あなたの家のゴミ箱が、子どもの命を奪うかもしれない
もしあなたの家族ががん治療を受けているなら、今すぐゴミ箱を確認してほしい。使用済みのフェンタニルパッチが、そのまま捨てられていないだろうか。「使用済みだから大丈夫」―その認識が、取り返しのつかない悲劇を生む可能性がある。
2025年7月3日、警察庁の楠芳伸長官が定例記者会見で明かした衝撃の事実。「国内で医療用フェンタニルの目的外使用により警察が摘発した事例を2件把握している」―この発表は、これまで「対岸の火事」と思われていたフェンタニル危機が、ついに日本の家庭にも忍び寄っていることを示す重大な警告だった。
フェンタニルは、モルヒネの50~100倍という強力な鎮痛作用を持つ合成オピオイドだ。たった2ミリグラム―塩粒ほどの量で人を死に至らしめる。米国では年間7万人以上がフェンタニル関連で死亡し、「史上最悪の薬物危機」と呼ばれる状況に陥っている。そして今、その脅威が日本の子どもたちに迫っている。