集英社「Seventeen」が発表した女子高生のリアル

2025年12月1日、集英社のティーン向けファッション誌「Seventeen」が、第2回『JKトレンドアワード2025』を発表しました。このアワードは、2025年9月8日から9月21日にかけて実施された全国の女子高校生へのアンケート調査に基づいており、Z世代の「今」を反映した注目すべき結果となっています。

今年のトレンドで最も注目すべきは、平成ブームの再燃と韓国カルチャーの浸透、そしてSNSを中心とした拡散力の3つの要素が融合していることです。女子高生たちは単なる消費者ではなく、自ら情報を発信し、トレンドを作り出す存在へと進化しています。

平成ブーム再燃!「シール交換」がNo.1に輝いた理由

JKのあいだでバズった遊びのカテゴリーで堂々の1位に輝いたのは「シール交換」でした。かつて平成女児たちが夢中になったこの遊びが、令和の今、TikTokやInstagramを通じて再び脚光を浴びています。

シール交換の魅力は、自分だけのオリジナルコレクションを作れることと、友達とのコミュニケーションツールになることです。特に「ボンボンドロップシール」などのレトロシールが人気を集め、一部では製造が追いつかない事態も発生しています。

Z世代の特徴として、デジタルネイティブでありながら、アナログな体験に価値を見出す傾向があります。スマートフォンの画面越しではなく、実際に手に取れるシールという「モノ」を通じて、友達との絆を深める行為が支持されているのです。

シール文化の進化形「バッグデコ」と「イタリアンチャーム」

シール交換と連動して人気を集めているのが「バッグデコ」と「イタリアンチャーム」です。通学バッグに自分の好きなシールやチャームを付けることで、個性を表現する文化が定着しています。

この背景には、画一的なスタイルではなく「自分らしさ」を重視する価値観の変化があります。制服という決まりの中でも、バッグという自由度の高いアイテムで自己表現を楽しむ姿勢が、今の女子高生の特徴と言えるでしょう。

「日焼けしたハローキティ」が示す新しいキャラクター観

JKのあいだでバズったキャラNo.1には「日焼けしたハローキティ」がランクイン。サンリオの人気キャラクター、ハローキティの派生バージョンとして、日焼けした小麦色の肌が特徴的なこのキャラクターが、なぜ女子高生の心を掴んだのでしょうか。

その答えは「意外性」と「ユニークさ」にあります。誰もが知る定番キャラクターに新しい解釈を加えることで、SNSでの拡散力が高まり、話題性を生み出します。ローソンプリントでは「日焼けキティ」のプリントサービスも提供されるなど、企業側も積極的にこのトレンドに対応しています。

韓国カルチャーの影響:「ウィッシュコア」と「fwee」

ファッショントレンド「ウィッシュコア」の世界観

流行ったファッション系統として「ウィッシュコア」が選ばれました。ウィッシュコアは韓国のアイドルグループ「NCT WISH」からインスパイアされた、「夢かわいい」雰囲気のスタイルです。

具体的には、星空、月、銀の羽、キャンドル、手紙、瓶詰め、鍵、天使の羽、ペールカラーなどをモチーフとした、静かで儚く、幻想的な世界観を表現するビジュアルトレンドです。これは単なるファッションではなく、ライフスタイル全体に影響を与える「コア系」トレンドの一つとして、女子高生の間で急速に広がっています。

2025年のファッショントレンドとしては、他にも「バレエコア(リボン、レース、フリルなどの甘テイスト)」や「ブロケットコア(スポーツ×ガーリーのバランス)」なども人気を集めており、様々な「コア」が共存する多様性の時代を反映しています。

コスメトレンド:韓国ブランド「fwee」の躍進

コスメ部門では韓国ブランドの「fwee(フィー)」が注目を集めました。12月5日にはQoo10および主要オンラインECモールで新商品が発売されるなど、その人気は継続しています。

メイクのトレンドとしては「ワンホンメイク(ベージュコーラルベースに強さを演出するメイク)」が主流で、キャンメイクなどのプチプラコスメとDiorなどのハイブランドコスメを併用する「ハイブリッド使用」が定着しています。

SNSから生まれたトレンド:「ナルトダンス」と「麻辣湯」

TikTokで大流行「ナルトダンス」

JKが踊ったTikTokダンスNo.1に輝いたのは「ナルトダンス」です。TikTokという短尺動画プラットフォームの特性を活かし、覚えやすくて真似しやすい振り付けが若者の間で爆発的に広がりました。

TikTokは2025年においても、女子高生のトレンド形成に最も影響力のあるプラットフォームであり続けています。12月5日には「TikTok Awards 2025」の開催も予定されており、プラットフォームとしての存在感はさらに増しています。

グルメトレンド:「麻辣湯」と「セブンカフェスムージー」

バズった食べ物No.1は「麻辣湯(マーラータン)」でした。中国発祥のスパイシーなスープ料理である麻辣湯は、SNS映えする見た目と自分好みにカスタマイズできる自由度の高さが支持されています。

Seventeen公式サイトでは「2025年のバズりワード『麻辣湯』!映える思い出の残し方は?おすすめの具材は?」という特集記事も公開され、女子高生たちの間で定番グルメとして定着しつつあります。

バズった飲み物No.1には「セブンカフェスムージー」がランクイン。コンビニという身近な場所で手軽に購入でき、かつSNS映えするビジュアルが、日常的なトレンド消費を促進しています。

「ナップサック」にみる実用性とトレンドの融合

バズった通学バッグカテゴリーでは「ナップサック」が1位に選ばれました。かつて平成時代に流行したナップサックが、機能性とレトロな可愛さを兼ね備えたアイテムとして再評価されています。

両手が空く実用性、軽量で持ち運びやすい機能性、そして前述の「バッグデコ」でカスタマイズしやすいデザイン性が、通学という日常シーンにマッチしたことが人気の理由です。

JKトレンドが示す2025年のZ世代マインド

今回のJKトレンドアワード2025から読み取れるのは、以下の3つの特徴です。

1. ノスタルジアとリバイバルの時代

シール交換、ナップサック、イタリアンチャームなど、平成ブームが顕著です。親世代が経験したカルチャーを、SNSを通じて再発見し、自分たちなりにアップデートして楽しむ姿勢が見られます。

2. 韓国カルチャーの継続的影響

ウィッシュコア、fwee、ワンホンメイクなど、韓国由来のトレンドが複数ランクイン。K-POPアイドルやKビューティーの影響力は、2025年も変わらず強力です。

3. 「自分らしさ」を重視する個性化トレンド

バッグデコ、シール交換、様々な「コア」ファッションなど、画一的ではなく多様性を尊重する価値観が根付いています。SNSでの発信を通じて、自分の個性を表現することが当たり前の世代です。

企業が注目すべきJKトレンドの活用法

JKトレンドアワード2025は、マーケティング戦略を考える上で極めて重要なデータです。女子高生というターゲット層は、単なる消費者ではなく、SNSを通じて情報を拡散する「インフルエンサー」としての役割も果たしています。

SNSマーケティングとの相性

今回のアワードで明らかになったのは、TikTok、Instagram、Xなどのプラットフォームが、女子高生のトレンド形成に決定的な影響を与えているということです。企業がこれらのプラットフォームで効果的なコンテンツを発信することで、Z世代へのリーチを最大化できます。

特に「ナルトダンス」のようなTikTokダンスチャレンジは、ブランド認知度を高める強力な手法として注目されています。音楽、ファッション、食品、コスメなど、あらゆる業界で応用可能なマーケティング戦略です。

リバイバルトレンドのビジネスチャンス

シール交換、ナップサック、イタリアンチャームなどの平成リバイバルトレンドは、親世代にとってもノスタルジックな商品です。つまり、10代だけでなく30代〜40代の親世代もターゲットにできる「クロスジェネレーション商品」として展開できる可能性があります。

実際、ボンボンドロップシールのような商品は製造が追いつかないほどの人気を博しており、適切なタイミングでの商品展開が成功の鍵となっています。

2026年に向けた予測:次に来るトレンドは?

JKトレンドアワード2025を分析すると、2026年に向けたいくつかのトレンド予測が可能です。

さらなる「コア系」の多様化

ウィッシュコア、バレエコア、ブロケットコアに続き、新たな「◯◯コア」が登場する可能性が高いでしょう。特に、映画やドラマ、K-POPアイドルなど、ポップカルチャーからインスパイアされたファッションスタイルが、今後も増えていくと予想されます。

「mixi2」などレトロSNSの再評価

2025年には「mixi2」の流行も予測されており、かつてのSNS文化を再体験する動きが見られます。これは、現代のSNSに疲れた若者たちが、よりシンプルでクローズドなコミュニケーションを求めている証拠かもしれません。

食のグローバル化とエスニックトレンド

麻辣湯のような中華料理、韓国コスメやフードなど、アジアン料理やカルチャーのトレンドは今後も継続するでしょう。特に、SNS映えとカスタマイズ性を兼ね備えたグローバルフードが、次々と日本市場に参入することが予想されます。

まとめ:JKトレンドは社会のトレンドを先取りする

集英社「Seventeen」が発表したJKトレンドアワード2025は、単なる女子高生の流行調査に留まらず、日本のZ世代全体、ひいては今後の消費トレンドを予測する重要な指標となっています。

SNSネイティブである彼女たちは、情報の受信者であると同時に発信者でもあり、トレンドの形成者です。企業のマーケティング担当者、コンテンツクリエイター、そしてトレンドに敏感な全ての人々にとって、このJKトレンドアワードは見逃せない情報源と言えるでしょう。

2025年12月1日発売のSeventeen冬号では、他にも「JKベストコスメ大賞」「JK文房具大賞」「JKグミランキング」など、女子高生に特化した様々なランキングが掲載されています。より詳細な情報を知りたい方は、ぜひ雑誌をチェックしてみてください。

今回のアワードで明らかになったトレンドは、2026年の日本のカルチャーシーンを形作る重要な要素となるはずです。シール交換から麻辣湯、ウィッシュコアからナルトダンスまで、一見バラバラに見える流行の裏には、「自分らしさを表現したい」「仲間とつながりたい」「新しい体験をSNSでシェアしたい」という共通のZ世代マインドが存在しています。

女子高生が選んだリアルなトレンドから、2026年の日本のカルチャーシーン、そして私たちの消費行動の未来が見えてくるかもしれません。

投稿者 hana

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