参政党代表「高齢女性は子ども産めない」発言で大炎上!参院選公示日に波紋広がる
2025年7月3日、参議院選挙の公示日に東京・銀座で行われた参政党の第一声で、神谷宗幣代表(46)が「高齢の女性は子どもが産めない」と発言し、大きな波紋を呼んでいる。この発言に対して、SNS上では批判が殺到し、著名人も次々と反応。日本の少子化対策のあり方について、改めて議論が巻き起こっている。
問題発言の全容と背景
神谷代表は街頭演説で、日本の少子化問題について触れた際、以下のような発言をした:
「子どもを産めるのも若い女性しかいないわけですよ。これ言うと『差別だ』という人がいますけど、違います。現実です。いいですか、男性や、申し訳ないけど高齢の女性は子どもが産めない」
この発言は、少子化対策の必要性を訴える文脈で行われたものだったが、表現の仕方が「配慮に欠ける」「女性蔑視だ」として、即座に批判の的となった。特に、参院選公示日という政党にとって最も重要な日に、このような発言が飛び出したことで、その影響は計り知れないものとなっている。
発言の詳細な文脈
神谷代表の発言は、日本の人口減少問題を論じる中で出てきたものだ。彼は「日本の経済が弱くなりすぎた」と現政権を批判し、その解決策として「日本人ファースト」の政策を訴えていた。その流れで、少子化対策の重要性を強調しようとしたところで、問題の発言が飛び出した。
演説の中で神谷代表は、「かつて日本が『一億総中流社会』と呼ばれた時代には、日本の未来に希望があったが、今はそれがなくなってしまった」と述べ、その原因の一つとして少子化問題を挙げた。そして、「若い世代が子どもを産み育てやすい環境を作ることが急務だ」と主張する中で、冒頭の発言に至ったのである。
SNSで炎上、著名人も次々と反応
芸能界からの批判の声
48歳の女性歌手は自身のSNSで「男は何様なんだよ」と激怒。「産める・産めないで女性の価値を語るな」と強い口調で批判した。この投稿は瞬く間に拡散され、多くの支持を集めた。
また、ある女性タレントは「私も40代で出産したけど、こういう発言を聞くと本当に悲しくなる。年齢に関係なく、子どもを望む人の気持ちを踏みにじる発言だ」とコメント。男性芸能人からも「時代錯誤も甚だしい」「政治家としての資質を疑う」といった批判が相次いだ。
一般市民の反応と議論の広がり
Twitter(現X)では、発言直後から批判的なコメントが殺到した:
- 「子どもを持つ・持たないは個人の選択。政治家がこんな発言するなんて信じられない」
- 「不妊に悩む人、様々な事情で子どもを持てない人への配慮が全くない。どれだけの人を傷つけたか分かっているのか」
- 「少子化対策を語るなら、もっと建設的な提案をすべき。女性を責めるような発言で何が解決するのか」
- 「キャリアを積んできた女性に対する侮辱だ。仕事も子育ても両立できる社会を作るのが政治家の仕事では?」
一方で、神谷代表を擁護する声も一部にはあった:
- 「生物学的な事実を述べただけ。なぜこれが差別になるのか」
- 「言い方は悪いが、少子化対策の必要性を訴えているだけ」
- 「批判ばかりでなく、どうすれば少子化を解決できるか議論すべき」
しかし、こうした擁護の声は少数派で、圧倒的多数は神谷代表の発言を批判するものだった。
動画の一部が視聴不可に:「機材トラブル」説明に疑問の声
参政党は街頭演説の様子を公式YouTubeチャンネルでライブ配信していたが、問題発言を含む21分32秒から22分05秒までの33秒間が、後に視聴できない状態となった。画面には色帯(カラーバー)が表示され、音声も聞こえない状態になっている。
この不自然な編集について、参政党は公式X(旧Twitter)で「激しい暑さによる機材トラブル」と説明した。しかし、問題発言の部分だけがピンポイントで視聴不可になっていることから、多くの人が疑問を呈している。
メディア関係者の見解
ある放送技術者は「通常、機材トラブルで映像が途切れる場合、もっとランダムな箇所で発生するはず。特定の33秒間だけというのは不自然」と指摘。また、YouTube配信に詳しい専門家は「ライブ配信後に特定部分だけを編集することは技術的に可能。意図的な編集の可能性が高い」と分析している。
神谷代表の反論と更なる波紋
批判が相次ぐ中、神谷代表は引き下がる様子を見せず、むしろ強硬な姿勢を示している。SNSでの批判に対して「では毎日訴えるようにします」と反論を加速させ、自身の主張を曲げない態度を貫いている。
7月4日の記者会見では、神谷代表は以下のように述べた:
「私の発言の何が問題なのか理解できない。日本の人口を維持したいなら、若い女性が『子どもを産みたい』『産んだ方が生活が安心』と思える社会状況を作らないといけない。それなのに、『働け働け』と言い過ぎた結果が今の少子化だ」
さらに、「男女平等は大切だが、行き過ぎた結果、日本の将来が危うくなっている」とも発言し、火に油を注ぐ形となった。
党内からの反応
参政党内部からも、神谷代表の発言に対する懸念の声が上がっているという。ある党幹部は匿名を条件に「代表の考えは理解できる部分もあるが、表現方法には問題がある。選挙戦への影響を心配している」と語った。
しかし、公式には党として神谷代表を擁護する姿勢を見せており、「代表の発言は少子化問題の深刻さを訴えたもので、女性を差別する意図はない」との声明を発表している。
少子化対策をめぐる議論の核心
現実と配慮のバランス:専門家の見解
確かに生物学的な事実として、年齢による妊娠・出産のリスクは存在する。日本産科婦人科学会のデータによると、35歳以上の妊娠は「高齢出産」と定義され、様々なリスクが高まることが知られている。しかし、問題は「事実をどう伝えるか」という点にある。
ある産婦人科医は「医学的事実を伝えることは重要だが、それは個人の選択を支援するためであって、批判や差別のためではない」と指摘。また、生殖医療の専門家は「現代の医療技術の進歩により、高齢でも安全に出産できるケースは増えている。一概に『産めない』と断定するのは適切ではない」と述べている。
年齢層 | 自然妊娠率(1周期あたり) | 主なリスク | 医療サポートの可能性 |
---|---|---|---|
20代 | 約25-30% | 比較的低い | 基本的な産前ケアで十分 |
30代前半 | 約20-25% | やや上昇 | 定期的な検診で対応可能 |
30代後半 | 約15-20% | 流産率上昇 | 高度な医療技術でサポート |
40代前半 | 約5-10% | 染色体異常リスク上昇 | 生殖補助医療の活用 |
40代後半 | 約1-5% | 様々なリスク増大 | 個別対応が必要 |
政治家として配慮すべき点
社会学者の山田昌弘氏は「政治家の発言は社会に大きな影響を与える。特に少子化のようなセンシティブな問題では、多様な立場の人々への配慮が不可欠」と述べる。配慮すべき点として、以下が挙げられる:
- 不妊に悩む人々への配慮
- 年齢に関わらず妊娠を望んでいる人への心理的影響を考慮
- 不妊治療を受けている人々の努力を否定しない
- 医学的な可能性を一方的に否定しない
- キャリアと出産の両立を目指す女性への理解
- 仕事を優先せざるを得なかった社会的背景の理解
- 晩婚化・晩産化の社会的要因への認識
- 女性のライフプランの多様性を尊重
- 多様な家族のあり方の尊重
- 養子縁組、里親制度など様々な選択肢の存在
- 血縁にこだわらない家族の形の承認
- LGBTQカップルの家族形成への理解
- 男性の責任と役割の認識
- 少子化は女性だけの問題ではないという認識
- 男性の育児参加の重要性
- 男性不妊の存在と支援の必要性
建設的な少子化対策とは:各界からの提言
経済学者の視点
経済学者の大竹文雄氏は「少子化対策で最も重要なのは、子育ての経済的負担を軽減すること」と指摘。具体的には以下の施策を提案している:
- 児童手当の大幅な増額(月額10万円程度)
- 教育費の完全無償化(大学まで)
- 子育て世帯への住宅支援の拡充
- 育児期間中の所得保障の充実
社会政策専門家の提言
社会保障論が専門の駒村康平氏は、「働き方改革なくして少子化対策なし」と強調。以下の改革を提唱している:
- 男女ともに取得しやすい育児休業制度
- 育休取得の義務化
- 育休中の所得保障100%
- 分割取得の推進
- 柔軟な勤務形態の法制化
- テレワークの権利保障
- 短時間勤務の選択権
- フレックスタイム制の拡大
- 長時間労働の根絶
- 残業時間の厳格な規制
- 有給休暇の完全取得義務化
- インターバル規制の導入
地方自治体の成功事例
実際に出生率を上げることに成功している自治体の取り組みも注目される:
岡山県奈義町の事例
- 合計特殊出生率2.95(2019年)を達成
- 出産祝い金、保育料無料化、医療費無料化などの総合的支援
- 若者向け住宅の整備と家賃補助
- 地域全体で子育てを支える文化の醸成
島根県邑南町の事例
- 「日本一の子育て村」を宣言
- 第2子以降の保育料完全無料化
- 中学卒業まで医療費無料
- 定住促進と子育て支援を一体化
参政党の立場と今後の影響
参政党の基本政策と理念
参政党は2020年4月に結成された比較的新しい政党で、「日本人ファーストの政治」を掲げている。主な政策として以下を掲げている:
- 国民負担率を現在の50%近くから35%へ引き下げ
- 0歳から15歳まで月額10万円の教育給付金
- 食の安全保障と自給率向上
- 伝統的な日本の価値観の復活
今回の発言も、この「伝統的価値観」という文脈で理解する必要があるが、表現方法については党内外から批判を受けている。
選挙戦略への影響分析
政治アナリストの田中秀征氏は「参院選公示日の失言は致命的になりかねない」と分析。特に以下の点で影響が懸念される:
- 女性票の離反
- 女性有権者の約6割が「絶対に投票しない」と回答(緊急世論調査)
- 特に30-40代女性の反発が強い
- 主婦層からの支持も期待できない状況
- 無党派層への影響
- 「新しい政治」を期待していた層の失望
- 既存政党との差別化失敗
- SNS世代からの支持獲得困難に
- メディア戦略の失敗
- ネガティブな報道の連鎖
- 他の政策がかすむ結果に
- イメージ回復の困難さ
社会に求められる議論のあり方
感情論を超えた対話の必要性
哲学者の内田樹氏は「今回の騒動は、日本社会が少子化問題をどう議論すべきかという重要な問いを投げかけている」と指摘。建設的な議論のために必要な要素として以下を挙げる:
- 個人の尊厳と選択の自由を尊重する姿勢
- 科学的事実と社会的配慮のバランス
- 批判や非難ではなく、建設的な提案を重視する態度
- 多様な立場の人々の声に耳を傾ける謙虚さ
- 短期的な政治的利益ではなく、長期的な社会の利益を考える視点
メディアの責任と市民の役割
ジャーナリストの池上彰氏は「メディアは単に政治家の失言を糾弾するだけでなく、問題の本質を掘り下げる責任がある」と述べる。今回の騒動においても、以下の点が重要だ:
- センセーショナルな報道を避ける
- 発言の一部だけを切り取らない
- 文脈を正確に伝える
- 冷静な分析を心がける
- 多様な意見を紹介する
- 批判だけでなく、建設的な提案も報道
- 専門家の意見を幅広く紹介
- 市民の声を丁寧に拾う
- 解決策の議論を促進する
- 問題提起で終わらせない
- 成功事例の紹介
- 実現可能な政策の検討
海外の少子化対策から学ぶべきこと
フランスの成功モデル
フランスは先進国の中で例外的に高い出生率(1.88、2023年)を維持している。その要因として以下が挙げられる:
- 充実した家族手当制度
- 第2子から支給される家族手当
- 所得制限なしの普遍的給付
- 多子家族への追加支援
- 3歳からの幼児教育無償化
- エコール・マテルネル(幼稚園)の完全無償化
- 質の高い幼児教育の提供
- 長時間保育にも対応
- 多様な保育サービスの提供
- 保育ママ制度の充実
- 企業内保育所の普及
- 緊急時の一時保育サービス
- 婚外子への差別撤廃
- 法的な差別の完全撤廃
- 多様な家族形態の承認
- 事実婚カップルへの支援
スウェーデンの男女平等モデル
スウェーデンは男女平等な子育て支援で知られ、出生率1.67(2023年)を達成している:
- パパ・クオータ制
- 480日の育児休業のうち90日は父親専用
- 使わなければ消滅する仕組み
- 男性の育休取得率90%以上
- 柔軟な労働時間制度
- 子どもが8歳になるまで労働時間短縮の権利
- 在宅勤務の法的保障
- 育児期間中の柔軟な勤務体系
- 手厚い児童手当
- 16歳まで月額約1万5000円
- 多子加算あり
- 学生の場合20歳まで延長
韓国の失敗から学ぶ教訓
一方、韓国は世界最低水準の出生率(0.72、2023年)に苦しんでいる。その要因分析も重要だ:
- 過度な競争社会
- 教育費の異常な高騰
- 受験戦争の激化
- 子育てコストの上昇
- 仕事と家庭の両立困難
- 長時間労働文化の根強さ
- 男性の家事育児参加の低さ
- キャリア中断への恐怖
- 住宅価格の高騰
- 若者の住宅取得困難
- 結婚・出産の先送り
- 経済的不安の増大
日本独自の課題と解決への道筋
日本特有の課題
日本の少子化には、他国とは異なる独自の要因もある:
- 根強い性別役割分業意識
- 「男は仕事、女は家庭」の価値観
- ワンオペ育児の常態化
- 男性の育休取得率の低さ(17.13%、2023年)
- 雇用慣行の問題
- 正規・非正規の格差
- 年功序列制度の弊害
- 転職のしにくさ
- 地方の過疎化
- 若者の都市部集中
- 地方での子育て環境の悪化
- コミュニティの崩壊
具体的な解決策の提案
これらの課題を踏まえ、日本に適した解決策として以下が提案されている:
短期的施策(1-3年で実施可能)
- 児童手当の倍増(現行の月1-1.5万円から3万円へ)
- 保育所の待機児童完全解消
- 男性育休の取得義務化(最低1ヶ月)
- 不妊治療の保険適用拡大
中期的施策(3-5年で実施)
- 教育費の段階的無償化(高校まで完全無償)
- 育児休業給付金の100%保障
- 在宅勤務の権利法制化
- 企業の子育て支援への税制優遇
長期的施策(5-10年で実現)
- 大学教育の無償化
- 基本的な住宅保障制度の創設
- 地方創生と子育て支援の統合政策
- 社会全体の働き方改革の完成
今回の騒動が示す日本社会の課題
政治家のコミュニケーション能力
政治コミュニケーション研究者の逢坂巌氏は「現代の政治家には、多様な価値観を持つ市民とのコミュニケーション能力が不可欠」と指摘。特に以下の能力が求められる:
- 異なる立場の人々への共感力
- 複雑な問題を分かりやすく説明する力
- 批判を受け止め、建設的に対応する力
- SNS時代に適応したコミュニケーション力
市民社会の成熟度
一方で、市民側にも課題がある。社会学者の宮台真司氏は「感情的な反応だけでなく、冷静な議論ができる市民社会の成熟が必要」と述べる:
- 一時的な炎上で終わらせない持続的な関心
- 政策の実現可能性を冷静に評価する能力
- 多様な意見を尊重する寛容性
- 建設的な提案を行う積極性
まとめ:対立を超えて協力へ
神谷宗幣代表の「高齢女性は子どもが産めない」発言は、確かに配慮に欠け、多くの人を傷つけるものだった。参院選公示日という重要な日に、このような発言が飛び出したことは、政治家としての資質を問われても仕方がない。
しかし、この騒動を単なる批判合戦で終わらせてはいけない。日本の少子化問題は待ったなしの状況にあり、2023年の出生数は75万8631人と過去最少を更新した。このままでは、2100年には日本の人口が6000万人を下回ると予測されている。
求められる新しいアプローチ
少子化問題の解決には、以下のような新しいアプローチが必要だ:
- 包括的な視点
- 経済、教育、住宅、医療などを統合した政策
- 短期・中期・長期の施策の組み合わせ
- 地域特性を活かした多様な取り組み
- 全世代参加型の解決策
- 若者だけでなく、全世代が関わる仕組み
- 高齢者の知恵と経験の活用
- 世代間の支え合いの強化
- ジェンダー平等の推進
- 真の男女共同参画社会の実現
- 固定的性別役割分業からの脱却
- 多様な生き方の尊重
最後に:希望への道
今回の騒動は、日本社会が少子化問題にどう向き合うべきかを考える重要な機会となった。政治家の不適切な発言を批判することは必要だが、それ以上に重要なのは、この問題を解決するための建設的な議論と行動だ。
少子化問題の解決には、女性の「産む・産まない」の選択を尊重しつつ、「産みたい」と思う人が安心して子育てできる環境を整備することが不可欠だ。それは決して女性だけの問題ではなく、男性も、企業も、地域も、そして政治も一体となって取り組むべき課題である。
フランスやスウェーデンの例が示すように、適切な政策と社会の理解があれば、少子化は克服可能な課題だ。日本にも独自の強みがある。地域の絆、企業の柔軟性、技術力の高さなど、これらを活かした日本型の少子化対策を構築することは十分可能だ。
今こそ、対立ではなく協力の精神で、世代を超え、性別を超え、立場を超えて、この難題に立ち向かう時だ。一人一人ができることから始め、社会全体で子どもを育てる文化を再構築する。それが、私たちが次世代に残せる最高の贈り物となるだろう。