長崎県南西部で震度4の地震発生!8年ぶりの強い揺れに住民驚き
2025年7月25日(金)午前11時17分頃、長崎県南西部を震源とする地震が発生し、諫早市や雲仙市などで最大震度4を観測しました。長崎県内で震度4以上の揺れを観測するのは、2017年6月の橘湾を震源とする地震以来、実に8年ぶりとなります。
平日の昼前という時間帯に発生した今回の地震。突然の強い揺れに、多くの住民が驚きとともに避難行動を取りました。幸い、この地震による津波の心配はなく、気象庁は「今後1週間程度は同程度の地震に注意が必要」と呼びかけています。
地震の詳細データと各地の震度
気象庁の発表によると、今回の地震の詳細は以下の通りです:
項目 | 詳細 |
---|---|
発生日時 | 2025年7月25日(金)11時17分頃 |
震源地 | 長崎県南西部(北緯32.8度、東経130.1度) |
震源の深さ | 約10km |
地震の規模 | マグニチュード4.7 |
最大震度 | 震度4 |
津波の有無 | なし |
震度4を観測した地域
最大震度4を観測したのは、諫早市と雲仙市の以下の地域です:
- 諫早市東小路町
- 諫早市堂崎町
- 諫早市多良見町
- 諫早市森山町
- 雲仙市小浜町雲仙
- 雲仙市千々石町
- 雲仙市小浜町北本町
- 雲仙市愛野町
震度3を観測した地域
震度3を観測した地域は広範囲にわたり、長崎県内では諫早市、長崎市、大村市、雲仙市、南島原市、東彼杵町などで観測されました。また、隣県の熊本県でも長洲町、和水町、天草市で震度3を記録しており、県境を越えて揺れが広がったことがわかります。
8年ぶりの震度4、住民の反応は
長崎県内で震度4以上の地震が観測されたのは、2017年6月9日に橘湾を震源として発生したマグニチュード4.2の地震以来となります。8年ぶりの強い揺れに、多くの住民が驚きを隠せませんでした。
諫早市東小路町の商店街で働く50代の女性は「揺れが始まってすぐに大きな横揺れを感じました。お客様と一緒に慌てて外に避難しました。長崎でこんなに強い地震を感じたのは初めてで、本当に怖かったです」と当時の様子を振り返りました。
雲仙市小浜町の温泉旅館では、入浴中の観光客らが一時避難する場面も。旅館の従業員は「お客様の安全を最優先に、落ち着いて避難誘導を行いました。幸い、施設に被害はなく、お客様も全員無事でした」と話しています。
長崎県の地震活動の特徴と歴史
長崎県は日本の中でも比較的地震活動が少ない地域として知られていますが、過去には大きな被害をもたらした地震も発生しています。県内の地震活動の特徴を理解することは、今後の防災対策を考える上で重要です。
長崎県で発生した主な歴史的地震
1. 1700年 壱岐・対馬付近の地震(マグニチュード7.0)
江戸時代中期に発生したこの地震は、壱岐と対馬で特に大きな被害をもたらしました。壱岐では石垣や墓石がことごとく崩れ、家屋の大半が崩壊。佐賀や平戸でも瓦が落ちるなどの被害が記録されています。震源の詳細は不明ですが、被害状況から壱岐近海と推定されています。
2. 1792年 島原半島の地震(マグニチュード6.4)- 島原大変肥後迷惑
日本の災害史上最悪の火山災害として知られる「島原大変肥後迷惑」。雲仙普賢岳の噴火活動に伴って発生した地震が引き金となり、5月21日に眉山の一部が大崩壊しました。崩壊した山体は有明海に流れ込んで巨大津波を発生させ、対岸の肥後(現在の熊本県)にも甚大な被害をもたらしました。死者は約15,000人にのぼり、日本の火山災害史上最悪の惨事となりました。
3. 1922年 島原(千々石湾)地震
大正11年12月8日、千々石湾を震源とする2つの大きな地震が連続して発生しました。1回目はマグニチュード6.9(最大震度5)、2回目はマグニチュード6.5(最大震度4)を記録。長崎県を中心に各地で大きな被害が発生し、死者26人、負傷者39人、被害家屋2,000棟以上という被害をもたらしました。
長崎県の地震活動の特徴
長崎県の地震活動には以下のような特徴があります:
- 発生頻度は比較的低い – 他の地震多発地域と比較すると、大規模地震の発生頻度は低い傾向にあります。
- 火山活動との関連 – 雲仙普賢岳周辺では、火山活動に伴う地震が発生することがあります。
- 海域での地震活動 – 壱岐・対馬近海には海底活断層の存在が推定されており、海域での地震にも注意が必要です。
- 浅い震源の地震 – 今回のような震源の浅い地震では、規模の割に強い揺れを感じることがあります。
今回の地震の特徴と今後の注意点
今回の地震は、震源の深さが約10kmと比較的浅い場所で発生した内陸型の地震でした。マグニチュード4.7という中規模の地震でしたが、震源が浅かったため、震源に近い地域では強い揺れを感じました。
気象庁からの注意喚起
気象庁は今回の地震を受けて、以下の点について注意を呼びかけています:
- 今後1週間程度は、同程度の地震が発生する可能性があります
- 特に今後2〜3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くあります
- 揺れの強かった地域では、落石や崖崩れなどの危険性が高まっているため注意が必要です
- 今後の地震活動の状況によっては、震度4程度の揺れを伴う地震が発生する可能性があります
地震への備え – 今すぐできる防災対策
今回の地震を機に、改めて地震への備えを見直してみましょう。以下に、すぐに実践できる防災対策をまとめました。
1. 家具の固定と配置の見直し
- タンスや本棚など、背の高い家具は壁に固定する
- 寝室には倒れやすい家具を置かない
- テレビや電子レンジなど、重い家電も固定する
- 食器棚の扉には開き防止器具を取り付ける
2. 非常用持ち出し袋の準備
最低限必要な物品をリュックサックなどにまとめて、すぐに持ち出せる場所に置いておきましょう。
カテゴリー | 必要な物品 |
---|---|
飲食料 | 水(1人1日3リットル×3日分)、非常食、栄養補助食品 |
医薬品 | 常備薬、救急セット、マスク、消毒液 |
情報収集 | 携帯ラジオ、予備電池、充電器、モバイルバッテリー |
生活用品 | 懐中電灯、ティッシュ、タオル、着替え、雨具 |
貴重品 | 現金、通帳のコピー、身分証明書のコピー |
3. 家族との連絡方法の確認
- 災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を確認する
- 災害用伝言板(web171)の登録方法を把握する
- 家族が集まる避難場所を決めておく
- 遠方の親戚を連絡の中継点として決めておく
4. 避難場所と避難経路の確認
- 自宅から最寄りの避難場所を確認する
- 複数の避難経路を把握しておく
- 夜間や雨天時の避難も想定する
- 避難場所までの所要時間を把握する
長崎県の防災への取り組み
長崎県では、地震や津波による被害を最小限に抑えるため、様々な防災対策を実施しています。
地震・津波被害想定の策定
県では、地盤や地質のデータ、人口、建物などの統計資料等に基づいて地震・津波被害の予測を行い、報告書として取りまとめています。これにより、防災関係者や県民が災害の可能性を正しく認識し、平時から必要な備えをすることができます。
防災情報の発信強化
長崎県防災ポータルサイトでは、地震情報をはじめとする各種防災情報をリアルタイムで提供しています。また、防災メールやSNSを活用した情報発信も行っており、県民が迅速に情報を入手できる体制を整えています。
地域防災力の向上
- 自主防災組織の結成促進と活動支援
- 防災訓練の定期的な実施
- 防災教育の推進
- 要配慮者への支援体制の構築
専門家の見解と今後の展望
地震学の専門家は、今回の地震について「長崎県南西部は比較的地震活動が少ない地域だが、今回のような中規模地震は数年から十数年に一度の頻度で発生している」と指摘しています。
また、「震源が浅い地震は、マグニチュードが小さくても局所的に強い揺れをもたらすことがある。今回もその典型例」との分析も。さらに、「8年ぶりの震度4という事実は、逆に言えば長崎県民の地震に対する警戒心が薄れている可能性もある。この機会に防災意識を高めることが重要」と警鐘を鳴らしています。
今後予想される地震活動
地震調査研究推進本部によると、長崎県周辺で今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は、県内の多くの地域で0.1〜3%程度とされています。これは全国的に見ると比較的低い数値ですが、「低確率だからといって油断は禁物。いつ大きな地震が起きても対応できる準備が必要」と専門家は強調します。
地震発生時の正しい行動
今回の地震で改めて確認しておきたい、地震発生時の正しい行動をまとめました。
屋内にいる場合
- まず身の安全を確保 – 頭を保護し、丈夫な机の下などに隠れる
- 揺れが収まるまで待つ – 慌てて外に飛び出さない
- 火の始末 – 揺れが収まってから、ガスの元栓を閉める
- 出口の確保 – ドアや窓を開けて避難路を確保
- 正確な情報収集 – テレビ、ラジオ、防災無線などで情報を確認
屋外にいる場合
- ブロック塀や自動販売機など、倒れやすいものから離れる
- 看板や窓ガラスの落下に注意する
- 広い場所に避難する
- 崖や川岸など、危険な場所から離れる
車を運転中の場合
- ハザードランプを点灯し、ゆっくりと速度を落とす
- 道路の左側に停車する
- エンジンを切り、キーはつけたままにする
- 車を離れる場合は、ドアをロックしない
まとめ – 8年ぶりの教訓を活かして
2025年7月25日に発生した長崎県南西部を震源とする地震は、8年ぶりに県内で震度4を観測する地震となりました。幸い大きな被害は報告されていませんが、この地震は私たちに重要な教訓を与えてくれました。
長崎県は確かに地震の少ない地域ですが、「地震が少ない」ことと「地震が起きない」ことは全く違います。過去には島原大変肥後迷惑のような大災害も発生しており、決して油断はできません。
今回の地震を契機に、以下の点を改めて確認しましょう:
- 家具の固定など、身の回りの安全対策の見直し
- 非常用持ち出し袋の準備・点検
- 家族との連絡方法、避難場所の確認
- 地域の防災訓練への積極的な参加
- 正確な情報源の把握
「備えあれば憂いなし」という言葉があります。8年ぶりの震度4という今回の地震を、防災意識を新たにする良い機会と捉え、一人ひとりが防災対策を実践していくことが重要です。
気象庁は今後1週間程度は同程度の地震に注意が必要としています。引き続き最新の地震情報に注意を払いながら、冷静に行動していきましょう。