新幹線ホーム上で全国初!新横浜駅に画期的なスタバがオープン

2025年11月21日、JR新横浜駅の新幹線ホーム上に「スターバックス コーヒー JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」がオープンしました。これは新幹線のホーム上に設置されるスターバックス店舗として全国初の試みとなり、旅行者や出張者にとって新たな利便性を提供する革新的な店舗です。

この新店舗は、東海道・山陽新幹線の下りホーム(3・4番線)の11号車付近に位置し、名古屋・新大阪方面へ向かう乗客が利用できる立地となっています。店舗面積は13.9平方メートルとコンパクトながら、スターバックスの品質を保ちつつ、新幹線ホームという特殊な環境に最適化された設計が施されています。

新幹線ホームでの店舗展開は、従来のスターバックスの出店戦略とは一線を画す革新的な取り組みです。通常、スターバックスは快適な空間でゆっくりとコーヒーを楽しむ「サードプレイス」というコンセプトを重視してきましたが、この新店舗では、移動の途中という限られた時間の中で、最高品質のコーヒーを素早く提供するという新たな価値提案を行っています。

「Brewed to Go」コンセプトで実現する新しいコーヒー体験

この店舗の最大の特徴は「Brewed to Go」というコンセプトにあります。従来のスターバックスとは異なり、旅の出発という特別な瞬間に焦点を当て、最高のコーヒー体験を素早く提供することを目指しています。

店舗では、注文ごとに豆を挽いて一杯ずつ丁寧にドリップするブリュードコーヒーを中心に展開。ホットコーヒーとして「パイクプレイスロースト」「スマトラ」「ディカフェハウスブレンド」、アイスコーヒーとして「ケニア」「ディカフェハウスブレンド」を提供しています。さらに、クッキーやスナックなどの軽食も取り揃え、旅のお供として最適な商品ラインナップとなっています。

営業時間は朝6時30分から夜9時30分までで、新幹線の早朝便から夜遅い便まで幅広い時間帯に対応。テイクアウト専門の形態で、座席は設けられていませんが、新幹線の車内で楽しむことを前提とした設計となっています。

このコンセプトは、スターバックスが長年培ってきたコーヒーの品質へのこだわりと、現代の移動社会のニーズを融合させた画期的な試みと言えます。新幹線という移動空間において、乗客は限られた時間の中で食事や飲み物を調達する必要がありますが、従来のキヨスクでは提供できなかった本格的なコーヒー体験を、この新店舗が実現しているのです。

オーダーパネルと完全キャッシュレス決済で実現するスピード注文

新幹線ホームという環境の特性上、この店舗では従来のスターバックスとは異なる革新的な注文・決済システムを導入しています。

まず目を引くのが、タッチパネル式のオーダーシステムです。カウンターでバリスタに口頭で注文する従来の方式ではなく、お客様自身がパネルを操作して商品を選択する方式を採用。これにより、混雑時でもスムーズな注文が可能となり、言語の壁を感じることなく外国人観光客も利用しやすい環境が整えられています。

さらに画期的なのが、完全キャッシュレス決済の導入です。交通系ICカード(Suica、PASMOなど)をはじめ、クレジットカード、QRコード決済に対応しており、現金は一切使用できません。ただし、スターバックスカードやモバイルオーダー&ペイは非対応となっているため、訪れる際は注意が必要です。

このキャッシュレス決済システムにより、会計時間が大幅に短縮され、新幹線の出発時刻が迫る中でも安心してコーヒーを購入できる体制が整っています。新横浜駅を通過する新幹線の利用者は、乗車直前でも素早く本格的なコーヒーを手に入れることができるようになりました。

タッチパネル注文システムは、単に利便性を高めるだけでなく、人件費の削減にも寄与しています。限られた店舗スペースの中で、最小限のスタッフで効率的に運営できる体制が構築されており、これは人手不足が深刻化する飲食業界において、重要なソリューションとなる可能性があります。

ロボット技術「root C」導入で業務効率化を実現

この店舗のもう一つの革新的な取り組みが、New Innovations社が提供するロボット技術「root C」の法人向けソリューションプランの導入です。

「root C」は、店舗の清掃や環境管理を自動化する最新技術で、13.9平方メートルという限られた店舗スペースを効率的に管理することを可能にしています。新幹線ホームという特殊な環境下で、高い衛生基準を維持しながら業務効率を向上させる重要な役割を果たしています。

スターバックスとJR東海の担当者は、この店舗について「単なるキヨスク版スタバではない」と強調しています。コンパクトな空間ながら、スターバックスの品質基準を満たし、かつ新幹線ホームという環境に最適化された、全く新しい店舗形態として設計されているのです。

ロボット技術の導入は、飲食業界における労働力不足という深刻な課題に対する一つの解答でもあります。清掃や環境管理といった定型的な業務を自動化することで、人的リソースをより付加価値の高い業務、すなわちバリスタによる丁寧なコーヒー抽出や顧客サービスに集中させることができるのです。

新幹線ホーム立地がもたらす独自の課題と解決策

新幹線ホーム上という特殊な立地には、通常の店舗とは異なる独自の課題が存在します。まず、スペースの制約が大きく、13.9平方メートルという限られた面積の中で、商品陳列、調理スペース、顧客の注文・受取動線を全て確保する必要がありました。

また、新幹線ホームは公共交通機関の一部であり、厳格な安全基準と衛生基準が求められます。火気の使用制限、緊急時の避難動線確保、騒音や臭いへの配慮など、クリアすべき要件は多岐にわたります。

これらの課題に対し、スターバックスとJR東海は綿密な協議を重ね、様々な革新的なソリューションを導入しました。タッチパネル注文システムは、カウンター前の混雑を緩和し、スムーズな人の流れを実現。完全キャッシュレス決済は、現金管理の手間を省くと同時に、会計時間の短縮を実現しました。

さらに、メニューをブリュードコーヒーと軽食に絞り込むことで、調理スペースと在庫管理を最小限に抑えながら、スターバックスの品質基準を維持することに成功しています。この選択と集中の戦略が、限られたスペースでの店舗運営を可能にしているのです。

なぜ新横浜駅が選ばれたのか?立地の戦略的意義

全国初の新幹線ホーム上スターバックスとして、なぜ新横浜駅が選ばれたのでしょうか。その理由にはいくつかの戦略的な要因があります。

まず、新横浜駅は東海道新幹線の主要駅として、2008年3月からは全ての営業列車が停車するようになっており、1日あたり約8万9千人が利用する横浜線との接続駅でもあります。さらに、2023年には相鉄新横浜線・東急新横浜線が開業し、相鉄線や東急線方面へのアクセスが向上したことで、駅の重要性がさらに高まっています。

また、新横浜駅は東京と名古屋・大阪の中間に位置しており、ビジネス利用者と観光客の両方が多く通過する地点です。朝6時台には当駅始発で広島行き「ひかり533号」や臨時列車として新大阪行き「のぞみ497号」が設定されるなど、早朝から夜間まで高い需要が見込まれる立地となっています。

加えて、新横浜駅のホームは十分な幅があり、コンパクトな店舗を設置しても乗客の通行を妨げない構造となっていることも、選定理由の一つと考えられます。これらの要素が組み合わさり、新幹線ホーム上スターバックスの第1号店として新横浜駅が選ばれたのです。

新横浜駅は、横浜市の北部に位置し、新横浜都心として開発が進められているエリアの玄関口でもあります。周辺には横浜アリーナや日産スタジアムなどの大型施設があり、イベント開催時には多くの人々が新幹線を利用して訪れます。こうした多様な需要を持つ立地特性も、選定の背景にあると考えられます。

スターバックスジャパンの2000店舗達成と成長戦略

この新横浜駅の新店舗オープンは、スターバックスジャパンの大きな成長戦略の一環でもあります。2025年2月には、創業の地・銀座に「スターバックス ティバーナ ストア 銀座マロニエ通り」が2000号店としてオープンし、日本国内で2000店舗の大台を突破しました。

現在、スターバックスは東京都に409店舗、大阪府と愛知県に各155店舗、神奈川県に138店舗を展開しており、全国で約2000店舗以上のネットワークを構築しています。単一外食ブランドとしては、日本マクドナルドに次ぐ国内第2位の店舗数を誇ります。

世界的にはスターバックスが不振に陥っているという報道もある中、日本のスターバックスは絶好調を維持しています。2024年9月末時点で1986店舗、フランチャイズによる委託運営が175店となっており、物価高の影響を受けながらも順調に成長を続けている数少ない市場の一つです。

今回の新幹線ホーム店舗という新形態の導入は、スターバックスジャパンが単に店舗数を増やすだけでなく、多様な立地や顧客ニーズに対応した革新的な店舗展開を進めていることの証と言えるでしょう。

スターバックスジャパンは、「リザーブ」や「ロースタリー」といったプレミアム業態の展開にも注力しており、多様な顧客層に対応した店舗ポートフォリオを構築しています。新横浜駅の「Brewed to Go」コンセプト店舗は、この多様化戦略の一環として位置づけられ、移動中の顧客という新たな市場セグメントを開拓する試みと言えます。

今後の展開と他駅への波及可能性

新横浜駅での成功を受けて、今後は他の新幹線主要駅への展開も期待されています。東京駅、名古屋駅、京都駅、新大阪駅など、高い乗降客数を誇る駅では、同様のコンセプトの店舗設置が検討される可能性があります。

特に、東京駅や品川駅のような大規模なターミナル駅では、複数の新幹線ホームに店舗を展開することで、より多くの利用者にサービスを提供できる可能性があります。また、北陸新幹線や九州新幹線など、他の新幹線路線への拡大も視野に入れられるでしょう。

ただし、新幹線ホーム上という特殊な環境では、スペースの制約、安全基準、衛生管理など、クリアすべき課題も多く存在します。今回の新横浜駅での運営データを蓄積し、課題を解決しながら、持続可能なビジネスモデルとして確立していくことが求められます。

完全キャッシュレス決済やオーダーパネルの導入、ロボット技術による業務効率化など、この店舗で導入された革新的なシステムは、今後のスターバックス店舗展開においても重要な参考事例となるでしょう。特に、人手不足が深刻化する飲食業界において、テクノロジーを活用した省力化の取り組みは、業界全体に影響を与える可能性があります。

さらに、この成功モデルは、新幹線だけでなく、在来線の主要駅や空港ターミナルなど、他の交通拠点への展開にも応用できる可能性があります。移動社会における新しいコーヒー体験の創造という点で、この取り組みは業界に大きなインパクトを与えることが期待されます。

利用者の反応と期待される効果

オープン初日から、SNS上では多くの利用者が新店舗について投稿しており、「新幹線に乗る前に本格的なコーヒーが買えるのは嬉しい」「キャッシュレスだけなので財布を出す必要がなく便利」「タッチパネルで注文できるので、急いでいる時も安心」といった好意的な声が多く見られます。

一方で、「スターバックスカードが使えないのは残念」「席がないのでゆっくりできない」といった声も一部で聞かれますが、これらはコンセプト上の制約として理解を示す声も多いようです。

新横浜駅の利用者にとっては、新幹線の待ち時間や乗車直前に、従来のキヨスクでは得られなかった本格的なコーヒー体験が可能になったことで、旅や出張の質が向上したと評価されています。

また、外国人観光客にとっても、タッチパネル注文とキャッシュレス決済により、言語の壁を感じることなくスムーズに利用できる点が高く評価されており、インバウンド需要の回復が進む中で、重要な役割を果たすことが期待されています。

新幹線利用者の行動パターンは多様で、早めに駅に到着してゆっくり過ごす人もいれば、ギリギリまで仕事をして駆け込む人もいます。この新店舗は、特に後者のような時間に余裕がない利用者にとって、大きな価値を提供しています。タッチパネルでの素早い注文と、キャッシュレス決済による迅速な会計により、数分という短時間でも本格的なコーヒーを手に入れられるのです。

まとめ:新時代の駅ナカビジネスモデルの誕生

JR新横浜駅の新幹線ホーム上にオープンした「スターバックス コーヒー JR新横浜駅 新幹線下りホーム11号店」は、単なるコーヒーショップの新規出店にとどまらず、駅ナカビジネスの新しい可能性を示す重要な試みです。

「Brewed to Go」というコンセプトのもと、タッチパネル注文、完全キャッシュレス決済、ロボット技術の活用など、最新のテクノロジーを駆使しながら、限られた空間で高品質なコーヒー体験を提供する革新的なモデルとして、今後の展開が大いに注目されます。

スターバックスジャパンが2000店舗を超えてさらなる成長を続ける中で、この新形態店舗は、多様化する顧客ニーズに応え、新たな価値を創造していく象徴的な存在となるでしょう。新幹線で新横浜駅を通過する際は、ぜひこの革新的なスターバックス体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

投稿者 hana

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