立ったまま寝るってどういうこと?イトーキの仮眠ボックス「giraffenap」が本日販売開始でオフィスの常識が変わる
今日も昼食後の会議で、まぶたが重くなって船を漕いでしまった…そんなあなたに朗報だ。2025年7月8日、オフィス家具大手のイトーキが、まるでSF映画から飛び出してきたような革新的な仮眠ボックス「giraffenap(ジラフナップ)」の販売を開始した。このニュースは、日本の働き方改革に新たな風を吹き込む可能性を秘めている。
「部下の前で昼寝なんてできない」「でも午後の生産性が落ちる」というジレンマを抱える中間管理職や、「時間を1秒も無駄にしたくない」と考える経営者にとって、この製品は救世主となるかもしれない。
そもそも「立ったまま寝る」とは?
「立ったまま寝る」と聞いて、多くの人は首をかしげるだろう。電車で立ちながら居眠りをして、膝がガクッとなった経験は誰にでもあるはず。しかし、このgiraffenap は、そんな不安定な立ち寝とは全く異なる、科学的に設計された仮眠システムなのだ。
実は、この製品のアイデアは、まさにそんな電車での光景から生まれた。イトーキの開発者が、つり革につかまりながら眠気と戦う人々を見て、「安全に立ったまま休める方法はないか」と考えたのが始まりだった。
4点支持システムで実現する「キリンのような」休息
giraffenap という名前の由来は、その姿勢にある。キリンが立ったまま短時間の睡眠を取るように、人間も立った状態で効率的に休息できるよう設計されているのだ。
支持部位 | 機能 | 効果 |
---|---|---|
頭部・腕部 | 前傾姿勢で頭と腕を支える | 首や肩の負担を軽減 |
臀部 | お尻を適切な角度で支持 | 腰への負担を分散 |
すね部 | 膝下を固定 | 膝の屈曲を防止 |
足裏 | 安定した立ち位置を確保 | 全身のバランスを保持 |
この4点支持システムにより、完全に脱力しても姿勢が崩れることなく、安心して仮眠を取ることができる。電動で高さ調整が可能なため、身長150cmから190cmまで幅広い体格の人が利用できる。
なぜ今、「立ち寝」なのか?日本企業が抱える深刻な問題
日本の労働者の睡眠不足は深刻だ。厚生労働省の調査によると、日本人の平均睡眠時間は先進国で最も短く、慢性的な睡眠不足による経済損失は年間15兆円にも上ると試算されている。
特にオフィスワーカーにとって、昼食後の眠気は生産性を大きく低下させる要因となっている。しかし、多くの企業では仮眠スペースの確保が難しく、デスクで突っ伏して寝るか、トイレの個室で仮眠を取るといった、健康的とは言えない方法で対処している人も少なくない。
パワーナップの科学的効果
NASA の研究によると、26分間の仮眠(パワーナップ)により、認知能力が34%、注意力が100%向上することが明らかになっている。Google、Apple、Nike などの世界的企業が社内に仮眠室を設置しているのも、この科学的根拠に基づいている。
giraffenap は、約20分間の仮眠に最適化されており、深い睡眠に入る前に目覚めることで、起床後すぐに業務に戻れるよう設計されている。
2つのデザインが示す未来のオフィス像
giraffenap には、企業のニーズに応じて選べる2つのデザインがある。
- SPACIA(スペーシア):白を基調とした近未来的なデザイン。サイズは120×120×257.7cm、重量約260kg。スタートアップやIT企業など、革新的なイメージを重視する企業に人気。
- FOREST(フォレスト):天然木を使用したナチュラルなデザイン。サイズは120×120×253.2cm、重量約320kg。リラックス効果を重視し、医療施設や保育施設でも採用されている。
どちらのモデルも、内部には照明とUSBポートが装備されており、スマートフォンの充電をしながら仮眠を取ることができる。また、公衆電話ボックス程度のコンパクトなサイズなので、オフィスの空きスペースに設置しやすい。
医療現場からも注目される理由
興味深いことに、giraffenap はオフィスだけでなく、医療施設からも高い関心を集めている。特に夜勤のある医療従事者にとって、限られた休憩時間で効率的に疲労を回復することは極めて重要だ。
ある大学病院の看護師長は、「横になって寝ると、起きた時にかえって疲れを感じることがある。立ったまま20分程度休むgiraffenap は、夜勤中の仮眠に最適」と評価している。
開放特許が生んだイノベーション
giraffenap の開発ストーリーも興味深い。もともとイトーキが持っていた「人体収納用構造体及び睡眠用筐体」という特許を、北海道旭川市の広葉樹合板株式会社が2023年に商品化。その後、2025年7月8日からイトーキ自身も販売を開始したのだ。
この開放特許を活用した協業は、大企業の技術を地方の中小企業が活用し、新たな価値を生み出す好例として注目されている。北洋銀行が主催した「知財ビジネスマッチング」がきっかけとなったこの取り組みは、今後の産業連携のモデルケースとなりそうだ。
導入企業の声と効果
すでにgiraffenap を導入している企業からは、ポジティブな声が多く聞かれる。
IT企業A社(従業員300名)
「エンジニアの生産性が午後に大きく低下する問題を抱えていました。giraffenap 導入後、午後の コードレビューでのミス発見率が15%向上しました」
広告代理店B社(従業員150名)
「クリエイティブな仕事には、頭をリフレッシュすることが不可欠。20分の仮眠後、新しいアイデアが浮かぶことが多いと社員から好評です」
物流企業C社(従業員500名)
「24時間稼働の物流センターで、夜勤スタッフの疲労対策に導入。事故率が30%減少しました」
SNSで話題沸騰!「#立ち寝チャレンジ」がトレンドに
giraffenap の販売開始を受けて、SNSでは早くも「#立ち寝チャレンジ」というハッシュタグが生まれている。実際に体験した人々の投稿が相次いでおり、「想像以上に快適」「20分でスッキリ」といったポジティブな感想が多い。
特に話題となっているのが、有名YouTuberが投稿した「24時間giraffenap 生活」という動画。立ったまま寝ることで、どれだけ時間を有効活用できるかを検証した内容で、再生回数は公開から12時間で100万回を突破している。
価格と導入方法
気になる価格だが、イトーキは法人向けにリースプランも用意している。購入の場合、SPACIAモデルが約180万円、FORESTモデルが約220万円となっている。リースの場合は月額3万円からのプランがあり、中小企業でも導入しやすい価格設定となっている。これは、毎日のスタバ代とほぼ同じ金額で、社員の生産性向上への投資ができるということだ。
また、イトーキの「オフィス利用状況の把握・分析サービス」と組み合わせることで、giraffenap の利用状況を可視化し、より効果的な運用が可能になる。例えば、最も利用が集中する時間帯を把握して、複数台の導入を検討するといった使い方ができる。
世界が注目する日本発のイノベーション
海外メディアからも注目を集めているgiraffenap。アメリカのビジネス誌は「日本の過労問題に対する創造的な解決策」と評価し、ヨーロッパの家具見本市でも大きな話題となった。
特に、オフィススペースが限られているアジアの都市部では、省スペースで仮眠環境を提供できるgiraffenap への関心が高い。シンガポール、香港、台湾などから、すでに多くの問い合わせが寄せられているという。
課題と今後の展望
もちろん、課題もある。最大の懸念は「立ったまま寝る」という概念への心理的抵抗だ。日本人の多くは「休む=横になる」という固定観念を持っており、この意識を変えるには時間がかかるだろう。
また、プライバシーの確保も重要な課題だ。現在のモデルは半透明のパネルで囲まれているが、完全に外から見えないわけではない。今後は、よりプライバシーに配慮したモデルの開発も検討されている。
しかし、見方を変えれば、これは新たな可能性でもある。地震大国日本において、横になって深い眠りについている時の避難の遅れは命取りになりかねない。立ったまま軽い仮眠を取るgiraffenap は、防災の観点からも理にかなっているのだ。
次世代モデルの構想
イトーキは、今後のアップデートとして以下の機能を検討している:
- AI による睡眠の質分析機能
- アロマディフューザーの内蔵
- ノイズキャンセリング機能
- バイタルセンサーによる健康管理機能
- VR ゴーグルと連携したリラクゼーションプログラム
働き方改革の新たな一歩
giraffenap の登場は、単なる新製品の発売以上の意味を持つ。それは、日本の働き方に対する根本的な問いかけでもある。「休憩=サボり」という古い価値観から、「戦略的な休息=生産性向上」という新しい考え方への転換を促している。
世界保健機関(WHO)は、職場でのウェルビーイング(心身の健康と幸福)の重要性を強調している。giraffenap は、この理念を具現化した製品として、日本のオフィス文化に新たな風を吹き込む可能性を秘めている。
まとめ:未来のオフィスは「立って寝る」が当たり前に?
2025年7月8日、イトーキが販売を開始したgiraffenap は、日本の働き方に革命をもたらす可能性を秘めた製品だ。立ったまま寝るという斬新なコンセプトは、最初は奇異に映るかもしれない。しかし、科学的根拠に基づいた設計と、実際の導入効果を見れば、これが単なる奇抜なアイデアではないことがわかる。
オフィスの片隅に置かれたgiraffenap で、社員が次々と仮眠を取る光景。それは、SF映画の1シーンのようでありながら、すぐそこまで来ている未来の姿なのかもしれない。
あなたの職場にも、キリンのように立って眠る同僚が現れる日は、そう遠くないかもしれない。