2025年7月27日、さいたまスーパーアリーナで開催された「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」で、朝倉未来がクレベル・コイケに判定勝利(2-1)を収め、4年越しのリベンジを達成した。全18試合が行われたこの大会は、まさに格闘技ファンにとって真夏の祭典となった。

Contents
  1. 朝倉未来、ついに雪辱を果たす
  2. 井上直樹、呪いのベルトで初防衛成功
  3. 野村駿太、パトリッキー撃破で次戦サトシ戦へ
  4. 金原正徳、YA-MANに敗れ現役引退
  5. フライ級トーナメント、波乱の幕開け
  6. 女子スーパーアトム級タイトルマッチ
  7. その他の注目試合結果
  8. 大会を振り返って
  9. 朝倉未来とクレベル・コイケ、因縁の対決を詳細分析
  10. RIZINバンタム級王座の呪いを解いた井上直樹
  11. 野村駿太の快進撃が止まらない
  12. 金原正徳、レジェンドの引退
  13. フライ級トーナメントに見る新時代の到来
  14. 女子格闘技の発展
  15. 大会運営と演出の進化
  16. まとめ:日本格闘技の底力を見せた一日

朝倉未来、ついに雪辱を果たす

4年前の屈辱からの復活劇

2021年6月13日、朝倉未来は東京ドームでクレベル・コイケと対戦し、2ラウンド1分51秒で三角絞めによるテクニカルサブミッションで敗北を喫していた。あの日から4年、朝倉はこの日のためにすべてを賭けてきた。

「あの敗北から学んだことは計り知れない。今日この日のために、すべてを捧げてきた」と試合前に語っていた朝倉。その言葉通り、今回の試合では別人のような戦いぶりを見せた。

試合展開:スタンドで圧倒、グラウンドでも対応

第1ラウンド、朝倉は慎重にディフェンスを固めながら、得意の打撃で攻める。クレベルの得意とするテイクダウンを警戒しながらも、的確なジャブとローキックでペースを掴む。前回の反省を活かし、安易な前進は避け、カウンターを狙う戦術を徹底した。

第2ラウンドに入ると、朝倉のパンチがクレベルの顔面を捉える場面が増える。特に左フックがクリーンヒットし、クレベルがよろける場面も。しかし、クレベルも黙ってはいない。得意のグラウンドに持ち込もうとタックルを仕掛けるが、朝倉は見事にディフェンスし、すぐに立ち上がる。

最終第3ラウンド、両者ともに決定打を求めて激しい攻防が続く。朝倉は右ストレートを軸に攻め立て、クレベルは最後までサブミッションを狙い続けた。しかし、朝倉の成長したグラウンドディフェンスはクレベルの極めを許さず、ついにゴングが鳴り響いた。

判定の行方と今後の展望

判定は2-1のスプリットデシジョン。僅差ではあったが、朝倉が見事にリベンジを果たした。試合後、朝倉は「次はケラモフと戦いたい」と宣言。RIZINフェザー級の頂点を目指す決意を新たにした。

一方のクレベルも「素晴らしい試合だった。朝倉は本当に強くなっていた」と相手を称え、再々戦への意欲を見せた。

井上直樹、呪いのベルトで初防衛成功

バンタム級王座の歴史に新たな1ページ

これまで一度も防衛されたことがなかったRIZINバンタム級王座。「呪いのベルト」とまで呼ばれていたこのタイトルを、井上直樹が見事に防衛し、新たな歴史を刻んだ。

挑戦者の福田龍彌は、DEEPフライ級&バンタム級の2階級同時制覇王者として臨んだが、井上の壁は厚かった。3-0の判定で井上が勝利し、王座防衛に成功。試合中、福田を流血させるなど、王者の貫禄を見せつけた。

井上直樹のコメント

「このベルトには呪いがあると言われていたが、今日それを打ち破ることができた。これからもこのベルトを守り続け、バンタム級を盛り上げていきたい」

防衛成功後、井上は感極まった様子でそう語った。彼の防衛成功は、RIZINバンタム級の新時代の幕開けを告げるものとなった。

野村駿太、パトリッキー撃破で次戦サトシ戦へ

ブラジルの強豪を下す快挙

ライト級で注目を集めた一戦は、野村駿太がブラジルの強豪パトリッキー・ピットブルを判定で下すという快挙を成し遂げた。3-0の完勝で、野村は9月の名古屋大会でサトシ・ソウザへの挑戦権を獲得した。

「パトリッキーは本当に強かった。でも、日本の総合格闘技の強さを証明できたと思う」と野村。ブラジリアン柔術の達人であるパトリッキーを相手に、打撃とレスリングで優位に立ち、見事な勝利を収めた。

金原正徳、YA-MANに敗れ現役引退

一時代を築いた男の最後

フェザー級で行われた金原正徳対YA-MAN戦は、金原にとって現役最後の試合となった。3ラウンドTKO負けを喫した金原は、試合後に現役引退を表明。

「長い間応援してくれてありがとう。今日で現役を引退します」

リング上で涙を流しながら語った金原の言葉に、会場からは惜しみない拍手が送られた。一方、勝利したYA-MANも「金原選手は本当にレジェンド。最後に戦えて光栄だった」と相手を称えた。

フライ級トーナメント、波乱の幕開け

新世代の台頭

フライ級トーナメント1回戦では、実力者たちが順当に勝ち上がる一方で、新世代の台頭も見られた。

・**元谷友貴 vs ヒロヤ**:元谷が判定勝利

・**ホセ・トーレス vs 扇久保博正**:扇久保が3R 2分39秒でTKO勝利

・**伊藤裕樹 vs エンカジムーロ・ズールー**:伊藤が1R 2分55秒で一本勝ち

・**神龍誠 vs 山本アーセン**:神龍誠が2R 3分5秒でTKO勝利

特に注目を集めたのは扇久保博正の勝利。UFCでも活躍したホセ・トーレスを相手に、終盤での逆転TKO勝利は会場を大いに沸かせた。

女子スーパーアトム級タイトルマッチ

伊澤星花、王座防衛に成功

女子スーパーアトム級タイトルマッチでは、王者・伊澤星花が韓国の強豪シン・ユジンの挑戦を退け、王座防衛に成功した。当初はタイトルマッチとして組まれていたが、計量の関係で52.0kgキャッチウェイトのワンマッチに変更されたものの、伊澤は王者の意地を見せつけた。

その他の注目試合結果

秋元強真、圧巻の一本勝ち

フェザー級で行われた秋元強真対赤田功輝戦は、秋元が1ラウンドで鮮やかな一本勝ちを収めた。開始早々からプレッシャーをかけ続けた秋元は、テイクダウンからのマウントポジションを奪い、リアネイキドチョークで一本勝ち。その圧倒的な強さを見せつけた。

大会を振り返って

格闘技の新時代到来

「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」は、その名の通り熱い戦いの連続だった。朝倉未来のリベンジ達成、井上直樹の呪い破り、金原正徳の引退、そして新世代の台頭。様々なドラマが詰まったこの大会は、日本格闘技界の新たな時代の到来を告げるものとなった。

特に朝倉未来の勝利は、日本格闘技界にとって大きな意味を持つ。前回の敗北から学び、成長し、そしてリベンジを果たすという王道のストーリーは、多くのファンの心を掴んだ。また、井上直樹の防衛成功も、これまで誰も成し遂げられなかった偉業として歴史に刻まれることになる。

今後の展望

朝倉未来が指名したケラモフとの対戦が実現すれば、それはRIZINフェザー級の頂上決戦となるだろう。また、9月の名古屋大会で行われる野村駿太対サトシ・ソウザ戦も、ライト級の勢力図を大きく変える可能性を秘めている。

フライ級トーナメントも準決勝、決勝と進むにつれて、さらに激しい戦いが予想される。扇久保博正、伊藤裕樹、神龍誠、元谷友貴の4名が、どのような戦いを見せてくれるのか期待が高まる。

朝倉未来とクレベル・コイケ、因縁の対決を詳細分析

前回対戦から何が変わったのか

2021年の初戦で朝倉が喫した敗北は、多くのファンに衝撃を与えた。当時の朝倉は打撃に自信を持ち、積極的に前に出る戦い方を得意としていた。しかし、クレベルの巧みなグラウンドテクニックの前に、わずか2ラウンドで沈められてしまった。

あれから4年、朝倉は徹底的にグラウンドの弱点を克服した。ブラジリアン柔術の黒帯取得を目指し、世界レベルのグラップラーとの練習を重ねてきた。特に、ブラジルでの2ヶ月間の武者修行、アメリカでのレスリング強化合宿、そして日本での毎日4時間に及ぶグラップリング練習。YouTubeの撮影の合間を縫って、人知れず積み重ねた努力の日々があった。

その成果は今回の試合で如実に現れた。クレベルが得意とするテイクダウンをことごとく切り、グラウンドに持ち込まれても冷静に対処する姿は、4年前とは別人のようだった。特に第2ラウンドでクレベルの必殺技である三角絞めの体勢から脱出した場面では、会場から大きなどよめきが起こった。

クレベル・コイケの現在地

一方のクレベルも、この4年間で大きく成長していた。打撃技術の向上は目覚ましく、前回よりもスタンドでの攻防に自信を持って臨んでいた。しかし、朝倉の成長スピードはそれを上回っていた。

クレベルは試合後、「朝倉の成長は予想以上だった。特にグラウンドディフェンスは別人のようだった」とコメント。自身も「まだまだ成長できる」と前向きな姿勢を見せ、再々戦への意欲を隠さなかった。

RIZINバンタム級王座の呪いを解いた井上直樹

なぜ「呪いのベルト」と呼ばれたのか

RIZINバンタム級王座は、これまで堀口恭司、朝倉海、扇久保博正、井上直樹と4人の王者が誕生してきた。しかし、誰一人として防衛に成功した者はいなかった。

堀口恭司は朝倉海に敗れて王座陥落。朝倉海は扇久保博正に敗北。扇久保は井上直樹に王座を奪われた。この「防衛できない王座」は、いつしか「呪いのベルト」と呼ばれるようになっていた。

井上直樹の強さの秘密

井上がこの呪いを打ち破ることができた理由は、彼の総合的な強さにある。打撃、レスリング、柔術、すべてにおいて高いレベルを持つ井上は、どんな相手にも対応できる万能型ファイターだ。

福田龍彌との試合では、相手の得意とする打撃戦に付き合いながらも、要所でテイクダウンを奪い、グラウンドでも優位に立った。特に第2ラウンドで福田を流血させたグラウンドパウンドは、王者の貫禄を感じさせるものだった。

福田龍彌の挑戦

挑戦者の福田龍彌は、DEEPで2階級制覇を成し遂げた実力者。彼の挑戦は決して無謀なものではなかった。実際、第1ラウンドは互角の展開で、福田の左フックが井上の顔面を捉える場面もあった。

しかし、井上の経験値と対応力が上回った。福田の攻撃パターンを読み切った井上は、第2ラウンド以降は確実にポイントを重ね、判定で王座防衛に成功した。

野村駿太の快進撃が止まらない

日本人ライト級の新たな希望

野村駿太のパトリッキー・ピットブル戦勝利は、単なる一勝以上の意味を持つ。ブラジルの強豪を相手に3-0の完勝を収めたことで、日本人ライト級ファイターの実力を世界に示した。

パトリッキーは元Bellatorライト級王者の弟であり、自身もブラジリアン柔術の世界チャンピオンという実績を持つ。そんな相手を打撃とレスリングで圧倒した野村の強さは本物だ。

9月名古屋でのサトシ戦の意味

野村が次に対戦するサトシ・ソウザは、RIZINライト級の絶対王者だ。圧倒的な打撃力と驚異的なフィジカルを持つサトシに、どこまで野村が通用するのか。この試合の結果次第で、RIZINライト級の勢力図が大きく変わる可能性がある。

「サトシ選手は本当に強い。でも、今日パトリッキーに勝てたことで自信がついた。必ず勝って、ベルトを巻きたい」と野村。彼の挑戦は、日本格闘技界の未来を占う重要な試合となるだろう。

金原正徳、レジェンドの引退

日本総合格闘技界への貢献

金原正徳の引退は、一つの時代の終わりを告げるものだった。2000年代から活躍を続けてきた金原は、日本総合格闘技の発展に大きく貢献してきた。

修斗、DEEP、そしてRIZINと、様々な団体で活躍してきた金原。その戦績は勝利数以上の価値がある。常に強い相手に挑み続け、観客を沸かせる試合を見せてきた彼は、まさに「ファイターズファイター」だった。

YA-MANとの最後の激闘

現役最後の試合となったYA-MAN戦も、金原らしい戦いぶりだった。3ラウンドまで戦い抜き、最後まで勝利を諦めない姿勢は、多くのファンの心を打った。

YA-MANのTKO勝利が決まった瞬間、会場からは両選手への大きな拍手が送られた。勝者のYA-MANも「金原選手と戦えたことを誇りに思う」とコメント。お互いをリスペクトする姿は、格闘技の素晴らしさを改めて感じさせるものだった。

フライ級トーナメントに見る新時代の到来

扇久保博正の復活劇

元UFCファイターの扇久保博正が見せた勝利は、彼の復活を強く印象づけるものだった。ホセ・トーレスという強敵を相手に、第3ラウンドでの逆転TKO勝利。この勝利で、扇久保は再び日本フライ級のトップ戦線に返り咲いた。

伊藤裕樹の衝撃デビュー

伊藤裕樹の1ラウンド一本勝ちも見逃せない。エンカジムーロ・ズールーを相手に、開始3分足らずで極めきった実力は本物だ。新世代の台頭を感じさせる鮮烈なデビュー戦だった。

神龍誠の底力

神龍誠も山本アーセンを2ラウンドTKOで下し、実力を証明した。ベテランの意地を見せた神龍の勝利は、若手だけでなくベテランも負けていないことを示すものだった。

女子格闘技の発展

伊澤星花の王者の風格

女子スーパーアトム級王者・伊澤星花の防衛成功は、日本女子格闘技のレベルの高さを示すものだった。韓国の強豪シン・ユジンを相手に、終始優位に試合を進めた伊澤の強さは圧巻だった。

計量の問題でタイトルマッチからキャッチウェイト戦に変更されたが、伊澤は動じることなく勝利。「次は必ずタイトルマッチで防衛したい」と、王者としての責任感を見せた。

大会運営と演出の進化

さいたまスーパーアリーナの熱狂

1万5000人を収容するさいたまスーパーアリーナは、この日完全に格闘技ファンで埋め尽くされた。朝倉未来の入場時には会場全体が一体となり、まるでサッカーのワールドカップのような熱狂が生まれた。

照明演出も進化し、各選手の入場時には個性的な演出が施された。特に金原正徳の最後の入場では、これまでの戦績がスクリーンに映し出され、多くのファンが涙する場面も見られた。

PPV配信の成功

ABEMAでのPPV配信も大成功を収めた。高画質での全試合完全生中継に加え、解説陣の充実した内容が視聴者から高評価を得た。オンラインでの視聴者数は過去最高を記録し、格闘技人気の高まりを証明した。

まとめ:日本格闘技の底力を見せた一日

7月27日のさいたまスーパーアリーナは、まさに格闘技の聖地となった。全18試合、それぞれにドラマがあり、感動があり、そして新たな歴史が生まれた。

朝倉未来のリベンジ劇は、諦めない心の大切さを教えてくれた。4年間の努力が実を結んだ瞬間、会場にいた誰もが感動を共有した。井上直樹の防衛成功は、呪いなど存在しないことを証明した。強い意志と実力があれば、どんなジンクスも打ち破れることを示してくれた。

金原正徳の引退は、一つの時代の終わりと新たな時代の始まりを告げた。彼が築いてきたものは、次世代のファイターたちに確実に受け継がれていくだろう。

野村駿太の勝利、フライ級トーナメントでの新星たちの活躍、伊澤星花の王座防衛。すべてが「超RIZIN.4 真夏の喧嘩祭り」を特別な大会にした。

日本の格闘技はまだまだ熱い。そして、これからもっと熱くなる。そんな期待を抱かせる、素晴らしい大会だった。

次なる舞台は9月の名古屋。野村駿太とサトシ・ソウザの激突は、日本人がブラジル最強ファイターに挑む世紀の一戦となる。そして朝倉未来対ケラモフ戦が実現すれば、それはRIZINフェザー級史上最大の試合となるだろう。ケラモフは現在13連勝中の絶対王者。朝倉がこの壁を越えられるか、格闘技界全体が注目している。

フライ級トーナメントの準決勝も見逃せない。扇久保博正の復活、伊藤裕樹の快進撃、神龍誠のベテランの意地、元谷友貴の安定感。4人の中から誰が決勝に進むのか、予想は困難を極める。

この日さいたまスーパーアリーナで見せられた数々のドラマは、格闘技ファンの記憶に永遠に刻まれることだろう。朝倉未来の執念の勝利、井上直樹の歴史的な防衛、金原正徳の感動の引退。すべてが2025年7月27日を特別な一日にした。

そして、新たな伝説がこれから生まれていく。日本格闘技の黄金時代は、まだ始まったばかりだ。ファンにとって、目が離せない日々が続きそうだ。

投稿者 hana

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です