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2025年1月 インフルエンザ警報解除でも油断禁物

インフル警報解除でも油断禁物!2-3月に第二波の可能性

【重要】東京都のインフルエンザ警報は解除されましたが、これは決して「終息」を意味しません。2025年1月22日、東京都では警報基準を下回りましたが、専門家は「2-3月に第二波が来る可能性が高い」と警告しています。特に、警報解除による「安心バイアス」が最も危険だと指摘されています。

実際、和歌山市や福岡県では依然として警報が継続中。さらに、コロナ禍での行動制限により成人層の「免疫ギャップ」が生じており、今シーズンは大人の感染者が例年の1.5倍に増加しています。子育て世代や高齢者を介護する家族は、むしろ今こそ警戒が必要です。

東京都インフルエンザ警報解除の詳細

東京都感染症情報センターによると、2025年第4週(1月20日~1月26日)の定点医療機関からの患者報告数が警報基準値(定点当たり30人)を下回ったことを受け、警報が解除されました。これは、年末年始の大規模な流行がピークを過ぎたことを示しています。

しかし、国立感染症研究所の専門家は「警報解除は流行の完全終息を意味するものではない」と指摘。実際、和歌山市や福岡県など、一部地域では依然として警報基準値を大きく超えて流行が続いている状況です。

地域別の最新状況(2025年1月22日現在)

地域 警報状況 定点当たり患者数 前週比
東京都 解除 28.5人 -15%
和歌山市 継続中 45.2人 +8%
福岡県 継続中 38.7人 -3%
愛媛県 継続中 32.1人 -12%

2024-2025年シーズンのインフルエンザの特徴

今シーズンのインフルエンザは、例年とは異なる特徴を持っています。医療現場からの報告によると、従来の典型的な症状に加えて、新たな傾向が確認されています。

1. 胃腸症状の増加

最も注目すべき特徴は、胃腸症状を訴える患者の増加です。大阪グランドクリニックの報告によると、今年のインフルエンザでは「胃もたれ・吐き気」といった胃腸の不調を訴える患者が例年より多く見られます。これは、ウイルスの変異による可能性が示唆されていますが、詳細なメカニズムは現在研究中です。

2. のどの痛みから始まる症例

従来のインフルエンザは急激な高熱から始まることが一般的でしたが、今シーズンは「のどの痛み」から症状が始まるケースが増加しています。このため、初期段階では単なる風邪と誤認されやすく、診断の遅れにつながる可能性があります。

3. 大人の感染者の増加

例年は子どもを中心に流行が広がるインフルエンザですが、今年は成人の感染者が顕著に増加しています。これは、コロナ禍での行動制限により、成人層の免疫力が低下していることが一因と考えられています。

4. 早期流行の傾向

2024-2025年シーズンは、例年より前倒しで流行が始まりました。通常は1月下旬から2月にかけてピークを迎えますが、今シーズンは12月下旬にすでに警報レベルに達していました。

インフルエンザの典型的な症状と新たな症状

インフルエンザの診断において重要なのは、症状の正確な把握です。以下に、従来の典型的な症状と、今シーズン特有の症状をまとめました。

典型的な症状(発症率)

  • 38℃以上の急激な発熱(84.7%)
  • 悪寒・倦怠感(78.3%)
  • 筋肉痛・関節痛(65.2%)
  • 頭痛(62.8%)
  • 咳・鼻水(58.9%)

今シーズン特有の症状

  • 胃もたれ・吐き気(32.5%)※例年の約2倍
  • のどの痛み(初期症状として)(41.3%)
  • 下痢・腹痛(18.7%)
  • 味覚・嗅覚の軽度異常(8.2%)

警報解除後も必要な予防対策

東京都の警報解除は朗報ですが、インフルエンザウイルスが消滅したわけではありません。特に、以下のような状況では引き続き注意が必要です。

1. 基本的な感染対策の継続

手洗い・手指消毒の徹底

接触感染を防ぐには、手洗い・手指消毒が最も効果的です。ハンドソープで30秒程もみ洗いした後、流水で15秒すすぐことで、ウイルスの99.9%を除去できます。特に以下のタイミングでの手洗いを心がけましょう。

  • 外出から帰宅した直後
  • 食事の前後
  • トイレの後
  • 公共交通機関利用後
  • 多数の人と接触した後

マスクの適切な着用

高齢者施設への訪問時、医療機関受診時、混雑した場所での活動時は、マスクの着用が推奨されます。マスクは、感染者からの飛沫拡散を防ぐとともに、未感染者への飛沫侵入も軽減します。

2. 室内環境の管理

適切な湿度管理

インフルエンザウイルスは、乾燥した環境で活性化しやすい特性があります。室内の湿度を50~60%に保つことで、ウイルスの活動を抑制できます。加湿器の使用や、濡れタオルを室内に干すなどの工夫が有効です。

定期的な換気

1時間に1回、5~10分程度の換気を行うことで、室内のウイルス濃度を低下させることができます。特に、複数人が集まる場所では、こまめな換気が重要です。

3. 咳エチケットの実践

咳やくしゃみをする際は、以下の点に注意しましょう。

  • マスクを着用している場合でも、手で口を覆う
  • マスクがない場合は、ティッシュや腕の内側で鼻と口を覆う
  • 使用したティッシュはすぐにゴミ箱に捨てる
  • 咳・くしゃみ後は必ず手を洗う
  • 人から1メートル以上離れて咳・くしゃみをする

インフルエンザワクチンの重要性

2025年1月現在、まだワクチン接種を受けていない方は、今からでも接種を検討することをお勧めします。

ワクチンの効果と持続期間

  • 効果発現時期:接種後約2週間で抗体が形成され始める
  • 最大効果:接種後約1か月で免疫力が最も高まる
  • 持続期間:約5か月間効果が持続
  • 予防効果:発症リスクを約60%減少、重症化リスクを約80%減少

今シーズンのワクチン供給状況

厚生労働省の発表によると、2024-2025年シーズンのワクチン供給量は以下の通りです。

ワクチンタイプ 供給予定量 接種可能回数
インフルエンザHAワクチン 約2,604万本 成人約5,208万回分
経鼻弱毒生ワクチン 約130万本 約130万回分

供給量は十分確保されているため、希望者は速やかに接種を受けることができます。

特に注意が必要な人々

警報解除後も、以下のような方々は特に注意が必要です。

高リスク群

  1. 65歳以上の高齢者
    • 免疫力の低下により重症化リスクが高い
    • 肺炎などの合併症発症率が高い
  2. 基礎疾患を持つ方
    • 慢性呼吸器疾患(喘息、COPD等)
    • 心臓病
    • 糖尿病
    • 腎臓病
    • 免疫不全状態
  3. 妊婦
    • 妊娠中は免疫力が低下
    • 重症化リスクが通常の約2倍
  4. 乳幼児(特に2歳未満)
    • 免疫系が未発達
    • 脳症などの重篤な合併症リスク

インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行への備え

2025年現在、新型コロナウイルスも依然として存在しており、インフルエンザとの同時流行(ツインデミック)への警戒が必要です。

症状の違いと見分け方

症状 インフルエンザ 新型コロナ(オミクロン株)
発熱 急激な高熱(38℃以上) 比較的緩やかな発熱
乾いた咳 持続的な咳
のどの痛み 今季は初期症状として多い 初期から強い痛み
筋肉痛 全身の強い痛み 軽度から中等度
消化器症状 今季は増加傾向 下痢が多い
味覚・嗅覚異常 まれ(今季8.2%) 比較的多い

同時感染のリスクと対策

インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染は、重症化リスクを著しく高めます。特に高齢者では、同時感染により死亡リスクが単独感染の約2.35倍に上昇するという研究結果も報告されています。

対策として、両方のワクチン接種が推奨されています。インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同時接種も可能であり、それぞれの効果に影響はありません。

医療機関受診のタイミング

警報解除後も、適切なタイミングでの医療機関受診は重要です。以下のような症状が現れた場合は、速やかに受診をご検討ください。

緊急受診が必要な症状

成人の場合

  • 呼吸困難または息切れ
  • 胸部または腹部の持続的な痛みや圧迫感
  • 持続的なめまい、意識混濁、覚醒困難
  • けいれん
  • 排尿がない、または極端に少ない
  • 激しい筋肉痛
  • 極度の脱力感または歩行困難
  • 3日以上続く40℃以上の発熱

小児の場合

  • 呼吸が速い、または呼吸困難
  • 青みがかった皮膚の色
  • 水分摂取が不十分
  • 目が覚めない、または反応がない
  • 激しく泣き続ける(あやしても泣き止まない)
  • インフルエンザ様症状が改善した後、再び発熱と悪化する咳
  • 発熱に発疹を伴う

職場・学校での対応

警報解除後も、集団生活の場では適切な対応が求められます。

出勤・登校停止期間の目安

  • 学校保健安全法に基づく出席停止期間:発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで
  • 職場での目安:発熱などの症状がなくなってから最低2日間は自宅待機を推奨

職場・学校での感染予防対策

  1. 体調管理の徹底
    • 毎朝の検温実施
    • 体調不良時の早期報告
    • 無理な出勤・登校の自粛
  2. 環境整備
    • 共用部分の定期的な消毒
    • 十分な換気の確保
    • 適切な湿度管理
  3. 情報共有
    • 感染者発生時の速やかな連絡体制
    • 予防対策の周知徹底

今後の流行予測と専門家の見解

国立感染症研究所の専門家によると、東京都の警報解除は一時的な流行の収束を示していますが、2月から3月にかけて再び流行が拡大する可能性があるとのことです。

今後の流行シナリオ

  1. 楽観的シナリオ:このまま流行が収束し、散発的な発生にとどまる
  2. 中間的シナリオ:2月中旬から下旬にかけて小規模な流行が発生
  3. 悲観的シナリオ:2月から3月にかけて大規模な第二波が発生

専門家は、「警報解除により気が緩みがちになるが、むしろこの時期の対策が重要」と指摘しています。

家庭でできる予防対策

日常生活の中で実践できる予防対策をご紹介します。

食事による免疫力向上

  • ビタミンC豊富な食品:柑橘類、イチゴ、ブロッコリー
  • ビタミンD豊富な食品:サケ、サバ、きのこ類
  • 亜鉛豊富な食品:牡蠣、牛肉、納豆
  • 発酵食品:ヨーグルト、味噌、キムチ

生活習慣の改善

  1. 十分な睡眠:7~8時間の質の良い睡眠
  2. 適度な運動:週3回、30分程度の有酸素運動
  3. ストレス管理:深呼吸、瞑想、趣味の時間確保
  4. 禁煙:喫煙は呼吸器の防御機能を低下させる

まとめ:警報解除後も油断は禁物

東京都のインフルエンザ警報解除は、確かに流行がピークを越えたことを示す朗報です。しかし、これは決して安全宣言ではありません。

2024-2025年シーズンのインフルエンザは、胃腸症状の増加やのどの痛みから始まるケースなど、従来とは異なる特徴を持っています。また、地域によっては依然として警報が継続中であり、全国的な終息にはまだ時間がかかると予想されます。

重要なのは、基本的な感染対策を継続することです。手洗い・うがい、マスクの適切な着用、室内の湿度管理、そして体調不良時の早期受診。これらの対策を怠らないことが、自分自身と周囲の人々を守ることにつながります。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方、妊婦、乳幼児などのハイリスク群の方々は、引き続き十分な注意が必要です。また、まだワクチン接種を受けていない方は、今からでも接種を検討することをお勧めします。

インフルエンザとの闘いは、まだ終わっていません。警報解除を「対策緩和」のサインではなく、「次の流行に備える」ためのきっかけとして捉え、引き続き感染予防に努めましょう。一人ひとりの心がけが、社会全体の健康を守ることにつながります。

投稿者 hana

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