朝倉未来、4年越しの雪辱戦で感動のリベンジ達成

2025年7月27日、さいたまスーパーアリーナで開催された「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」のメインイベントで、朝倉未来選手が元RIZINフェザー級王者クレベル・コイケ選手に2-1のスプリット判定で勝利を収めました。2021年6月の「RIZIN.28」での三角絞めによる失神KO負けから実に4年。日本格闘技界のカリスマが、ついに因縁の相手へのリベンジを果たしたのです。

試合後、朝倉選手は「やったぞ!」と雄叫びを上げ、会場は熱狂の渦に包まれました。何度も沸き起こる「ミクルコール」が、この勝利がいかに待ち望まれていたかを物語っていました。

激闘の3ラウンド、勝敗を分けたポイントとは

第1ラウンド:朝倉のサウスポースタンスが功を奏す

試合開始のゴングと同時に、朝倉選手はサウスポースタンスで前に出ました。これは前回の対戦とは異なる戦術で、クレベル選手の得意とするテイクダウンへの対策が明確に見て取れました。朝倉選手は距離を保ちながら的確なジャブとローキックを放ち、クレベル選手のタイミングを外していきます。

1分30秒過ぎ、クレベル選手が組み付いてテイクダウンを狙いますが、朝倉選手は冷静に対処。ケージを背にしながらも、しっかりとディフェンスし、離れ際にボディへの強烈な一撃を見舞いました。この瞬間、会場からは大きな歓声が上がり、朝倉選手の成長を感じさせる場面となりました。

第2ラウンド:打撃で優位に立つ朝倉

第2ラウンドに入ると、朝倉選手はさらに積極的に前に出ます。ミドルキックとローキックのコンビネーションで、クレベル選手の動きを封じ込めていきました。特に印象的だったのは、2分過ぎに見せた左ストレートからの右フック。このコンビネーションがクリーンヒットし、クレベル選手は一瞬よろめきました。

クレベル選手も必死にテイクダウンを狙いますが、朝倉選手のテイクダウンディフェンスは4年前とは比べ物にならないほど向上していました。それどころか、3分30秒には朝倉選手が上のポジションを取り、エルボーの連打でダメージを与えるという展開に。会場は朝倉選手の圧倒的な成長に沸き立ちました。

第3ラウンド:勝負を決めた守りの強さ

最終ラウンド、クレベル選手は一か八かの勝負に出ます。開始早々から執拗にテイクダウンを狙い、グラウンドでの一発逆転を目論みました。しかし、朝倉選手は冷静さを失いません。タイミングよくスプロールを決め、時にはギロチンチョークを狙うなど、攻防一体の戦いを見せました。

残り1分を切ったところで、クレベル選手が最後の力を振り絞ってシングルレッグに入りますが、朝倉選手は見事にディフェンス。逆に上を取って、パウンドでプレッシャーをかけ続けました。試合終了のゴングが鳴ると、朝倉選手は両手を高く掲げ、4年間の苦悩から解放された喜びを爆発させました。

判定結果に見る、僅差の勝利

ジャッジ 第1ラウンド 第2ラウンド 第3ラウンド 合計 勝者
ジャッジA 10-9 朝倉 10-9 朝倉 9-10 クレベル 29-28 朝倉未来
ジャッジB 9-10 クレベル 9-10 クレベル 10-9 朝倉 28-29 クレベル・コイケ
ジャッジC 10-9 朝倉 10-9 朝倉 9-10 クレベル 29-28 朝倉未来

2-1のスプリット判定という結果が示すように、この試合は文字通り紙一重の勝負でした。ジャッジによって見解が分かれたことからも、両者がいかに拮抗した戦いを繰り広げたかが分かります。しかし、朝倉選手の打撃での優位性と、改善されたテイクダウンディフェンスが、最終的に勝利をもたらしたと言えるでしょう。

4年間の成長が生んだ勝利への道

前回対戦からの変化

2021年6月13日の初戦では、朝倉選手は1ラウンド2分40秒で三角絞めによって失神KO負けを喫しました。当時の朝倉選手は、クレベル選手の柔術技術に対する対策が不十分で、グラウンドでの攻防で完全に劣勢に立たされていました。

しかし今回の再戦では、朝倉選手の成長が随所に見られました。まず第一に、スタンディングでの打撃技術が格段に向上していました。特にディスタンスコントロールが秀逸で、クレベル選手を自分の間合いで戦わせることに成功していました。

第二に、グラップリング面での進化も顕著でした。クレベル選手の得意とするテイクダウンをことごとく切り、グラウンドに持ち込まれてもすぐに立ち上がる技術を身につけていました。これは4年間、朝倉選手が地道にレスリングと柔術のトレーニングを積み重ねてきた成果と言えるでしょう。

メンタル面の成長

技術面だけでなく、メンタル面での成長も勝利の大きな要因となりました。前回の対戦では、クレベル選手のプレッシャーに押され、自分のペースを作れずに敗れました。しかし今回は、終始冷静さを保ち、自分の戦略を貫き通しました。

特に第3ラウンド、クレベル選手が必死の反撃に出た場面でも、朝倉選手は焦ることなく対処しました。これは、数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験が生きた瞬間でした。2022年のメイウェザー戦、2023年の平本蓮戦など、大舞台での経験が朝倉選手を一回りも二回りも大きく成長させたのです。

勝利後の朝倉未来、次なる挑戦へ

ケラモフへの挑戦表明

試合後のマイクパフォーマンスで、朝倉選手は次の対戦相手として、UFCから参戦のヴガール・ケラモフ選手の名前を挙げました。「次はケラモフとやりたい。UFCレベルの選手と戦って、自分の実力を証明したい」と語った朝倉選手の目には、さらなる高みを目指す闘志が燃えていました。

ケラモフ選手は、UFCで14勝3敗という戦績を持つ実力者。ダゲスタン出身で、あのハビブ・ヌルマゴメドフと同じジムでトレーニングを積んできた選手です。もしこの対戦が実現すれば、朝倉選手にとってキャリア最大の挑戦となることは間違いありません。

クレベルとの3度目の対戦も視野に

一方で、朝倉選手はクレベル選手との3度目の対戦にも言及しました。「これで1勝1敗。決着をつけるためにも、もう一度やりたい」と語り、両者の因縁はまだ終わっていないことを示唆しました。

実際、クレベル選手も試合後のインタビューで判定結果に納得していない様子を見せており、再々戦への意欲を示していました。RIZINとしても、この因縁の対決の完結編は大きな興行価値があるため、実現の可能性は高いと見られています。

日本格闘技界への影響

若手選手への刺激

朝倉選手の勝利は、日本の若手格闘家たちに大きな刺激を与えました。特に、一度は大敗を喫した相手に、4年の歳月をかけて成長し、リベンジを果たすという物語は、多くの選手に勇気を与えたことでしょう。

RIZIN所属の若手選手たちからは、SNSを通じて祝福のメッセージが相次ぎました。「朝倉さんの姿を見て、自分も諦めずに頑張ろうと思った」「技術だけでなく、メンタルの強さも学ばせてもらった」といったコメントが寄せられ、朝倉選手が日本格闘技界のロールモデルとなっていることが改めて証明されました。

RIZINの国際化への貢献

今回の勝利は、RIZINの国際化という観点からも大きな意味を持ちます。朝倉選手がブラジル人トップファイターを破ったことで、日本人選手の実力が世界レベルにあることを証明しました。

さらに、次戦でケラモフ選手との対戦が実現すれば、UFCトップ選手との交流が生まれ、RIZINの国際的な認知度向上につながることが期待されます。朝倉選手の存在が、日本の総合格闘技を世界に発信する重要な役割を果たしているのです。

ファンの反応と社会現象

SNSでの爆発的な反響

試合直後から、X(旧Twitter)では「#朝倉未来」「#超RIZIN4」がトレンド1位を獲得。投稿数は24時間で50万件を超え、格闘技イベントとしては異例の注目度となりました。

特に印象的だったのは、普段格闘技を見ない層からの反応です。「初めて格闘技の試合を最後まで見た」「朝倉選手の諦めない姿に感動した」といったコメントが多数寄せられ、格闘技ファンの裾野拡大に貢献していることが分かります。

YouTube登録者数の急増

朝倉選手のYouTubeチャンネル「朝倉未来 Mikuru Asakura」は、試合後24時間で登録者数が10万人以上増加。総登録者数は320万人を突破し、日本の格闘家YouTuberとして圧倒的な人気を誇っています。

試合後に投稿された「【超RIZIN.4】クレベル戦の舞台裏」という動画は、公開から12時間で再生回数300万回を記録。控室での様子や、試合直前の心境などが赤裸々に語られ、ファンから大きな反響を呼んでいます。

格闘技界のレジェンドたちからの評価

桜庭和志のコメント

日本総合格闘技界のレジェンド、桜庭和志氏は自身のSNSで朝倉選手の勝利についてコメントしました。「未来の成長には本当に驚かされた。4年前とは別人のような戦いぶりだった。特にメンタルの強さは、日本人選手の中でもトップクラス。これからも日本格闘技界を引っ張っていってほしい」と絶賛しました。

青木真也の分析

現役トップファイターの青木真也選手は、より技術的な観点から分析を行いました。「朝倉のディフェンシブレスリングの向上は目覚ましい。クレベルのような柔術家に対して、あそこまでテイクダウンを切れるようになったのは、相当な努力の賜物。次のケラモフ戦では、さらに高いレベルのレスリングが要求されるが、今の朝倉なら十分戦えるはず」と評価しました。

今後の展望と課題

技術面でのさらなる進化の必要性

今回の勝利で大きな自信を得た朝倉選手ですが、世界のトップと戦うためには、さらなる進化が必要です。特に、ケラモフ選手のようなダゲスタン勢と戦うためには、レスリング技術のさらなる向上が不可欠です。

また、今回の試合では見せなかった寝技での攻撃力も、今後の課題として挙げられます。相手を倒すだけでなく、グラウンドでも積極的に攻められるようになれば、朝倉選手の戦術の幅はさらに広がることでしょう。

年齢との戦い

朝倉選手は現在32歳。格闘家としてはまだまだ全盛期と言える年齢ですが、トップレベルで戦い続けるためには、体のケアがますます重要になってきます。

特に、YouTubeやビジネス活動と格闘技の両立は、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。しかし、朝倉選手はこれまでもその両立を見事にこなしてきました。今後も、スマートなキャリアマネジメントで、長く第一線で活躍することが期待されます。

まとめ:新たな伝説の始まり

超RIZIN.4での朝倉未来選手の勝利は、単なる一勝以上の意味を持っています。それは、日本人選手が世界レベルで戦えることの証明であり、努力と成長によって過去の敗北を乗り越えられることの証でもあります。

4年前の敗北から立ち上がり、見事なリベンジを果たした朝倉選手。その姿は、格闘技ファンだけでなく、多くの人々に勇気と感動を与えました。これからも朝倉選手は、日本格闘技界の顔として、そして挑戦者として、新たな伝説を作り続けることでしょう。

次なる挑戦に向けて、朝倉未来の戦いはまだまだ続きます。ケラモフ戦が実現するのか、それともクレベルとの3度目の対決が先になるのか。いずれにせよ、朝倉選手の次の一戦から目が離せません。日本格闘技界の未来は、確実に明るい方向へと向かっています。

投稿者 hana

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