予言外れでも560億損失！社会に残る深い傷跡　たつき諒騒動1か月後の衝撃実態

「外れてよかった」では済まない　日本社会を蝕む深刻な後遺症

観光業界560億円の大損失、若者の3人に2人が今も予言を信じる異常事態——

2025年7月5日、全国を恐怖に陥れた「たつき諒の大災害予言」。幸い予言は外れたが、あれから1か月経った今、日本社会に残された傷跡はあまりにも深刻だ。

経済産業省の緊急調査で明らかになった観光業界の被害総額560億円。この数字は、現代の情報社会がいかに脆弱で、根拠のない情報一つで国家経済を揺るがしかねない現実を突きつけている。

しかも恐ろしいことに、予言が外れた今でも若年層の68%が「部分的に予言を信じる」と回答。TikTokでは関連動画が2億8000万回再生され、「次の災害日」を探し求める人々が後を絶たない。

「外れてよかった」——そう安堵している場合ではない。この騒動が露呈したのは、日本社会の根深い構造的問題なのだから。

観光業界に深刻な後遺症、復旧メド立たず

最も深刻な影響を受けたのが観光業界だ。経済産業省の最新調査によると、予言騒動による観光業界の経済損失は総額560億円に達することが明らかになった。

特に香港からの観光客の減少は深刻で、7月の予約キャンセル率が50%を超えた地域もある。香港の著名な風水師らが予言を支持する発言をしたことで、現地メディアが大々的に報道し、日本旅行への恐怖心が広がった結果だ。

TikTok世代を中心とした信者化現象

特筆すべきは、若年層における予言への「信仰化」現象だ。TikTokのハッシュタグ「#たつき諒」は現在も2億8000万回を超える再生回数を記録している。

• 10代後半: 68%が予言を「部分的に信じる」と回答
• 20代前半: 45%が「今後も警戒が必要」と考える
• 30代以上: 23%のみが予言に関心を示す

InstagramやTikTokでは、予言外れ後も「実は別の日に起こる」「政府が隠蔽している」といった陰謀論的な投稿が拡散し続けている。

予言者たつき諒の困惑と業界の責任論

作者本人が語る「意図していない拡散」の真実

当の本人であるたつき諒氏は、7月中旬のメディア取材で困惑を隠せない様子を見せた。

「私は予言者ではありません。漫画で描いたのは、あくまで夢で見た内容を記録したものです。それが『確実に起こる予言』として一人歩きしてしまい、多くの方にご迷惑をおかけして申し訳なく思っています」

実際、たつき諒氏の著書「私が見た未来」完全版では、「夢で見た日 ≠ 現実で起こる日」と明記されており、特定の日付を断定する表現は避けられていた。

出版社・メディアの責任論が浮上

問題となっているのは、書籍の帯に記載された「本当の大災難は2025年7月」という煽り文句だ。出版関係者によると、この表現は販売戦略として編集部主導で決められたものだという。

「正直、ここまで社会現象になるとは想定していませんでした。しかし、結果として多大な被害を与えてしまったことは重く受け止めています」（出版社関係者）

現在進行中の後遺症と社会への影響

「次の災害日」を求める予言ジプシー化

予言が外れた後、信じていた人々の一部は「次の災害日」を探し求める行動に出ている。ネット上では以下のような新たな予言日が拡散している：

• 2025年8月15日説（終戦記念日との関連性）
• 2025年9月1日説（関東大震災から102年）
• 2025年11月8日説（たつき諒氏の別の夢日記から）

企業の防災対策への過度な投資

予言騒動は防災業界にも影響を与えた。7月前後に防災用品の売上は前年同月比で280%増を記録。しかし、予言外れ後は大量の返品や在庫過多に悩む企業が続出している。

専門家が警鐘「現代の情報災害」

デジタル社会学者の見解

東京大学の山田智弘教授（デジタル社会学）は、今回の騒動を「現代的な情報災害」として位置づける。

「SNSのアルゴリズムが類似の興味を持つユーザーを集めることで、予言を信じる人々の間で情報が循環し、確証バイアスが強化されました。これは従来のマスメディア時代では考えられなかった現象です」

経済学者が指摘する「不安ビジネス」の構造

慶應義塾大学の田中良雄教授（行動経済学）は、予言ブームの背景に「不安の商品化」があると指摘する。

「コロナ禍、自然災害、経済不安など、現代人の不安要素は多岐にわたります。その心理的隙間に付け込んだ商業的戦略が、今回の騒動を拡大させた一因です」

政府の対策と今後の課題

デジタル庁が新ガイドライン策定へ

政府のデジタル庁は8月1日、「災害予言等の根拠なき情報拡散防止ガイドライン」の策定を発表した。SNSプラットフォーム事業者との連携により、科学的根拠のない災害予言の拡散制限を検討している。

教育現場での情報リテラシー強化

文部科学省は全国の中学・高校で情報リテラシー教育の強化を決定。特に「科学的根拠の重要性」「情報の検証方法」に重点を置いた新カリキュラムの導入を2026年度から開始する。

観光業界の復旧戦略と課題

インバウンド回復への長期戦略

日本政府観光局（JNTO）は、予言騒動で失った海外観光客の信頼回復に向けた包括的戦略を発表した。

• 各国の主要メディアでの日本の安全性アピール
• 有名インフルエンサーによる日本旅行レポート発信
• 割引キャンペーンによる旅行需要喚起（予算300億円）

しかし、観光業界関係者は「信頼の回復には最低1年はかかる」と見通しを示している。

まとめ：教訓として活かすべき社会現象

たつき諒の7月5日予言騒動から1か月。予言こそ外れたものの、この騒動が日本社会に与えた影響は深刻かつ長期的なものとなっている。

経済損失560億円という数字は、現代の情報社会における「根拠なき情報」の拡散力の恐ろしさを物語っている。同時に、不安を抱える現代人の心理的脆弱性も浮き彫りになった。

重要なのは、この騒動を単なる「予言外れ」で終わらせるのではなく、情報リテラシーの向上、メディアの責任、そして社会の不安構造の改善といった根本的課題に取り組むことだ。

次の予言ブームを防ぎ、より冷静で科学的な社会を築くために、政府、企業、教育機関、そして私たち一人一人が学ぶべき教訓は多い。