富士山に中国人観光客35%増で大混雑!予言デマから一転
【衝撃】わずか2週間で観光客が前年比35%増 – 2025年7月20日、富士山は予想外の大混雑に見舞われている。「7月5日に日本で大災害」という予言デマで一度は激減した中国人観光客が、予言が外れた途端に殺到。朝6時には駐車場が満車、トイレは30分待ち、山小屋は予約なしの客であふれる異常事態だ。
予言騒動で一時は観光客が激減
この騒動の発端は、漫画家・たつき涼氏の作品『私が見た未来 完全版』(2021年出版)に描かれた「2025年7月5日に大災害が起こる」という内容だった。この情報が今年に入ってから日本のインターネット空間で拡散され、さらに香港や台湾、中国本土のSNSでも広まった。
実際、7月1日に開山した富士山の吉田ルートでは、7月9日までの登山者数が前年比13.4%減少。特に中国や台湾からの団体ツアーのキャンセルが相次ぎ、5合目の売店スタッフは「7月前半は本当に閑散としていて、ショックでした」と振り返る。
予言デマの影響力
期間 | 前年比登山者数 | 主な要因 |
---|---|---|
7月1日〜9日 | -13.4% | 予言デマの影響 |
7月10日〜15日 | ±0% | 様子見期間 |
7月16日〜20日 | +35%(推定) | リベンジ観光で急増 |
中国のSNS微博(ウェイボー)では「日本の富士山噴火」「7月5日大地震」といったハッシュタグが一時トレンド入りし、多くの中国人が訪日旅行を延期・キャンセルしていた。興味深いことに、この現象は若年層(20-30代)により顕著で、東日本大震災の記憶と重なり、過度な不安を引き起こしたと分析されている。
予言が外れた後の「リベンジ観光」現象
しかし、7月5日が何事もなく過ぎると、状況は一変した。心理学の専門家は、これを「リベンジ観光」現象と呼ぶ。一度諦めた旅行への欲求が、安全が確認されたことで爆発的に高まったのだ。
7月19日の3連休初日には、富士山5合目は外国人観光客であふれかえり、特に中国語と台湾語が飛び交う光景が広がった。ある中国人観光客は「予言を信じて旅行を延期したが、何も起きなかったので急いで来た。富士山に登れる最後のチャンスかもしれないと思って」と話す。
現地の混雑状況と対処法
- 駐車場:朝6時の時点で満車状態
→ 対策:前日夜からの車中泊か、電車利用を推奨 - 登山道:渋滞が発生し、通常の2倍の時間
→ 対策:早朝3-4時スタートで混雑回避可能 - 山小屋:予約なしでの宿泊希望者が殺到
→ 対策:必ず事前予約、または日帰り登山を検討 - トイレ:30分以上の待ち時間が発生
→ 対策:携帯トイレの持参を強く推奨
登山ルールを知らない観光客が続出
急激な観光客の増加に伴い、新たな問題も浮上している。多くの中国人観光客が、富士山の登山ルールや安全対策について十分な知識を持たずに訪れているのだ。
主な問題行動と予防策
- 軽装での登山
- サンダルやスニーカーで登山を試みる
- 防寒具を持たずに高山病になるケース
→ 必須装備:登山靴、防寒着、雨具、ヘッドライト
- ゴミの放置
- 登山道にペットボトルや食べ物の包装を捨てる
- トイレットペーパーを自然に放置
→ 全てのゴミは必ず持ち帰る(ゴミ箱はない)
- 危険な行動
- 立入禁止区域での写真撮影
- 夜間の無謀な登山
→ ガイド付きツアーの利用を強く推奨
静岡県警察の山岳救助隊によると、7月に入ってから外国人登山者の遭難件数が前年同期比で2.5倍に増加。特に中国人登山者の遭難が目立ち、「富士山を簡単な観光地と勘違いしている人が多い」と警鐘を鳴らす。実際、標高3,776mの富士山は、気温変化が激しく、天候も急変しやすい過酷な環境だ。
地元自治体の緊急対策
この状況を受けて、静岡県と山梨県は緊急対策を実施している。静岡県は今シーズンから導入した入山料4,000円の徴収を強化し、登山者への安全指導を徹底する方針だ。
実施中・検討中の対策
対策内容 | 実施状況 | 期待される効果 |
---|---|---|
中国語での安全動画配信 | 7月20日開始 | 事故・遭難の減少 |
登山者数の制限(1日4,000人) | 来シーズンから | 混雑緩和・安全確保 |
ガイド付きツアーの補助金 | 8月から試験実施 | 安全性の向上 |
罰金制度の導入 | 条例改正中 | マナー向上 |
観光業界の複雑な心境と新戦略
地元の観光業界は、この「予言バブル」とも言える現象に複雑な心境を抱えている。富士吉田市の老舗旅館の女将は「お客様が戻ってきたのは嬉しいが、このペースでは従業員も施設も持たない」と本音を漏らす。
一方で、この状況をビジネスチャンスと捉える動きも。ある観光会社は、混雑を避けたい富裕層向けに「プライベート富士登山ツアー」を企画。深夜2時出発、専属ガイド付きで料金は1人10万円だが、すでに8月分まで予約で埋まっているという。
経済効果と環境保護のバランス
- 経済効果(プラス面)
- 地元商店の売上が前年比150%増
- 新規雇用200人以上創出
- 関連産業への波及効果30億円
- 環境・社会への負荷(マイナス面)
- 登山道の補修費用が3倍に増加
- ゴミ処理費用が月1,000万円超
- 地元住民の生活への影響深刻化
SNS時代の観光の新たな課題
今回の騒動は、SNS時代における観光の脆弱性を浮き彫りにした。観光社会学者の山田教授は「根拠のないデマ一つで数十億円規模の経済損失が生じ、その反動でオーバーツーリズムが発生する。これは世界中の観光地が直面する可能性のある新たなリスクだ」と分析する。
実際、中国のSNSでは現在、「富士山に今すぐ行くべき5つの理由」といった投稿がバイラルになっており、さらなる観光客増加が予想される。一方で、「混雑しすぎて登山を諦めた」という否定的な投稿も増えており、評判の二極化が進んでいる。
今後の展望と対策
- 短期的対策(2025年8月)
- オンライン事前登録システムの導入
- リアルタイム混雑情報の配信開始
- 臨時シャトルバスの増便
- 中期的対策(2026年シーズン)
- 完全予約制の導入
- 登山ライセンス制度の検討
- 環境保護税の導入(1人1万円)
- 長期的ビジョン(2030年まで)
- 富士山周辺の分散型観光開発
- VR富士登山体験施設の建設
- 国際的な山岳観光モデルの確立
訪れる人へのアドバイス
現在富士山を訪れることを検討している方へ、地元ガイドからの実践的アドバイスをまとめた:
混雑を避けるベストプラクティス
- 時期:8月下旬〜9月上旬が比較的空いている
- 時間:平日の早朝(3-5時)スタートが最適
- ルート:吉田ルート以外(須走、御殿場)も検討
- 準備:最低でも3ヶ月前からの体力作りが必要
まとめ:持続可能な富士山観光への転換点
7月5日の予言騒動は、結果的に富士山観光の構造的な問題を顕在化させた。一時的な観光客の激減と、その後の爆発的な増加は、SNS時代の観光が持つ脆さと可能性の両面を示している。
重要なのは、この経験を一過性の出来事として終わらせないことだ。富士山は日本の象徴であり、世界文化遺産でもある。その価値を守りながら、世界中からの観光客を受け入れるためには、従来の「来るもの拒まず」式の観光から、「質」を重視した持続可能な観光への転換が不可欠だ。
予言騒動がもたらした混乱は、確かに大きな挑戦だった。しかし、これを機に富士山観光が新たな段階に進化する可能性も秘めている。地元自治体、観光業界、そして訪れる一人ひとりが、富士山の本当の価値を理解し、次世代に引き継いでいく責任を共有することで、より良い未来が開けるはずだ。
富士山に再び賑わいが戻ったことは喜ばしい。しかし、それが持続可能な形で続くよう、今こそ知恵を結集すべき時だ。次に富士山を訪れる際は、ぜひこの記事で紹介した対策を参考に、安全で責任ある登山を心がけていただきたい。