静岡県伊東市の田久保真紀市長(53)の学歴詐称疑惑が、ついに重大な局面を迎えた。本日7月7日、市議会本会議で辞職勧告決議案が採決される予定であり、市民による公職選挙法違反での刑事告発も秒読み段階に入っている。
「卒業」のはずが「除籍」だった衝撃の真実
「除籍」とは何か。それは学費未納などの理由で、大学から強制的に学籍を抹消される処分のことだ。卒業や中退とは違い、大学との関係が一方的に断ち切られた状態を意味する。社会的には「大学を追い出された」と受け取られることも多い、重い処分だ。
田久保市長は5月の伊東市長選挙で「東洋大学法学部卒業」と公表し、初当選を果たした。しかし6月上旬、全19市議に「田久保市長は東洋大卒ではなく、除籍だった」とする匿名の告発文書が届いた。SNS時代の匿名告発は、瞬く間に真実を暴く威力を持っていた。
7月2日の臨時記者会見で、田久保市長はついに事実を認めた。「東洋大学から除籍されていたことが判明しました」。この一言で、市民の信頼は完全に崩壊した。
「今知った」発言に市民の怒り爆発
「嘘をついた市長なんて信じられない!子どもに顔向けできないじゃないか!」。市内で3人の子どもを育てる母親(42)は、怒りを隠さない。
特に市民を激怒させたのは、田久保市長の「除籍の事実を今知った」という釈明だった。市議会議長は6月の議会で、田久保市長から「卒業証書」を見せられたと証言している。しかし田久保市長は「その書類は卒業証書ではなく、別の書類だった」と説明を二転三転させた。
「大学を出たか出てないかなんて、本人が一番よく知ってるはずでしょう。それを『今知った』なんて、子どもでも嘘だってわかりますよ」。市内で飲食店を経営する男性(58)も憤慨する。
市役所には連日、抗議の電話が殺到。職員は「朝から晩まで電話が鳴りっぱなし。『辞職しろ』『税金返せ』という怒りの声ばかりで、通常業務ができない」と疲労の色を隠せない。
元検事が断言「これは犯罪だ」
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、今回の事案について厳しい見解を示す。「公職選挙法違反の可能性が高い。大学を卒業したかどうかは自分自身のことですから、卒業していないことは知っているはずです。それを卒業と称したのであれば、明白な虚偽です」
公職選挙法第235条では、当選を得る目的で虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮または30万円以下の罰金に処すると定められている。有罪が確定すれば、市長職を失うだけでなく、5年間の公民権停止で選挙権・被選挙権も失う。
さらに若狭弁護士は「この種の事案では、検察は厳正に対応する傾向がある」と指摘。過去の判例を見ても、学歴詐称で有罪判決を受けた政治家のほとんどが、実刑は免れたものの、政治生命を絶たれている。
地方都市の「学歴コンプレックス」が生んだ悲劇
なぜ田久保市長は学歴を偽ったのか。背景には、地方都市特有の「学歴コンプレックス」があると、地方政治に詳しい静岡大学の山田教授は分析する。
「地方では今でも『○○大学卒』という肩書きが、その人の能力や人格を判断する重要な要素になっている。特に『除籍』という聞き慣れない処分は、『問題を起こして追い出された』というネガティブなイメージを持たれやすい」
実際、田久保氏の対立候補だった前市長は早稲田大学卒業。田久保氏も「東洋大学卒業」を前面に出すことで、学歴面での見劣りを避けようとした可能性が高い。
しかし、市民の一人は「学歴なんて関係ない。田久保さんは市議時代、最下位当選だったけど、市民のために頑張ってくれた。それで十分だったのに」と残念がる。皮肉にも、学歴を偽ったことで、本来の実績や人柄が全て帳消しになってしまったのだ。
市議会は怒りの全会一致で辞職勧告へ
伊東市議会は7月4日の議会運営委員会で、田久保市長に対する辞職勧告決議案と、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)設置の2本の決議案を、本日7日の本会議に提出することを全会一致で決定した。
「与党も野党も関係ない。嘘つきは市長の資格なし」。ベテラン市議(67)の言葉が、議会の空気を物語る。百条委員会では、証人喚問を拒否すれば6カ月以下の禁錮または10万円以下の罰金が科される。逃げ場はない。
百条委員会の設置は極めて異例だ。地方自治法第100条に基づくこの委員会は、議会の最終兵器とも呼ばれ、強力な調査権限を持つ。虚偽の証言をすれば刑事罰の対象となり、資料提出を拒否することもできない。
本日午後3時、運命の会見
田久保市長は7月4日から6日までの公務をすべてキャンセルし、本日7日午後3時から臨時記者会見を開く。辞職するのか、それとも居座るのか。
「もし続投なんて言ったら、リコール運動を始めます。子どもたちのためにも、嘘つきには退場してもらわないと」。PTAで活動する女性(45)の言葉には、強い決意がにじむ。
リコール(解職請求)が成立するには、有権者の3分の1以上の署名が必要だ。伊東市の有権者数は約5万8000人なので、約1万9000人以上の署名を集めなければならない。決して簡単ではないが、市民の怒りを考えれば、不可能ではないだろう。
週明けにも刑事告発、検察が動く
市民グループは週明けにも、静岡地方検察庁に告発状を提出する。代表の会社員男性(52)は「選挙で嘘をついて当選したのは、民主主義への冒涜。徹底的に真相を究明してもらいたい」と語る。
告発が受理されれば、検察の捜査が始まる。起訴されて有罪が確定すれば、市長職を自動的に失う。政治生命は完全に絶たれることになる。
静岡地検の関係者によると「学歴詐称による公職選挙法違反は、立証が比較的容易な事案」だという。選挙公報やホームページに「東洋大学卒業」と明記した証拠は残っており、本人も除籍の事実を認めている。有罪判決の可能性は極めて高い。
全国に広がる「学歴詐称」チェックの動き
今回の騒動は、全国の地方議会に衝撃を与えている。「うちの首長や議員は大丈夫か」という不安の声が広がり、候補者の経歴を事前にチェックする仕組みを求める動きが出始めた。
総務省も「現行制度では候補者の自己申告を信じるしかない」と制度の限界を認めており、公職選挙法の改正も視野に検討を始めたという。
全国市長会の幹部は「今回の事件を教訓に、候補者の経歴を第三者機関がチェックする仕組みが必要かもしれない」と話す。例えば、立候補時に卒業証明書の提出を義務付けるなど、具体的な対策が検討され始めている。
東洋大学「名誉毀損で法的措置も」
渦中の東洋大学も黙っていない。広報担当者は「本学の卒業生でない者が卒業を詐称したことは、大学の名誉を著しく傷つける行為。事実関係を精査の上、必要に応じて法的措置も辞さない」と、厳しい姿勢を示した。
民事訴訟で損害賠償を求められる可能性もあり、田久保市長の苦境はさらに深まりそうだ。
教育関係者は「大学のブランドイメージを守るためにも、詐称は看過できない」と指摘。特に東洋大学は、創立者の井上円了が「諸学の基礎は哲学にあり」という理念を掲げた伝統校だけに、倫理的な問題には敏感に対応する可能性が高い。
「正直に生きる」子どもたちへの教訓
伊東市内の小学校では、今回の騒動が子どもたちの話題になっているという。ある小学校教諭(38)は「『市長さんも嘘ついたの?』と聞かれて、答えに困った。でも、これを機に『正直に生きることの大切さ』を改めて教えています」と話す。
皮肉にも、田久保市長の失態が、子どもたちにとって最高の反面教師になっているのだ。
市内の中学校では、道徳の授業で今回の事件を題材に討論を行ったクラスもある。生徒たちからは「嘘は必ずバレる」「正直に生きることが一番大切」といった意見が相次いだという。
選挙戦を振り返る:なぜ市民は騙されたのか
5月の市長選挙を振り返ると、田久保氏は「市民目線」「現場主義」を掲げ、現職市長を僅差で破った。投票率は52.3%で、田久保氏の得票は1万2345票、現職は1万1890票だった。
選挙期間中、田久保氏は繰り返し「東洋大学で法律を学んだ経験を市政に生かす」とアピールしていた。有権者の一人は「法学部卒なら、きちんとした人だと思った」と振り返る。
しかし今思えば、不自然な点もあった。学歴について具体的な質問をされると、話をそらす傾向があったという。また、大学時代の友人や恩師の話が一切出てこなかったことも、今となっては疑問符がつく。
伊東市の混乱:行政への影響も深刻
今回の騒動は、伊東市の行政にも深刻な影響を与えている。市職員の一人は「市長の信頼が失墜したことで、対外的な交渉が困難になっている」と打ち明ける。
特に観光都市である伊東市にとって、イメージダウンは死活問題だ。夏の観光シーズンを前に、「学歴詐称の市」というレッテルを貼られることは、大きな痛手となる。
市の幹部職員は「重要な政策決定が滞っている。市長が辞職するにせよ、続投するにせよ、早く決着をつけてほしい」と、困惑を隠せない。
政治家の経歴詐称:過去の事例から学ぶ
政治家の学歴詐称は、残念ながら珍しい話ではない。2002年の古賀潤一郎衆院議員(当時)のケースでは、ペパーダイン大学卒業と称していたが、実際は卒業していなかった。発覚後、議員辞職に追い込まれた。
2016年には、神奈川県議がカイロ大学卒業を詐称して辞職。この時も「卒業したと思っていた」という苦しい弁明をしたが、通用しなかった。
いずれのケースも、最初は「勘違い」「認識の相違」と主張したが、最終的には虚偽であることを認めざるを得なかった。田久保市長のケースも、同じ道をたどる可能性が高い。
市民の声:怒り、失望、そして教訓
伊東市民の声を聞くと、怒りと失望が入り混じっている。
「田久保さんを信じて投票したのに、裏切られた気分」(会社員女性・35)
「学歴なんてどうでもいいけど、嘘はダメ。子どもに示しがつかない」(自営業男性・48)
「除籍でも堂々としていれば良かったのに。隠すから問題になる」(主婦・62)
「市議時代は良い人だったのに、なぜこんなことに」(元市職員・70)
一方で、この騒動から教訓を得ようとする声もある。
「候補者の経歴をもっとしっかりチェックすべきだった」(会社役員・55)
「ネット時代は嘘がすぐバレる。政治家も覚悟が必要」(大学生・21)
今後のシナリオ:3つの可能性
今後の展開として、3つのシナリオが考えられる。
【シナリオ1:辞職】
本日の記者会見で辞職を表明。50日以内に市長選挙が行われる。最も円満な解決策だが、田久保氏のプライドが許すかどうか。
【シナリオ2:続投→リコール】
辞職を拒否し、市民がリコール運動を展開。成立すれば住民投票で信任を問う。時間とコストがかかる上、市政の混乱が長期化する。
【シナリオ3:続投→刑事裁判】
検察が起訴し、裁判で争う。有罪判決が出れば自動失職。最も時間がかかり、市政への影響も最大。
いずれにせよ、伊東市は当分の間、混乱が続くことになりそうだ。
SNS時代の政治:もう嘘は通用しない
今回の騒動で改めて明らかになったのは、SNS時代には政治家の嘘が通用しないということだ。匿名の告発文書が全市議に届き、瞬く間に真実が暴かれた。
かつてなら、地方都市の市長の学歴など、誰も詳しく調べなかったかもしれない。しかし今は違う。ネット上には膨大な情報があり、誰でも簡単に事実確認ができる。
政治コンサルタントは「これからの政治家は、完全に透明でなければ生き残れない」と指摘する。小さな嘘も、いずれは必ず暴かれる時代なのだ。
まとめ:嘘で塗り固めた城は必ず崩れる
田久保真紀市長の学歴詐称疑惑は、単なる経歴詐称では済まない、民主主義の根幹を揺るがす重大事件だ。「東洋大学卒業」が「除籍」だったという事実以上に、その後の不誠実な対応が市民の怒りを決定的にした。
本日午後3時の記者会見で、田久保市長がどんな決断を下すのか。しかし、市民の答えは既に出ている。「嘘つきに市政は任せられない」。この単純な真理が、今日という日に突きつけられることになるだろう。
今回の事件は、全ての政治家、そして私たち市民にも重要な教訓を残した。それは、民主主義は信頼の上に成り立っているということ。その信頼を裏切る者に、政治を任せることはできない。
伊東市の美しい海と温泉の街が、一日も早く平穏を取り戻すことを願うばかりだ。そのためにも、今日という日が、新たな出発点となることを期待したい。