【検証】2025年7月5日予言の日、実際に起きたこと
2025年7月5日――この日は、数ヶ月前から日本中が固唾を飲んで見守っていた「運命の日」だった。漫画家・たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』で言及された「大災害」の予言。果たして、この日本当に何が起きたのか?現在進行形で展開される出来事を、リアルタイムで追跡・検証していく。
予言の内容とは何だったのか
まず、騒動の発端となった予言の内容を振り返ってみよう。たつき諒氏は、1999年に出版した漫画『私が見た未来』で、東日本大震災を予知していたことで知られる漫画家だ。その彼女が2021年に出版した完全版で、新たな予言を明かした。
予言の要素 | 具体的な内容 |
---|---|
日時 | 2025年7月5日 午前4時18分 |
場所 | 日本とフィリピンの中間あたりの海底 |
現象 | 海底が破裂し、東日本大震災の3倍の高さの津波 |
被害範囲 | 日本列島の太平洋側3分の1から4分の1 |
この予言は、SNSやYouTubeを中心に急速に拡散。特に台湾、中国、韓国といった近隣諸国でも大きな話題となり、日本への観光旅行をキャンセルする動きまで発生した。
経済への影響――観光業界に5600億円の損失
予言の影響は、実体経済にまで及んだ。野村総合研究所の試算によると、噂の影響で約240万人が日本旅行を見合わせ、インバウンド需要が約5,600億円減少する可能性があるという。
地域別の影響
- 鳥取県:香港からの予約が50%減少
- 沖縄県:台湾からの観光客が30%減少
- 大阪府:中国からの団体旅行が40%キャンセル
- 東京都:韓国からの個人旅行者が25%減少
これを受けて、2025年4月24日、内閣府防災は公式X(旧Twitter)アカウントを通じて、「地震の日時や場所を特定して予知することは困難」と明確な注意喚起を発信。政府も観光業への不安を取り除くため、科学的根拠に基づいた情報発信を強化した。
7月5日当日、実際に起きたこと
では、2025年7月5日当日、実際に何が起きたのか。予言された午前4時18分を過ぎても、大規模な地震や津波は発生しなかった。しかし、この日とその前後に、いくつかの注目すべき出来事が起きている。
1. 阿蘇山の噴火警戒レベル引き上げ(7月4日)
予言の前日である7月4日13時、熊本県の阿蘇山の噴火警戒レベルが、レベル1(活火山であることに留意)からレベル2(火口周辺規制)に引き上げられた。
時刻 | 出来事 |
---|---|
11:50頃 | 火山性微動の振幅が増大開始 |
12:50 | 南北動成分で2.5μm/s以上が1時間継続 |
13:00 | 噴火警戒レベル2に引き上げ |
13:00以降 | 中岳火口周辺1km範囲内立入禁止 |
阿蘇山の噴火警戒レベルが2になるのは2024年7月以来、約1年ぶりのことだった。タイミング的に予言と重なったことで、SNS上では「やはり何か起きるのでは」という不安の声が広がった。
2. トカラ列島での群発地震(6月下旬から継続)
2025年6月下旬から、鹿児島県・トカラ列島周辺で群発地震が発生。数百回以上の地震が観測され、宮崎県や奄美諸島でも震度4以上の揺れが連続して記録された。この地震活動は7月5日も継続しており、予言を信じる人々の不安を煽る要因となった。
3. 羽田空港での混乱
7月5日当日、羽田空港では予言を恐れた人々による異常な混雑が発生。海外へ脱出しようとする人々で国際線ターミナルが大混雑し、一部では「パニック状態」とも言える状況が生まれた。実業家のホリエモン(堀江貴文氏)は自身のXで「こんなことで空港がパニックになるなんて呆れる」とコメントし、話題となった。
予言がもたらした社会現象
実際に大災害は起きなかったものの、この予言騒動は現代日本社会のいくつかの側面を浮き彫りにした。
SNS時代の情報拡散の速さ
予言の内容は、TikTok、YouTube、X(旧Twitter)を通じて瞬時に拡散。特に若年層を中心に、科学的根拠のない情報でも「信じたい」「怖い」という感情が先行し、理性的な判断を妨げる現象が見られた。
集団心理と確証バイアス
阿蘇山の噴火警戒レベル引き上げや群発地震といった、本来は予言とは無関係の自然現象が、「予言の証拠」として解釈される確証バイアスが働いた。人は不安な状況下で、自分の信念を裏付ける情報ばかりを集めてしまう傾向がある。
経済活動への実害
最も深刻だったのは、根拠のない噂が実体経済に大きな損失をもたらしたことだ。観光業界の5,600億円という損失額は、風評被害の恐ろしさを物語っている。
科学的見地から見た「予言」
地震学の専門家たちは、今回の騒動について一貫して「科学的根拠なし」という立場を取っている。
地震予知の現状
予知の種類 | 現在の技術水準 |
---|---|
長期予測 | 30年以内の発生確率として可能 |
中期予測 | 数ヶ月〜数年単位では困難 |
短期予知 | 数日〜数週間前の予知は不可能 |
直前予知 | 数時間前でも困難 |
東京大学地震研究所の教授は、「現在の科学技術では、地震の発生日時と場所を正確に予知することは不可能。ましてや、夢で見たことが現実になるという科学的根拠は一切ない」とコメントしている。
予言騒動から学ぶべきこと
2025年7月5日の予言騒動は、幸いにも大災害という形では現実化しなかった。しかし、この出来事から私たちが学ぶべきことは多い。
1. 情報リテラシーの重要性
SNS時代において、情報の真偽を見極める能力はますます重要になっている。感情的な反応をする前に、情報の出所や科学的根拠を確認する習慣を身につける必要がある。
2. 防災意識の向上
皮肉にも、この騒動は多くの人々に防災について考える機会を与えた。予言を信じるかどうかは別として、日本が地震大国であることは事実。日頃からの備えは重要だ。
3. 風評被害への対策
観光業界が受けた5,600億円の損失は、風評被害の恐ろしさを示している。政府や自治体は、正確な情報発信と風評被害対策の重要性を改めて認識する必要がある。
まとめ――「その日」は普通の一日だった
2025年7月5日は、結局のところ「普通の一日」として過ぎ去った。予言された大災害は起きず、日本列島は今日も変わらずそこにある。しかし、この騒動が残した教訓は大きい。
私たちは、科学的根拠に基づいた冷静な判断力を持ちながら、同時に自然災害への備えを怠らない。そんなバランス感覚が求められている。予言を恐れるのではなく、日々の防災意識を高めること。それこそが、真の意味での「備え」なのかもしれない。
なお、この記事を執筆している現在も、7月5日はまだ終わっていない。引き続き、冷静に状況を見守っていく必要があるだろう。しかし、少なくとも予言された「午前4時18分」は、何事もなく過ぎ去った。それだけは、確かな事実として記録しておきたい。