三菱商事1500億円でサーモン世界2位!あなたの食費が変わる衝撃の理由
回転寿司でサーモンが値上げしない理由がついに判明した。2025年7月17日、日本の総合商社・三菱商事が約1500億円を投じてノルウェーの大手サーモン養殖会社の事業を買収することが明らかになった。この大型買収により、三菱商事は世界第4位から一気に第2位のサーモン生産者へと躍進する。これは単なる企業買収ではない。あなたの食卓に直接影響する、日本の食料戦略の大転換だ。
買収の全貌:グリーグ・シーフードから3事業を取得
三菱商事の子会社であるCermaq Group(セルマック・グループ)が、ノルウェーのグリーグ・シーフード社から3つのサーモン養殖事業を買収する。買収対象は、ノルウェー北部およびカナダの東海岸・西海岸で展開されている養殖場だ。
買収金額は約10億ドル(約1500億円)で、これは日本企業による水産事業買収としては過去最大級の規模となる。グリーグ・シーフード社が7月17日に公表したこの取引により、世界のサーモン養殖業界の勢力図が大きく塗り替えられることになる。
生産規模は1.4倍に拡大
この買収により、Cermaqの年間生産量は2027年4月期には約28万トンに達する見込みだ。これは2025年3月期の約1.4倍にあたる規模で、世界第2位のサーモン生産者としての地位を確立することになる。
時期 | 年間生産量 | 世界ランキング |
---|---|---|
2025年3月期 | 約20万トン | 第4位 |
2027年4月期(買収後) | 約28万トン | 第2位 |
なぜ今、サーモン養殖なのか?環境負荷の低いタンパク源として注目
サーモンは他の動物性タンパク質と比較して、必要な飼料量が少なく、環境負荷の低いタンパク源として世界的に需要が急拡大している。牛肉1kgを生産するのに必要な飼料は約8kgだが、サーモンは約1.2kgで済む。この効率性の高さが、持続可能な食料生産の観点から高く評価されている。
世界のサーモン需要は右肩上がり
- 世界のサーモン消費量は過去10年で約2倍に増加
- 特にアジア市場での需要が急拡大中
- 健康志向の高まりにより、高タンパク・低カロリー食品として人気
- 日本国内でも寿司・刺身用途での需要が堅調
日本の食料安全保障への貢献
日本の食料自給率は約38%(カロリーベース)と先進国の中でも低水準にとどまっている。特に動物性タンパク質の多くを輸入に依存しており、食料安全保障の観点から大きな課題となっている。
三菱商事による今回の買収は、単なるビジネス拡大だけでなく、日本の食料安全保障を強化する戦略的な意味合いも持つ。主要産地が限られ供給拡大に制約があるサーモン養殖事業において、日本企業が主導権を握ることで、安定的な供給源を確保できるからだ。
日本市場へのインパクト
- 価格の安定化:供給量の増加により、価格変動リスクを軽減
- 品質の向上:日本基準の品質管理を世界規模で展開
- 新商品開発:日本人の嗜好に合わせた商品開発が加速
- トレーサビリティの強化:生産から流通まで一貫管理
三菱商事のサーモン事業の歴史と戦略
三菱商事がサーモン養殖事業に本格参入したのは2014年。ノルウェーのCermaq ASAを買収し、世界有数のサーモン養殖・加工・販売会社を傘下に収めた。Cermaqはノルウェー、チリ、カナダの3カ国で事業を展開し、持続可能で安心・安全な養殖サーモンを世界中に供給している。
持続可能な養殖への取り組み
Cermaqは環境に配慮した養殖方法の開発にも力を入れている:
- 抗生物質の使用を最小限に抑えた養殖管理
- 養殖場周辺の海洋環境モニタリング
- 飼料の持続可能な調達(海洋資源に依存しない飼料開発)
- 養殖密度の適正化による魚の健康管理
競合他社の動向:総合商社のサーモン養殖競争
三菱商事以外の総合商社もサーモン養殖事業に注目している。丸紅、伊藤忠商事、双日などが相次いで陸上養殖事業に参入し、競争が激化している。
陸上養殖という新たな選択肢
従来の海面養殖に加えて、陸上養殖という新しい技術も注目を集めている。陸上養殖のメリットは:
- 天候や海洋環境の影響を受けない安定生産
- 病気のリスクを大幅に低減
- 消費地に近い場所での生産が可能
- 水質管理による品質の均一化
三菱商事も富山県入善町で陸上養殖事業を開始しており、海面養殖と陸上養殖の両輪で事業を展開している。
投資家からの評価:三菱商事株は買いか?
7月17日の買収発表を受けて、三菱商事の株価は3日ぶりに反発した。投資家からは、食料安全保障への貢献と収益性の高い事業への投資として高く評価されている。注目すべきは、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが日本の総合商社株に大量投資していることだ。今回の買収により、バフェット氏は間接的に世界最大級の水産投資家の一人となった。
三菱商事株投資の魅力
- 安定的な配当利回り(過去5年平均3-4%)
- 食料安全保障という長期的成長テーマへの投資
- バフェット氏も認める日本商社の価値
- サーモン市場の年率5-7%成長に直接アクセス
ESG投資の観点からも注目
環境・社会・ガバナンス(ESG)投資の観点からも、持続可能な食料生産への投資は評価されている。特に:
- 温室効果ガス排出量の少ないタンパク質生産
- 海洋資源の持続可能な利用
- 地域社会との共生(雇用創出など)
- 食料安全保障への貢献
日本の消費者にとってのメリット
この買収が日本の消費者にもたらすメリットは大きい。まず、サーモンの安定供給により価格の乱高下が抑えられる可能性がある。また、日本企業が生産・流通を管理することで、品質管理やトレーサビリティが向上し、より安心・安全なサーモンを食卓に届けられるようになる。
新しいサーモン商品の開発も期待
日本市場向けの新商品開発も加速すると予想される:
- 刺身・寿司用の高品質サーモン
- 加工食品(スモークサーモン、サーモンフレークなど)
- 機能性食品(DHA・EPA強化商品)
- ペットフード用途への展開
課題と今後の展望
一方で、課題も存在する。養殖業は自然環境の影響を受けやすく、水温上昇や海洋酸性化などの気候変動リスクに直面している。また、養殖密度の増加による病気の発生リスクや、地域社会との調整なども重要な課題だ。
技術革新への期待
これらの課題を解決するため、技術革新への投資も加速している:
- AI・IoTを活用した養殖管理システム
- ゲノム編集技術による病気に強い品種開発
- 代替飼料(昆虫由来タンパク質など)の開発
- 閉鎖循環式陸上養殖システムの高度化
グローバル食料システムへの影響
三菱商事の買収は、グローバルな食料システムにも影響を与える。世界第2位のサーモン生産者となることで、価格形成力が強まり、市場への影響力も増大する。これは日本企業がグローバルな食料安全保障に貢献する重要な一歩となる。
持続可能な開発目標(SDGs)への貢献
この事業は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の複数の目標に貢献する:
- 目標2:飢餓をゼロに
- 目標12:つくる責任つかう責任
- 目標14:海の豊かさを守ろう
- 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
まとめ:日本の食の未来を支える戦略的投資
三菱商事による1500億円のサーモン養殖事業買収は、単なる企業買収を超えた意味を持つ。世界的な人口増加と食料需要の拡大、気候変動による食料生産への影響、そして日本の食料安全保障という複合的な課題に対する戦略的な解答だ。
環境負荷の低いタンパク源としてのサーモンの価値、日本企業による品質管理の徹底、そして安定供給の実現。これらすべてが、日本の食卓をより豊かで持続可能なものにしていく。今回の買収を機に、日本の総合商社による食料安全保障への取り組みがさらに加速することが期待される。
私たち消費者にとっても、より安心・安全で手頃な価格のサーモンが食卓に並ぶ日は、そう遠くないかもしれない。三菱商事の大胆な一手が、日本の食の未来をどのように変えていくのか、今後の展開に注目が集まる。