日本人初の快挙!今永昇太がQO受諾でカブス残留を決断

2025年11月19日、メジャーリーグ界に衝撃が走った。シカゴ・カブスからFAとなっていた今永昇太投手が、クオリファイングオファー(QO)を受諾し、1年2202万5000ドル(約34億円)でカブス残留を決断したのだ。これは日本人選手として初のQO受諾となり、MLB史上でも2012年の制度導入以降わずか18人目という極めて稀なケースとなった。

この決断の背景には、複雑な契約事情とFA市場の動向、そして今永自身のキャリア戦略が絡み合っている。本記事では、今永のQO受諾がもたらす影響と、この決断に至った経緯を徹底解説する。

クオリファイングオファー(QO)とは何か

まず、クオリファイングオファー制度について理解する必要がある。QOとは、球団がワールドシリーズ終了から5日間の独占交渉期間中に、手放したくないFA選手に対して提示できる規定額の1年契約だ。2025年の金額は2202万5000ドル(約34億円)で、これはMLBの年俸上位125選手の平均額に基づいて算出される。

QO制度の特徴とペナルティ

QO制度には大きな特徴がある。それは、QOを拒否してFAとなった選手が他球団と契約した場合、獲得球団はドラフト指名権を1つ以上失うというペナルティが科されることだ。このペナルティの重さゆえに、多くの選手がQOを拒否しても、期待ほどの複数年契約を獲得できないケースが多い。

2012年の制度導入以降、QOを受諾した選手はわずか18人(2025年11月19日時点)。基本的にはオファーを拒否することを前提とした制度であり、球団側も「ドラフト指名権の補償を得るためにQOを提示している」という側面が強い。

今永昇太がQOを受諾した理由

契約オプション破棄の経緯

今永は2023年オフにDeNAからポスティングシステムを経てメジャーに移籍し、カブスと4年5300万ドル(約81億3000万円)の契約を結んでいた。しかし、2025年オフにカブスが3年5700万ドル(約87億4000万円)の契約延長オプションを行使せず、今永側も1年1525万ドル(約23億4000万円)のオプションを拒否した結果、双方が決別を選択する形となった。

2年目のシーズン成績が影響

今永の決断には、2025年シーズンの成績が大きく影響している。1年目の2024年シーズンは29試合に先発登板し、防御率2.91、15勝8敗、174奪三振という圧巻の成績でオールスター選出、ナショナルリーグ新人王投票4位、サイ・ヤング賞投票5位に入る活躍を見せた。

しかし2025年シーズンは、開幕投手に抜擢され山本由伸との史上初の日本人開幕投手対決を制したものの、5月4日に左ハムストリングスを痛めて離脱。復帰後は調子が上がらず、最終的に25先発で9勝8敗、防御率3.73という1年目を下回る成績に終わった。特に最終12先発では防御率5.17と苦しみ、復帰後の被弾率は2.16と高水準だった。

FA市場の見通しとリスク回避

このパフォーマンス低下により、FA市場での評価が不透明になっていた。複数年契約を獲得できる保証がない中、1年34億円という高額年俸を確実に手にできるQO受諾は、リスク回避の観点から合理的な判断と言える。さらに、QO受諾により来シーズンで好成績を残せば、翌年のFA市場でより高額な複数年契約を狙える可能性もある。

今オフのQO市場の異変

異例の4人受諾

2025年オフは、QO市場に異変が起きた年として記憶されるだろう。提示を受けた13選手のうち、今永昇太(カブス)、トレント・グリシャム(ヤンキース)、グレイバー・トーレス(タイガース)、ブランドン・ウッドラフ(ブルワーズ)の4人がQOを受諾したのだ。

過去の傾向では、QO受諾者は年に1~2人程度。今オフに4人もの選手が受諾した背景には、FA市場の買い手市場化とドラフト指名権ペナルティの重さがある。球団側が複数年契約に慎重になる中、確実な高額年俸を選択する選手が増加しているのだ。

カブスとMLB球界への影響

カブスの戦力面での影響

カブスにとって、今永のQO受諾は歓迎すべきニュースだ。1年契約とはいえ、先発ローテーションの柱を確保できたことは大きい。一方で、来年再びFAとなる可能性があるため、長期的な先発陣の補強は引き続き課題となる。

カブスの担当記者は今永を「チームMVP」として選出し、「カブスにとって明らかに今季最大のストーリー」と高く評価している。球団としては、今永が来シーズンで復調し、複数年契約での再契約につながることを期待しているだろう。

FA市場全体への波及効果

今永を含む4選手のQO受諾は、2025年オフのFA市場全体に影響を与えている。QO付き選手が市場から減少したことで、他のFA投手への需要が高まる可能性がある。一方で、球団側はドラフト指名権を失わずに済むため、QO拒否選手への評価がさらに厳しくなる可能性もある。

今永昇太の今後のキャリア展望

2026年シーズンへの課題

今永にとって、2026年シーズンは極めて重要な年となる。1年契約という短期決戦の中で、2024年シーズンのような好成績を残せるかが、今後のキャリアを左右する。特に、ハムストリングスの怪我からの完全復活と、防御率の改善が最優先課題だ。

将来の契約獲得への道筋

QO受諾により、今永は「1年間で自身の価値を証明する」という挑戦を選択した。もし2026年シーズンで防御率3.00以下、15勝前後の成績を残せば、翌年のFA市場で4年8000万ドル(約120億円)以上の大型契約を獲得できる可能性がある。これは今永が30代前半でキャリア最後の大型契約を手にするための戦略的な選択と言えるだろう。

日本人選手初のQO受諾が示すもの

今永昇太の今回の決断は、日本人メジャーリーガーの契約戦略に新たな選択肢を示した。従来、日本人選手は複数年契約での安定を優先する傾向があったが、今永は1年契約でのリスクテイクを選択。これは、メジャーでの実績を積んだ日本人選手が、より戦略的なキャリアプランを描けるようになったことを示している。

今後、今永の成功次第では、他の日本人選手もQO受諾という選択肢を真剣に検討するようになるかもしれない。日本人初のQO受諾は、単なる契約形態の選択を超えて、日本人メジャーリーガーのキャリア戦略の多様化を象徴する出来事となった。

まとめ:今永昇太の挑戦はまだ始まったばかり

今永昇太のクオリファイングオファー受諾は、日本人選手初の快挙であると同時に、彼自身のキャリアにおける重要な岐路となった。1年34億円という高額年俸を手にした今永は、2026年シーズンで自身の価値を証明し、さらなる大型契約を目指す挑戦に臨む。

カブスファンにとっては、愛すべき左腕がもう1年ユニフォームを着てくれることに安堵しつつも、長期的な先発ローテーションの不安は残る。しかし、今永本人にとっては、自身のキャリアを自らの手でコントロールし、最適なタイミングで最高の契約を獲得するための戦略的な一手だったのだろう。

2026年シーズン、今永昇太がマウンドで見せるパフォーマンスは、単なる1シーズンの成績を超えて、彼の今後のキャリアと日本人メジャーリーガーの未来を占う試金石となる。日本人初のQO受諾投手の挑戦から、目が離せない。

投稿者 hana

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