2025年新語・流行語大賞、30のノミネート語が発表

2025年11月5日、「現代用語の基礎知識」選「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」のノミネート語30が発表されました。今年で第42回を迎えるこの賞は、その年に話題となった言葉や流行語を選出するもので、日本の世相を映す鏡として毎年注目を集めています。トップテンおよび年間大賞語は12月1日に決定される予定です。

今回のノミネート語には、政治・経済から若者文化、SNSトレンドまで、幅広いジャンルの言葉が選ばれました。高市早苗首相の誕生を象徴する「女性首相」、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」、若者の間で大流行した「エッホエッホ」など、2025年を象徴する言葉が並びます。

政治・社会情勢を反映したノミネート語

「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」

自民党総裁選で選出された高市早苗新総裁が、決意を表明した際に述べた言葉がノミネートされました。日本初の女性首相誕生という歴史的瞬間を象徴する言葉として注目を集めています。ただし、この発言には賛否両論があり、昨今の働き方改革でワークライフバランスが定着してきた今、「ワークライフバランスを捨てる」と受け取られかねない表現には、様々な意見が寄せられました。

「物価高」

2025年も継続している物価上昇は、国民生活に大きな影響を与え続けています。食品、エネルギー、日用品など幅広い品目で価格が上昇し、家計を圧迫する状況が続いたことから、この言葉がノミネートされました。政府の経済対策や企業の価格転嫁など、物価高への対応が社会全体の課題となっています。

「トランプ関税」

アメリカのドナルド・トランプ前大統領が提唱する関税政策が、国際経済に大きな影響を与えています。日本を含む多くの国々が、アメリカとの貿易関係の見直しを迫られ、経済政策の転換点となった言葉として選ばれました。

「古古古米」

米の備蓄が増加し、3年以上前に収穫された「古古古米」が市場に出回る事態となったことを示す言葉です。食料安全保障と農業政策の課題を浮き彫りにする言葉として注目されました。

「緊急銃猟/クマ被害」

2025年も各地でクマによる人身被害が相次ぎ、緊急的な銃猟が実施されるなど、野生動物と人間社会の共生の難しさが改めて認識されました。地方の過疎化や森林環境の変化といった背景も含め、深刻な社会問題として取り上げられています。

「フリーランス保護法」

フリーランスとして働く人々の権利を保護する法律が施行され、働き方の多様化を支える制度として注目を集めました。ギグエコノミーの拡大に伴い、フリーランスの待遇改善が社会的課題となっています。

若者文化・SNSから生まれた流行語

「エッホエッホ」

メンフクロウのヒナが草むらを懸命に走る姿の写真が海外のネットで話題になり、日本ではその姿に「エッホエッホ」という擬音を添えて紹介されました。若者の間では、急いで何かをしなければならない様子を表す言葉としても使われるようになり、SNSを中心に広まりました。可愛らしいビジュアルと親しみやすい音感が受け、幅広い世代に広がった言葉です。

「ビジュイイじゃん」

男性ボーカルダンスユニットM!LKの楽曲「イイじゃん」が話題となり、TikTokでの動画投稿も人気を呼びました。セリフ部分の「今日ビジュイイイじゃん」が流行語として定着。これはZ世代発のポジティブなスラングで、見た目や感性を褒める共感系ワードとして若者文化を牽引しました。「ビジュアルがいい」を略した表現で、ファッションやメイク、写真などを褒める際に広く使われています。

「チョコミントよりもあ・な・た」

メディアミックスプロジェクト「AiScReam」の楽曲「愛♡スクリ~ム!」の一節をもとに広がったフレーズです。「ラブライブ!」シリーズの期間限定ユニット・AiScReamのデビューシングルの歌詞で、TikTokやYouTubeショートで大流行しました。SNS上で話題を呼び、リップシンク動画やパロディ投稿が拡散し、若者を中心に親しまれています。

「ラブブ」

「推し活」に次ぐ新しい応援文化として注目されている言葉です。単なるファン活動を超えて、対象への愛情を全面的に表現する文化として、特に若い世代の間で広まりました。

「ぬい活」

ぬいぐるみと一緒に出かけたり、写真を撮影したりする活動を指します。推しキャラクターのぬいぐるみを連れて旅行や日常を楽しむ様子がSNSで共有され、新しい趣味のスタイルとして定着しました。

「平成女児」

平成生まれの女性たちが、当時流行したファッションや文化を懐かしむムーブメントを表す言葉です。平成レトロブームとも連動し、Y2Kファッションなどが再評価されています。

エンタメ・カルチャー関連のノミネート語

「国宝(観た)」

吉田修一原作の映画に関連して、「国宝観た?」が合言葉になったことから選ばれました。作品の話題性と共に、文化芸術への関心の高まりを示す言葉として注目されています。

「ミャクミャク」

2025年大阪・関西万博の公式キャラクターとして登場した「ミャクミャク」。その独特なデザインがSNSで大きな話題を呼び、賛否両論を巻き起こしながらも、万博のシンボルとして広く認知されました。「不気味かわいい」という新しい魅力が注目され、グッズも人気を集めています。

「教皇選挙」

2025年に行われたローマ教皇選挙(コンクラーベ)が注目を集めました。世界13億人のカトリック信徒の頂点を選ぶ神秘的な選挙プロセスが、メディアで詳しく報道され、日本でも関心が高まりました。

その他の注目ノミネート語

「卒業証書19.2秒」

静岡県伊東市の田久保眞紀市長が、学歴詐称疑惑を受けて市議会の議長と副議長に卒業証書を「チラ見せではなく約19.2秒ほど見ていただいた」と発言したことが話題になりました。この非常に具体的な秒数が注目を集め、SNSでも議論を呼びました。

「二季」

気候変動の影響で、日本の四季が「二季」へと変化しているという認識を表す言葉です。春と秋が短くなり、夏と冬が長期化する傾向が顕著になったことを示しています。

「長袖をください」

異常気象による気温の変動が激しくなる中で、適切な服装選びの難しさを表現した言葉として話題になりました。

「麻辣湯」

中国の人気料理「麻辣湯(マーラータン)」が日本でも大ブームとなりました。好きな具材を選んで辛いスープで煮込む料理で、SNS映えすることもあり、若者を中心に人気が広がっています。

「リカバリーウェア」

疲労回復を目的とした機能性ウェアが注目を集めました。在宅勤務の増加や健康意識の高まりを背景に、睡眠の質を向上させるアイテムとして市場が拡大しています。

「おてつたび」

地方の人手不足を解消しながら、旅行者が安価に旅を楽しめるマッチングサービス「おてつたび」が注目されました。地域活性化と新しい旅のスタイルを提案するサービスとして評価されています。

「チャッピー」

SNSで人気を集めたキャラクターやトレンドを表す言葉として選ばれました。

「ほいたらね」

地方の方言が全国的に広まった例として注目されています。

「薬膳」

健康志向の高まりを背景に、薬膳料理への関心が高まりました。東洋医学に基づいた食材選びが注目され、日常の食生活に取り入れる人が増えています。

「オンカジ」

オンラインカジノの略称で、インターネット上でのギャンブル問題が社会的な議論を呼びました。依存症対策や規制の在り方が課題となっています。

「7月5日」

特定の日付が流行語としてノミネートされた背景には、その日に起きた重要な出来事や話題があったと考えられます。

「戦後80年/昭和100年」

2025年は戦後80年の節目の年であり、また昭和元年(1926年)から数えて100年目にあたります。歴史を振り返り、平和の意義を再確認する機会として注目されました。

「ひょうろく」

SNSや若者の間で広まった新しい表現やキャラクターとして選ばれました。

「企業風土」

企業の不祥事や労働環境問題が相次ぐ中で、組織文化の重要性が改めて認識されました。コンプライアンスやハラスメント対策など、健全な企業風土の構築が経営課題として注目されています。

「オールドメディア」

テレビ・新聞・ラジオなどの従来型メディアを指す言葉として使われ、SNSやインターネットメディアとの対比で注目されました。メディア環境の変化を象徴する言葉です。

流行語大賞の選考プロセスと今後のスケジュール

新語・流行語大賞は、「現代用語の基礎知識」編集部がノミネート語を選定し、選考委員会が年間大賞とトップテンを決定します。2025年の選考委員には、姜尚中氏(政治学者)、金田一秀穂氏(言語学者)、辛酸なめ子氏(漫画家・コラムニスト)、俵万智氏(歌人)、室井滋氏(女優・エッセイスト)、やくみつる氏(漫画家)、大塚陽子氏(「現代用語の基礎知識」編集長)が名を連ねています。

年間大賞およびトップテンは、12月1日に発表される予定です。どの言葉が大賞に選ばれるのか、注目が集まっています。

過去の流行語大賞から見る時代の変化

流行語大賞は1984年から始まり、40年以上にわたって日本の世相を記録してきました。近年の大賞を振り返ると、2023年は「アレ(A.R.E.)」、2024年は「神回」が選ばれるなど、その年を象徴する言葉が選出されています。

今年のノミネート語を見ると、政治・経済の変化、気候変動、若者文化の多様化、デジタル化の進展など、現代社会が直面する様々な課題や変化が反映されていることがわかります。特に、SNSから生まれた言葉が多数選ばれていることは、情報発信と消費のあり方が大きく変化していることを示しています。

まとめ:2025年を映す30の言葉

2025年新語・流行語大賞のノミネート語30は、政治の歴史的転換点、継続する経済課題、気候変動への懸念、若者の新しい文化、エンタメの多様化など、この1年の日本社会を多面的に映し出しています。

「女性首相」という歴史的な言葉から、「エッホエッホ」「ビジュイイじゃん」といった若者の遊び心あふれる表現まで、幅広い世代とジャンルの言葉が並ぶことで、現代日本の豊かさと複雑さが表現されています。

12月1日の大賞発表では、これら30の言葉の中から、2025年を最も象徴する言葉が選ばれます。「ミャクミャク」「女性首相」「物価高」あたりが有力候補として挙げられていますが、予想を裏切るサプライズもあるかもしれません。

流行語大賞は単なる言葉の人気投票ではなく、その年の社会を記録し、後世に伝える文化的な意義を持っています。2025年のノミネート語を通じて、私たちが生きるこの時代の姿を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

投稿者 hana

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