、今度は政策で市民の皆さんを幸せにしたい」
8月から始まる議員活動に向けて、西尾氏は現在猛勉強中だという。「正直、覚えることが山ほどあって大変です。でも、ボキャブラ時代にネタを必死で覚えたのと同じ。今度は条例や予算を覚えて、市民の皆さんのために働きます」
まとめ:どん底から這い上がった男の新たな挑戦
月収200万円から2万9000円への転落、誰もいないスーパーでの営業、「コバンザメ」と呼ばれた屈辱の日々。そんなどん底を経験した西尾秀貴氏が、55歳にして政治家として新たなスタートを切った。
激やせして別人のようになった姿は、彼の覚悟の表れなのかもしれない。「リズミカルデブ」として笑いを取っていた男が、今度は三郷市民31万人の生活を良くするために奮闘する。
「バツグン!」のポーズは封印しても、「ばつぐんな三郷市」を作るという新たな目標に向かって、西尾氏の挑戦は始まったばかりだ。ボキャブラ世代の一人として、芸人から政治家への転身がどのような結果をもたらすのか、今後の活躍に注目が集まる。